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いつも「国際センター通信」をご覧いただき、誠にありがとうございます。
まずは、本号(No.146)の発行が大幅に遅れましたことを、心よりお詫び申し上げます。
今回、国際センターにおきましてはグループ体制の再編を行い、新たな体制のもとで運営を開始いたしました。その移行期間中における業務調整のため、やむを得ず発行が遅延いたしましたこと、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
なお、今後は「国際センター通信」を年4回(1月・4月・7月・10月)の定期発行とさせていただく運びとなりました。引き続き、皆様にとって有益な情報をお届けできるよう努めてまいりますので、変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
記事の投稿は★こちら★から!
国際センター通信とは?
土木学会の国際活動や技術交流に関する情報を集め、国内外の読者の皆さまにお届けしています。
・国際センターおよび海外支部(英国、韓国、台湾、トルコほか全9分会)の最新の取り組み
・ACECC(アジア土木学協会連合協議会)の活動状況
・31の調査研究委員会による国際的な技術交流
・国内外で活躍する技術者・研究者の紹介
・注目のプロジェクトや最先端の土木技術のご紹介 など
「今」の土木界を、わかりやすく・楽しくお伝えしていきます。
ぜひ皆さまからのご感想やリクエストもお寄せください!
今号(No.146)の注目記事
1)巻頭言 国際人材育成に向けて ~国際センター 新体制での活動開始~
2)JICAミナト橋 架け替え事業のご紹介
3)~委員会活動報告 建設用ロボット委員会~ 第22回建設ロボットシンポジウム開催報告
4)The 6️th CICHE-JSCE Joint WS in Nagasaki報告書
ぜひ皆様の感想やコメント、読みたいトピックなどお知らせください。
■読者アンケート・ご意見募集
紙面へのご感想やご意見をお寄せいただけますと幸いです。
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アンケートフォームはこちら▶ https://forms.gle/3AVxpF8nPBK27Xpv8
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■イベント、セミナー情報、案内等
♦土木学会全国大会
日時:2025年9月8日(月)~12日(金)
会場:熊本城ホール(特別講演会・全体討論会・年次学術講演会・交流会)、熊本大学黒髪キャンパス(年次学術講演会)
参加費:有料
▶詳細:https://committees.jsce.or.jp/zenkoku/
♦グローバルシビルエンジニアワークショップ
日時:2025年9月10日(水)
会場:熊本城ホール 大会議室 A1
参加費:無料(定員あり)
▶詳細:https://www.jsce-int.org/node/914
♦CECAR10
日時:2025年10月21日(火)~24日(金)
会場:済州国際コンベンションセンター(韓国)
参加費:有料
▶詳細:https://www.cecar10.org/
■国際・委員会ニュース
♦Construction 2050 Alliance sends letter to President von der Leyen ahead of Commissioner-designates hearings
▶詳細:https://euconstruction2050.eu/2024/11/04/construction-2050-alliance-send...
♦ECCEの新体制:Platoas Stylianou ECCE会長
▶詳細:www.ecceengineers.eu
♦ASCE会長の交代について
▶詳細:https://www.asce.org/publications-and-news/civil-engineering-source/arti...
♦コンクリート委員会 Newsletter No. 74 (July 2025)
▶詳細:https://www.jsce.or.jp/committee/concrete/e/newsletter/newsletter74/inde...
「国際センター通信」配信希望者 登録フォーム
・日本語版: ( http://committees.jsce.or.jp/kokusai/node/31)
・英 語 版: ( http://www.jsce-int.org/node/150)
直近の国際センターの活動について紹介しています。
( https://www.facebook.com/JSCE.en)
国際センター通信 バックナンバー(編集中)
2025 年2 ⽉26 ⽇に発出した「下⽔道に起因する道路陥没事故をうけての⼟⽊学会会⻑から会員の皆さんへのメッセージ」に対応した議論の場として、表題の検討会を立ち上げました。土木学会前会長である佐々木葉氏の元、インフラメンテナンスだけでなく幅広い専門分野の方々がメンバーとなり、各人が自分ごととして捉え、分野横断で議論を深めます。
今回は第1回のインフラ自分ごと検討会について以下の通り、報告致します。
日時:2025年5月9日(金)13:00-14:30
場所:土木学会 会議室&オンライン
次第:
1.メンバー自己紹介
・座長・幹事の決定
2.検討会の目的と体制および進め方について
・話題提供者候補
・関連情報の共有など
3.今後のスケジュール
4.その他
資料:
資料1 メンバー構成
資料2 検討会設置のための理事会提出資料
資料3 検討会の進め方イメージ
次回、第2回の検討会では、公益財団法人リバーフロント研究所 技術審議役の土屋信行様に話題提供をお願いしております。
お知らせ
インフラ自分ごと検討会は、メンバーに限らず、希望する土木学会の会員の皆さまに門戸を開いております。傍聴や参加を希望される場合は、直接座長・幹事に以下のフォームからご連絡ください。
本検討会に関するお問い合わせ
新着・お知らせ2025 年2 ⽉26 ⽇に発出した「下⽔道に起因する道路陥没事故をうけての⼟⽊学会会⻑から会員の皆さんへのメッセージ」に対応した議論の場として、表題の検討会を立ち上げました。土木学会前会長である佐々木葉氏の元、インフラメンテナンスだけでなく幅広い専門分野の方々がメンバーとなり、各人が自分ごととして捉え、分野横断で議論を深めます。
前回から4回にわたり、各専門家から話題提供を頂いております。
第2回目は、検討会メンバーのお二方から話題提供を頂きました。
・京都大学防災研究所巨大災害研究センター 松田曜子准教授:「ケアとしての避難→ケアとしての土木」
・東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 小熊久美子教授:「水インフラの自分ごとを考える」
日時:2025年7月4日(金)15:30-17:30
場所:オンライン
次第:
1.佐々木葉先生からのご挨拶
2.松田曜子先生からの話題提供
3.小熊久美子先生からの話題提供
4.フリーディスカッション
5.次回のスケジュール確認
資料:
資料1 第3回検討会議事録
資料2 松田曜子先生「ケアとしての避難→ケアとしての土木」
資料3 小熊久美子先生「水インフラの自分ごとを考える」
次回、第4回の検討会では、メンバーである日本下水道協会理事長 岡久宏史様、東北大学大学院工学研究科 土木工学専攻久田真教授のお二方に話題提供をお願いしております。
お知らせ
インフラ自分ごと検討会は、メンバーに限らず、希望する土木学会の会員の皆さまに門戸を開いております。傍聴や参加を希望される場合は、直接座長・幹事に以下のフォームからご連絡ください。
新着・お知らせ 添付サイズ 資料1 第3回検討会議事録.pdf709.63 KB 資料2 松田曜子先生「ケアとしての避難→ケアとしての土木」.pdf2.15 MB 資料3 小熊久美子先生「水インフラの自分ごとを考える」.pdf430 KB「第29回 水シンポジウム 2025 in やまなし」を以下のように開催します。皆様のご参加お待ちしております。
1. メインテーマ ― 山梨・暴れ川富士川の治水・利水・環境 古の知恵と現代の技術の融合 〜過去は未来のみちしるべ〜
2. 主 催 ― 「第29回水シンポジウム2025 in やまなし」実行委員会、
構成団体:公益社団法人土木学会水工学委員会、国土交通省関東地方整備局、山梨県、甲府市
3 . 期 日 ― 2025年10月24日(金)シンポジウム・懇親会、2025年10月25日(土)現地見学会
4. 会 場 ― リッチダイヤモンド総合市民会館(甲府市総合市民会館)(山梨県甲府市青沼3-5-44)
5. ホームページ ― https://amsys.jp/mizusympo2025
新着・お知らせDear all,
We are pleased to present this FAQ guide for international students and professionals in the field of civil engineering.
This guide includes answers to common questions and issues, as well as useful information to assist you.
You can view the FAQ guide here.
Our aim is to support you in navigating your career path and achieving your professional goals in Japan.
Please also check out the homepage and follow on social media!
- Website: https://committees.jsce.or.jp/kokusai13/node/7
- Facebook: https://www.facebook.com/profile.php?id=61560484611508
International Civil Engineer Support Group(ICES) Japan
外国人技術者の皆さんへ、
このたび、よくある質問(FAQ)ガイド(英語版)を作成しましたので、ご参考にしてください。
こちらのガイドでは、一般的な質問やお困りのことについての回答及び参考になる情報をまとめています。
私たちの目標は、皆様がキャリアパスをナビゲートし、日本におけるプロフェッショナルな目標を達成するためのサポートを提供することです。
ぜひ、ホームページもご覧いただき、ソーシャルメディアもフォローしてください!
- Website: https://committees.jsce.or.jp/kokusai13/node/7
- Facebook: https://www.facebook.com/profile.php?id=61560484611508
よろしくお願いいたします。
外国人技術者サポートチーム
新着・お知らせ外国人技術者サポートチーム 添付サイズ 20250715_FAQ(土木留学生及び外国人技術者)_ENG.pdf919.45 KB仕事の風景探訪 事例9(関西支部)【デザインのチカラ】【自然のチカラ】
事業者:京都府京都市
所在地:京都府京都市下京区四条堀川町他
取材・執筆:土木ライター 三上美絵
編集担当・撮影(特記以外):山口敬太(京都大学/仕事の風景探訪プロジェクト・関西支局長)
雨水を一時的に貯留し、ゆっくり地中に浸透させる構造を持つ植栽空間、雨庭。
近年多発しているゲリラ豪雨などで雨水が一気に下水へ流れ込み、道路などが氾濫するのを防ぐグリーンインフラとして、全国で注目が集まっている。
京都市は市民の意見を基に緑地整備を進める「市民公募型緑化推進事業」の一環として、四条堀川交差点南東の植樹帯を雨庭として整備した。2018年4月に完成したこの庭が、現在市内14カ所にまで増えた雨庭の嚆矢だ。
「雨水の貯留」という機能を持たせながら、「京都らしい日本庭園」の趣を見事に表現したのは、山田造園社長の山田隆之さん。山田さんとともに、当時を振り返ってみよう。
およそ9.5トンもの水を貯められる枯山水「雨を貯める機能を満足させながら、伝統的な京都の庭園らしい景色をつくる。デザインにあたって最も意識したのは、その両立でした」。山田造園の山田社長は、そう振り返る。
京都市街地の中心部を南北に貫く堀川通と、東西に横切る四条通の交わる四条堀川交差点。オフィスビルや商業ビルの立ち並ぶ京都きっての繁華街だ。京都市が整備する雨庭の第一号は、その交差点の南東側に位置する。
横断歩道につながる歩道を挟んで両側に雨庭が広がり、信号待ちの人たちにいっときの潤いを提供。かつては車が多く殺風景だった交差点が、今では都会のオアシスになっている。
信号待ちの人々が思い思いの位置で雨庭を楽しむ。画面中央の既存樹を残して作庭した(写真:山田造園)
株式会社山田造園代表取締役の山田隆之さん(写真:三上美絵)
雨庭では、貯水機能は主に「州浜(すはま)」と池をイメージした砂利敷きが担う。州浜とは、砂利を敷き詰めた面で浜辺の波打ち際を表現する伝統的な枯山水の作庭手法だ。「通常は地面に直接、砂利を敷くだけですが、ここでは水を貯めるために35cm掘り下げ、栗石を敷き詰めた上に、砂利を敷いています」と山田さんは説明する。
雨水は栗石の隙間に浸透し、ゆっくりと地中に吸収される仕組みだ。表面の砂利はチャートで、粒径約4cmと約15cmの二種類を使い、小さい方で水を、大きい方で波打ち際の岸辺を表現した。
驚いたのは、その貯水能力だ。歩道の両側に広がる雨庭全体で、およそ9.5tもの水を貯めるポテンシャルがあるという。
歩道の一角に、雨庭の構造を説明する現地の案内板がある(写真:三上美絵)
2017年当時、京都市はさまざまな緑地のあり方を模索するなかで、雨庭に注目していた。ただ、雨庭はまだ全国的にも実施例がほとんどなかった。このため四条堀川の雨庭は、やってみてうまくいけば横展開しようというパイロットケース的な意味合いも担っていた。
入札の結果、施工者に決定したのが、京都学園大学太秦キャンパスの雨庭づくりで実績のあった山田造園だ。このとき監修を務め、雨庭の提唱者でもある京都大学名誉教授の森本幸裕さんのアドバイスももらうことになった。
設計は、当初、交差点に面した約220m2の敷地を「緑地として整備する」ということだけが決まっていた。「与条件は既存樹木と、かつて流れていた堀川の遺構である橋の親柱を残すこと。あとはほぼ白紙の状態から、森本先生と一緒にデザインしていきました」と山田さんは話す。
戦後の下水道整備により暗渠となった堀川に、かつて架けられていた綾小路橋の親柱。
雨庭整備のため、敷地の端へ移動した
設計にあたっては、さまざまな制約があった。まず、敷地の歩道側は石垣を巡らせて盛り土がしてあり、地盤が一段高くなっていた。その部分は、地盤の高さを変えられない。というのは、街路樹として植えられたクスの大木があり、別な位置へ移植したり、現在生育している地盤の高さを変えたりすると枯れてしまう懸念があったからだ。
また、道路境界の縁石や、既存の会所枡(下水道管の合流部に設けられた枡)もいじれない。縁石の一部を穴あきブロックに替えて取水口とし、車道に降る雨水を取り入れることから、庭側のレベル設定も難しい。
山田さんは「歩道側の地盤の高い部分を『山の景』、車道側の低い部分を『水の景』とし、両者の境界に水が溜まる州浜と枯れ池を設定することでうまく収めました」と話す。山の景を表現するために、よく京都の山に生えているイロハモミジを築山のてっぺんに植えた。
植栽計画図。車道側を水の景、歩道側を山の景とし、間に州浜を設置。築山には山の植物を植えた
横断面図。右側の地盤が一段高くなっている
縁石ブロックを取り替えて取水口を設けた。右側の車道に降った雨水を左側の雨庭内へ取り込む
こだわったのは、庭づくりで重要な役割を果たす石の選択だ。京都の銘石「加茂七石(かもなないし)」の一つである貴船石(きぶねいし)や、近郊で産出し名刹の庭によく使われる山石(チャート)を採用。州浜の奥には石橋を配置するなど、京都らしさをふんだんに盛り込んだ。「私たちにとっては、京都の庭園を広く紹介できる場としても貴重です。提示された予算は決して潤沢ではありませんでしたが、採算を度外視して在庫の石など、いい材料を使いました」。山田さんの言葉からは、雨庭に掛ける市や造園業界の期待が伺える。
歩道からよく見える位置に、京都の銘石「貴船石」を配置した(写真:三上美絵)
現地で雨庭を眺めると、複雑な条件のもとで針の穴を通すようにしてつくり上げたとは思えない自然な景観が広がっている。「高低差があるほうが、平らなところより庭づくりには向いている。最初に現場を見たときも、制約さえクリアできれば面白いものができるな、という自信はありました。思ったとおり、自慢の庭になりました」と山田さんは胸を張る。
もちろん、視点場も意識した。交差点側を庭の正面とし、縦横斜めから見えるようにしたことで、視覚的に庭に広がりが出る。角度によっては、歩道両側の二つの庭がつながって一つに見える効果も企図したという。
左側の築山から手前の州浜へ向けてなだらかに低くなっている。
築山はもともとの地盤の高さを利用した。州浜と築山の境界には大きめの砂利を敷いて波打ち際を表現
歩道の両側に広がる雨庭。車窓からは角度によって二つの庭が一つに見える
周知のとおり、京都には有名な庭園が集中している。代表的な枯山水である龍安寺の石庭、東山連山を背景とした南禅寺の借景庭園、建築との調和が美しい桂離宮の池泉回遊式庭園…、数え上げれば切りがない。ただ、こうした名園の多くは寺院などの施設に併設される庭であり、誰もがいつでも自由に拝観できるわけではない。その点、四条堀川の雨庭は繁華街の交差点にあり、四季折々の移り変わりを間近に味わえるのが魅力だ。
一般に、街路樹では単一の樹種が線状に植えられていることが多い。しかし、ここでは何十種類もの植物が植えられ、四季ごとに花が咲き、春には新緑、秋には紅葉が楽しめる。近くに暮らす人や通勤通学で通る人はもちろん、インバウンドの観光客からも好評を博しているという。
「多彩な植栽を選択することができたのは、雨庭の貯水機能があったからです」と山田さんは話す。
現地は幹線道路2路線の交差点で、排気ガスや排熱、日射にさらされるため、植物にとっては過酷な生育環境だ。通常ならば、最も乾燥に強い樹種を選ばざるを得ず、選択肢は狭まる。しかし、ここでは州浜の貯水効果を見越して、「乾燥にはそれほど強くないが花が美しい木」を取り入れることができた。ただし、日本庭園の代表的な素材であるものの、極端に乾燥に弱い「苔」を維持するのは難しいと判断し、代わりに芝生を植えたという。
若葉や紅葉、季節の花々が四季折々に道行く人たちの眼を楽しませる
今回の雨庭づくりは、「道路」に降った雨水を「公園」に取り入れる、すなわち雨水が行政区分を越境するという意味でも、発注者の京都市にとって前例のない取り組みだった。道路に降った雨水は通常、側溝の排水口から下水管へと排出される。道路の管理部局と雨庭整備を行う公園部局で管理が跨ることから、雨水の処理の仕方をめぐり、山田さんたちは双方と入念に協議を重ねた。
施工面では「人通りの多い交差点」という条件による難しさもあった。庭の規模は小さくとも、クレーンで大きな石を据えつけるといった大掛かりな作業もあり、朝のラッシュ時は工事をしないなど、第三者災害には細心の注意を払った。一方で、人目に付きやすい場所の特性を生かし、仮囲いに雨庭のしくみや工事の進捗を紹介するパネルを設置してPRしたという。
雨庭が完成してしばらく、山田さんは大雨が降るたびに、いそいそと四条堀川へやってきた。京都学園大学の雨庭では、雨上がりには表面にうっすらと水を湛えた州浜の景色が楽しめたからだ。しかし、四条堀川の雨庭は想像以上に雨水の吸収がよく、全量が見事に地下へと吸い込まれてしまう。貯水機能が存分に発揮されている証だが、山田さんには少し物足りないようだ。「庭の景色としては、水のない枯山水と池泉庭園の両方を楽しめると申し分ないのですが」と苦笑する。
四条堀川の事例よりも前に手がけた京都学園大学太秦キャンパスの雨庭。
大雨の後には州浜の表面に水が見えることもある(写真:山田造園)
竣工から7年が経った今、以前からあった巨木と、新たに植えた低木や芝生、銘石、石橋などの要素がしっくりとなじみ、風景として定着した感がある。その一方で、メンテナンスには課題も残る。
行政による雨庭の管理は街路樹と同様の扱いで、年に数回、定期的に樹木を剪定する。「種類によって花の咲く時期が異なるので、切っていいタイミングと避けたいタイミングがあります。1年を通してそれぞれの花を咲かせてから切るような管理メニューが理想なのですが」と山田さんは残念がる。
「庭というのは、つくって終わりではありません。維持することは、つくることと同じぐらい大切。鎌倉時代などにつくられた古い庭が今も美しいのは、きちんと手入れを続けてきたからです。ここも、それぐらいの価値があると思うんです」。最先端の技術と伝統的な庭づくりが融合した記念すべき第一号の庭。将来へ向けた雨庭づくりのお手本ともなるべき庭の管理には、もう少し予算を投じてもいいのではないか、というのが山田さんの思いだ。
「雨庭をたくさんつくって雨水を地球へ返すことは、自然の水循環に則った素晴らしい試み。それで洪水を防げるなら、美しい緑が街の潤いにもなり一石二鳥ではないでしょうか」。山田さんがそう話すように、雨庭は貯水機能さえあればいいというのでは、あまりにも寂しい。日本が何百年も育んできた庭園文化を受け継ぎ、環境に配慮した雨庭という新しい形で世界へ発信する。その役割は、ここ京都の街角に生まれた雨庭にこそふさわしい。
2018年の竣工当時の様子。
この写真と比べると、7年間でモミジなどの低木が大きく成長したのが分かる(写真:山田造園)
新着・お知らせ2024会長PJ-ひろがる仕事の風景プロジェクト仕事の風景探訪WG
土木学会 国際センター 「土木技術者の国際化実践小委員会」橋梁・構造WG
「IABSE(国際構造工学会)2025 ヘント大会」への調査団派遣
1. 実施の背景と目的
「土木技術者の国際化実践小委員会」では、現状における課題整理や提言に留まらず、グローバルに活躍できる土木技術者の育成を目指して、国内外の関係者や関連業界との交流や海外調査等の実践的な活動を展開してきました。2023年度からは国際センターに活動拠点を移し、さらにグローバル人材育成支援の取り組みを強化しています。
当小委員会内の橋梁・構造WGでは、橋梁等のインフラ構造物全般を対象に、多角的な視点から国際動向と国内の現状を調査し、日本企業及び技術者の海外進出の活発化を目指して活動しています。また、本WGで得られた知見を基に昨年度はNetZero橋梁WGを発足させ、カーボンニュートラルの評価を考慮した橋梁設計方法の調査とその実践を目的として活動を行い、その成果を国内外に発信しております。
今回、これらWGの活動の一環として本調査団を計画致しました。調査団の主な活動は、以下の2つとなります。
世界各国の構造工学に関する最先端の研究や実務事例を学び、国際的な技術交流を通じて日本の橋梁技術の発展に資する知見の獲得を目指します。
欧州の構造工学に関する最新トレンドおよび日本の土木技術者の国際活躍に向けた課題と展望について意見交換を予定しています。※議題については調整中となります
本調査団では以上の活動を通して、カーボンニュートラルの取り組みに加え、維持管理・長寿命化技術、デジタルトランスフォーメーション、新材料・新工法に関する知見など、世界の建設業界における多様な最新トレンドの把握を目的としています。さらに、日本の技術者が現在有する技術を国際舞台でどのように活用できるか、今後どのように国際競争力を高めることができるかについての実践的知見を得ることも重要な目的としています。
詳細は下記または募集案内をダウンロードし、内容をご覧ください。
2. 概要
2025年8月24日(日)~8月31日(日) ※イギリス現地集合・現地解散
日付
行動予定
備考
8月24日(日)
出国:日本→LHR→ロンドン
航空機、鉄道
8月25日(月)
活動:土木学会英国分会 との交流会
8月26日(火)
移動:ロンドン→ブリュッセル→ヘント
鉄道
8月27日(水)
聴講:IABSE2025
ヘント国際会議場
8月28日(木)
聴講:IABSE2025
ヘント国際会議場
8月29日(金)
聴講:IABSE2025
ヘント国際会議場
8月30日(土)
移動:ヘント→ブリュッセル→ロンドン→LHD→
航空機
8月31日(日)
帰国:→日本
飛行機
※LHD:イギリスロンドンヒースロー国際空港
・場所:ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)
・日程:2025年8月25日
・意見交換会の議題(案)
1) 国際化実践小委員会の活動報告
・Net Zero WGの検討成果報告
・海峡横断WG(SFTBの基礎検討)の経過報告と今後の展望
2) 日本の土木技術者の国際活躍に関する意見交換会
・海外の橋梁設計における実務的アプローチ
・欧州での土木分野(企業,研究活動)の国際展開戦略 等
※議題については調整中となります
・日程:2025年8月27日~29日
・THEMES & TOPICS
Structural safety and reliability(構造安全性および信頼性)
Serviceability of structures(構造物の使用性能)
Deterioration, monitoring and maintenance(劣化、モニタリングおよび維持管理)
Sustainability and circularity(持続可能性および循環性)
Climate change and extreme loads and conditions(気候変動および極限荷重・環境条件)
【 参考 】IABSE2025 Webサイト:https://iabse.org/Ghent2025
WGメンバーとともに、以下の活動へのご参加をお願いしております(任意)。
調査団の旅程確認、土木学会英国分会との意見交換会に向けた議題整理、IABSE2025ヘント大会での注目セッションの選定など、渡航前の情報共有と方針確認を行います。
IABSE2025ヘント大会期間中は、参加者間で聴講内容の情報共有を行うとともに、テクニカルツアーへの合同参加(参考:https://iabse.org/Ghent2025/Technicalprogramme)を通じて、構造工学における最新の国際動向に関する知見を深めます。
参加メンバーで知見共有と分析のための研究会を実施します。IABSE大会や土木学会英国分会との交流で得た情報・技術動向を多角的に議論し、調査成果として取りまとめます。
参加メンバーによる海外視察報告会の開催を予定しております。本視察の内容、得られた知見や考察、今後の取り組み等に関する活動報告を行う予定です。
3. 参加費用
本調査団への参加で生じる大まかな費用は下記の通りです。各費用の手配および支払いは参加者個人でご対応頂きますようお願いします。
※ホテル及び鉄道の費用はあくまで募集開始現在で予約可能な便及びホテルの値段であり、申込期間によっては他の便やホテルを予約することとなり値段が変動する可能性があります。ご了承ください。
No.
項目
費用
手配方法
注記
①
航空券(一例)
約30万円
個人
東京⇔ロンドンの往復航空券
②
鉄道乗車券
約4万円
個人
ロンドン⇔ヘントへの往復費用
③
ホテル
約20万円
個人
8/24,25ロンドン,8/26~29ヘント
④
IABSE参加費
約18万円
個人
Non-Member
1080ユーロ/person, 170JPY=1.00ユーロと想定。
合計
約72万円
-
1人当たりの想定金額
4. 募集要項
・参加者人数;最大10 名程度を予定。
・募集期間:~2025 年8 月1 日 (月)
・募集HP:https://committees.jsce.or.jp/kokusai14/node/21
・申込先、問い合わせ窓口:土木学会国際化センター
「土木技術者の国際化実践小委員会」橋梁・構造WG 現地視察企画担当
高森 敦也(WG リーダー):takamori-ats@chodai.co.jp
船水 洋輔(WG メンバー):funamizu-yosuke@jfe-eng.co.jp
5. その他注意事項
①現地活動中の食事および通信費等は各自負担となります。
②イギリス入国にあたり:
・日本国籍の方は査証(ビザ)は不要ですが、「ETA(Electronic Travel Authorization)」の事前申請(有料)が必要なため、各自で申請をお願いいたします。詳細は以下の在英国日本国大使館ウェブサイトをご参照ください。https://www.uk.emb-japan.go.jp/itpr_ja/ETA.html
・日本国籍でない方は各自でビザ申請をお願いいたします。
③参加者は各自にて海外旅行保険への加入をお願いいたします。
新着・お知らせ 添付サイズ 「IABSE(国際構造工学会)2025 ヘント大会」への調査団派遣について.pdf624.27 KB【支部名】関西支部
【事例キーワード】
①技術のチカラ、 ②デザインのチカラ、 ③自然のチカラ、 ④コミュニティのチカラ、 ⑤記憶のチカラ
関西支局長を務めております京都大学大学院准教授の山口敬太です。
今回は京都府京都市、四条堀川通の交差点の歩道上につくられた「雨庭」を取り上げました。
雨庭とは、地上に降った雨水を下水道に直接流すのではなく、一時的に貯留させ、地中に浸透させる機能を持った植栽空間です。雨水流出抑制のほか、水質浄化や暑熱緩和、さらには景観形成に寄与するなど、多面的な効果を果たしています。
京都市内では令和6年度までに14箇所整備され、他都市でも整備が進み始めていますが、そのパイロットプロジェクトとなったのが四条堀川交差点南東角の雨庭です。京都の造園技術を活用して作られた雨庭で、整備から7年が経過していますが、樹木が育って、京都らしさを感じさせる風情と暮らしの潤いを生み出しています。
今回、その施工に関わられた山田造園の山田隆之さんに、当時の設計・施工などのお話を伺いました。山田さんは、数多くの優れたお庭を手がけられておられ、現代の名庭師です(https://yamada-zoen.com/works/)。
そんな山田さんが、京都のまちなかの道路空間に、どのような景色をつくられようとしたのか?
土木ライターの三上美絵さんにご執筆いただきましたので、是非お読みいただければ幸いです。
2020年(施工後2年半ほど)、雨の日に訪れたときの様子です(写真:山口敬太)
【第31回水工学オンライン連続講演会】
第31回となる今回は,中島 正人先生から「原子力発電所の地震に対する確率論的リスク評価手法」と題して,ご講演をいただきます. 皆様の積極的なご参加お待ちしております.
〇 講演者 :中島 正人 先生(電力中央研究所 副研究参事)
〇 講演題目:「原子力発電所の地震に対する確率論的リスク評価手法」
〇 講演内容:地震PRA(Probabilistic Risk Assessment)とは、対象地点で想定される地震(震源)規模・発生確率、その地震から来襲する地震動強さを評価した情報(ハザード)を用いて、重要施設を構成する構築物・機器の脆弱性(フラジリティ)を評価、上記二つの情報を用いて発電所システムが損傷する頻度を定量的に計算すると共に、システム全体の頑強性を分析・評価するものです。講演会では、地震PRA手法の概要について紹介した後、参加者の皆様と意見交換出来れば幸いです。
〇開催日時:2025年07月24日(木)17時~
〇参加申し込み方法について
以下のURLにある土木学会HP申し込みサイトからお申込みください. 講演会当日お昼までに配信サイトのご案内をいたします.
https://www.jsce.or.jp/events
[水工学オンライン]で検索下さい.
※注意事項:Zoomウェビナーを使用します.
新着・お知らせ地盤の地震応答解析 -秋の講習会2025-
地盤の地震応答解析は,構造物への入力地震動を求めるための必須の技術になっています.教科書もいくつかあるのですが,理論的な話が主で,実務を行う技術者にとっては取っつきにくいものでした.この講習会ではこれから地震応答解析を始めようとする方,実務で地震応答解析は使っているがもう少し勉強したいという技術者をターゲットにして,難しい理論や数式はなるべく避け,イメージとして地震応答解析を理解してもらうこと,実務を行うのに必要なデータの入手法と使い方などをわかりやすく説明します.また,地震応答解析の事例を多く挙げ,それぞれの解析を通して,解析結果をどのように判断するべきかということを理解できるようにします.
この講習会では,講師の執筆による図書「地盤の地震応答解析」(鹿島出版会)に基づいて行いますが,本がなくても理解できるようにお話しします.ふるってご参加下さいますよう,ご案内申し上げます.
記
1. 主催--------------公益社団法人 土木学会
(担当:地震工学委員会 地震防災技術普及小委員会)
後援:地盤工学会・日本地震工学会(予定)
2. 講師--------------吉田望(関東学院大学,地震工学委員会・顧問)
3. 日時--------------2025年9月18日(木)(9:00~17:30)
※ 録画映像をセミナー後2週間程度配信予定
4. 方式--------------- 対面講習(土木学会講堂)もしくはzoomによる映像配信
※zoomによる映像配信の場合、リアルタイムでの質疑等には対応できません。Webによるアンケートを行いますので、記入をお願いします。予めご了承ください。
5.定員.対面50名、オンライン150名(先着順)
対面参加(会場)ご希望の方は、申込完了後に配信される「参加券メール」に記載されているURLのWEBフォームから登録して下さい。
6. 費用--------------会員:7,700円、非会員:11,000円、学生:2,200円
7. プログラム(未定)------- -午前の部:9:00-12:00,午後の部:13:00-17:30(途中休憩を含む)
第一部 :地震応答解析の基本条件と影響要因
第Ⅱ部 :地震応答解析に必要な地盤調査と土質試験
第Ⅲ部 :空間のモデル化
第Ⅳ部 :地震応答解析手法
第Ⅴ部 :減衰の設定
第Ⅵ部 :計算例に基づく解析結果の判断
第Ⅶ部 :数値計算事例から見た各種要因
8.資料
2025年9月11日~2025年10月6日にかけて本サイトにて掲示いたします.
なお,パスワードは申込締切後に配信される「最終案内メール」にてお知らせします.
9. 申込方法:クレジット申込締切:9月 11日 17時 コンビニ申込締切:9月 4日 17時
http://www.jsce.or.jp/event/active/information.asp
※会場参加(対面)希望の方は,参加費支払い完了後に届く「参加券メール」に記載のWEBフォームより登録下さい.申込締切前でも定員数に達し次第受付を終了させて頂きます.
10.CPDについて-------
会場参加(対面)
オンライン参加(Zoom)
※土木学会以外の団体に提出する場合の方法等は提出先団体に事前にご確認ください.
※土木学会で証明する単位が各団体のルールにより認められないことがあります.
※土木学会では他団体の運営するCPD制度に関しては回答いたしかねます.
11.その他
・オンライン参加用のアクセス情報は、申込締切日後の9月12日~16日の間に配信いたします「最終案内メール」にてご案内いたします。
・オンライン参加者用のCPD受講証明書申請フォームのアクセス情報も上記と同じく「最終案内メール」でのご案内となります。
・復習用に録画映像(vimeoによる配信)をセミナー後2週間程度配信予定です。当日参加されなかった方にも配信しますが、CPD受講証明書は発行されませんのでご注意ください。
12. 問合先-----(公社)土木学会研究事業課 佐々木淳
TEL 03-3355-3559 E-mail:ssk@jsce.or.jp
新着・お知らせ
≪応募申込にあたっての注意事項≫
・レポート作成にあたっては、<投稿要領>を確認してください。
・必要事項をもれなく記入してください。「*」がついた項目は必須項目です。
・著者が4名以上の場合は、第4著者までをご記入ください。投稿後の追加、削除はできません。
(所属記載例:「国土交通省 ○○局」、「(株)△△建設 □□支社」)
・一番下にある「送信」ボタンをクリックすると、応募申込の手続きが完了します。
(入力内容を確認する画面は表示されません。送信前に内容を確認してください)
・連絡先担当者宛に受付完了メールが自動送信されます。「受付番号」を必ず控えておいてください。
(1日経過しても受付完了メールが届かない場合は、事務局までお問い合わせください)
・「送信」後に応募内容の修正が必要な場合は、「受付番号」を明記して、応募取り消しをメールで事務局に依頼してください。その後、改めて応募申込をしていただきます。
(必ず取り消しを依頼してください)
●レポートPDFファイルについて
・ファイル名は「第一著者氏名(半角ローマ字).pdf」としてください。 (例:DobokuTarou.pdf)
・同一発表者が複数応募する場合は、発表者氏名に連番の数字を付加してください。
(例:DobokuTarou1.pdf、DobokuTarou2.pdf)
・A4版で2頁以上とし、原則として最大6頁としてください。
ページ番号はつけないでください。
印刷不可指定、書込不可指定はしないでください。
●問合せ先
土木学会 研究事業課
担当:飯野
E-mail:maintesogo@ml-jsce.jp
新着・お知らせ
レポート情報
レポート題目 * 投稿分野の選択 * A.担い手と体制 B.技術とプロジェクト C.マネジメント著者1
氏名 * 所属 *著者2
氏名 所属著者3
氏名 所属著者4
氏名 所属連絡担当者
氏名 * 会員番号(土木学会会員の場合) 勤務先 * 所属部署 * 郵便番号 * 住所 * 電話番号 * e-mail *レポートファイル(PDFデータ)
レポートファイル ※ファイルサイズの上限:100MB * 「CAPTCHA 認証に入力した答えが正しくありません」と表示される場合は、お手数ですが土木学会へお問い合わせください。鋼構造委員会に新設される「鋼構造スキルスタンダード検討小員会」では、委員の募集を行っております。
公募の締切日は2025年9月30日(火)の予定です。
活動目的、期間、内容、応募要件や方法の詳細は、添付ファイルをご参照ください。
皆様のご応募をお待ちしております。
新着・お知らせ 添付サイズ 鋼構造スキルスタンダード検討小員会_委員募集.pdf191.48 KBあの素晴らしい土木技術をもう一度
第122回土木学会イブニングシアター 栄えある2024年度第31回土木映画コンクール受賞作品 特集
皆さん、土木学会映画コンクールをご存じでしたか?
実は土木学会映画コンクールは、1964(昭和39)年に第1回目が開催されて以来、今回で31回を数える大変歴史のあるコンクールなのです。過去に受賞作品をご覧になられた方もいらっしゃるかもしれませんが、いくつかの作品がタモリ俱楽部で紹介されたこともあります。
今年は、2年に1度の「土木学会映画コンクール」が開催され、31回目の「2024年度第31回映画コンクール」では、次の3作品が栄えある各賞の受賞に輝きました。
最優秀賞 「【喜連瓜破 橋梁架け替え工事】二年半の軌跡 ~100年先を見据えて~ 工事担当者の想いに迫る!」
部門賞(一般部門) 「人々の暮らしを取り戻す 精鋭たちの総力戦~2016-2021熊本県南阿蘇村―技術者たちの闘い」
部門賞(技術映像部門) 「令和のリニューアル 北陸自動車道 米山トンネルのインバート補強」
そこで「第122回土木学会イブニングシアター」は、「2024年度第31回映画コンクール受賞作品特集」と銘打ち、受賞されました3作品を上映いたします。
皆様のご参加をお待ち申し上げます。
■詳細
18:30 2024年度第31回映画コンクール受賞作品の選考経緯
土木学会 土木技術映像委員会委員長
18:45 上映
部門賞(一般部門)「人々の暮らしを取り戻す 精鋭たちの総力戦~2016-2021 熊本県南阿蘇村―技術者たちの闘い」
19:02 上映
部門賞(技術映像部門)「令和のリニューアル 北陸自動車道 米山トンネルのインバート補強」
19:23 上映
最優秀賞「【喜連瓜破 橋梁架け替え工事】二年半の軌跡 ~100年先を見据えて~ 工事担当者の想いに迫る!」
■参加申込方法
「事前参加受付フォーム」に必要事項をご入力ください。
〆切:2025年8月1日(金)17:00
※定員に達した場合、〆切前に受付を終了する場合がございます。
■参加方法
「事前参加受付フォーム」より返信したメールを印刷したもの、またはスマートフォン等でメールを直接会場受付にご提示ください。
※会場での当日参加受付は行いません。必ず「事前参加受付フォーム」にて事前にお申し込みください。
■ご注意
■お問い合わせ先
図書館・情報室(担当:高浦) TEL:03-3355-3596
ポスター(準備中)
上映作品
※各社名は制作当時のものです。
人々の暮らしを取り戻す 精鋭たちの総力戦~2016-2021 熊本県南阿蘇村―技術者たちの闘い
企画:人・夢・技術グループ株式会社
制作:葛谷正美・葛谷真由美
2025年 17分
平成28年(2016年)に発生した熊本地震。最大震度7を記録し甚大な被害をもたらした。
本作品は阿蘇大橋付近で発生した大規模な斜面崩落からの復旧や復興のシンボルでもある「新阿蘇大橋」開通に向けて立ち向かう土木技術者達の記録である。
震災直後から現地に入り、余震の不安の中で応急調査。その後、限られた時間の中で、技術を結集し地盤調査設計、橋梁設計を完了させる。その力の根源は、“人々の暮らしを守る”という技術者の「使命感」であった。
国民の暮らしを守るという使命感を持った技術者達の挑戦を描いている。
令和のリニューアル 北陸自動車道 米山トンネルのインバート補強
企画:東日本高速道路株式会社 新潟支社長岡管理事務所
制作:有限会社創映舎
2022年 21分
北陸自動車道の米山トンネル下り線は建設以来、盤ぶくれによる路盤の変状が進行していた。本作品は、令和3~4年度に行ったインバート補強による補強対策工事の記録を映像としてまとめたものである。
【喜連瓜破 橋梁架け替え工事】二年半の軌跡 ~100年先を見据えて~ 工事担当者の想いに迫る!
企画:阪神高速道路(株)管理本部
制作:阪神高速道路(株)
2025年 36分
阪神高速では、2022年6月より14号松原線(喜連瓜破~三宅JCT)を終日通行止めの上、橋梁架替工事を実施した。
都市高速を長期間に渡って通行止めにするという前代未聞の工事の上、工事区間の直下には大阪市内でも有数の重交通を担う交差点があり、かつ周辺地域は密集市街地となっている。
制約条件の多い中、既設コンクリート橋桁の撤去及び鋼製橋桁の架設までを無事完了させ、2024年12月7日に約2年半ぶりに通行を再開した。
本動画は、工事着手前から通行再開までの事業の記録映像である。
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≪応募申込にあたっての注意事項≫
・論文作成にあたっては、<投稿要領>を確認してください。
・必要事項をもれなく記入してください。「*」がついた項目は必須項目です。
・著者が4名以上の場合は、第4著者までをご記入ください。投稿後の追加、削除はできません。
(所属記載例:「国土交通省 ○○局」、「(株)△△建設 □□支社」)
・一番下にある「送信」ボタンをクリックすると、応募申込の手続きが完了します。
(入力内容を確認する画面は表示されません。送信前に内容を確認してください)
・連絡先担当者宛に受付完了メールが自動送信されます。「受付番号」を必ず控えておいてください。
(1日経過しても受付完了メールが届かない場合は、事務局までお問い合わせください)
・「送信」後に応募内容の修正が必要な場合は、「受付番号」を明記して、応募取り消しをメールで事務局に依頼してください。その後、改めて応募申込をしていただきます。
(必ず取り消しを依頼してください)
●論文PDFファイルについて
・ファイル名は「第一著者氏名(半角ローマ字).pdf」としてください。 (例:DobokuTarou.pdf)
・同一発表者が複数応募する場合は、発表者氏名に連番の数字を付加してください。
(例:DobokuTarou1.pdf、DobokuTarou2.pdf)
・A4版で4頁以上とし、原則として最大10頁としてください。
ページ番号はつけないでください。
印刷不可指定、書込不可指定はしないでください。
●問合せ先
土木学会 研究事業課
担当:飯野
E-mail:maintesogo@ml-jsce.jp
新着・お知らせ
論文情報
論文題目 * 投稿分野の選択 * A.担い手と体制 B.技術とプロジェクト C.マネジメント著者1
氏名 * 所属 *著者2
氏名 所属著者3
氏名 所属著者4
氏名 所属連絡担当者
氏名 * 所属 * e-mail *掲載料請求先
請求書の宛名 * 会員番号(土木学会会員の場合) 氏名 * 郵便番号 * 住所 * 勤務先 * 所属部署 * 電話番号 * e-mail *論文ファイル(PDFデータ)
論文ファイル ※ファイルサイズの上限:100MB * 「CAPTCHA 認証に入力した答えが正しくありません」と表示される場合は、お手数ですが土木学会へお問い合わせください。公益社団法人土木学会(会長 池内 幸司)は、7月26日(土)に、『オープンキャンパス土木学会2025』を開催いたします。
本イベントは、普段は入ること、見ることのできない土木学会(東京都新宿区四谷)の館内を一般開放し、様々な「土木」の体験をすることができる催しとなります。
土木にご関心のある方も、無い方も、土木のおもしろさに触れ、さらに夏休みの自由研究としても活用いただけるよう、多彩なメニューを取り揃えております。参加費無料、申込や事前予約は不要です。
小さなお子様から大人まで幅広く楽しんでいただける催しとなっておりますので、ぜひお気軽にご来場下さい。
オープンキャンパス土木学会2025 フライヤー
【詳細】
■イベント名 『オープンキャンパス土木学会 2025』 ■概要 土木学会関係者やその家族、地域の方々、土木分野への進学・就職希望者含め、広く一般の方々を対象に、土木会館を公開し、様々な体験型プログラムや史料・映像などを通じて、「土木」の魅力を伝え、「土木」への関心と理解を深めていただこうとする取組み。 ■日時 2025年7月26日(土)10:30~16:00 ■会場 公益社団法人土木学会分野 プログラム 提供 土木全般 『どぼくかるたでお勉強』
土木広報センター
未来の土木コンテストグループ
トンネル
『トンネル実験 ~つよいトンネルの形は?』『ソーラーホッパーレース』
コンサルタント委員会 『水質調査 ~水と一緒に旅をしてみよう!~』新着・お知らせオープンキャンパス
表彰規程および募集要項をご参照の上、ご応募されますようお願いいたします。
締切期日: 令和7年7月1日(火)~令和7年9月30日(火)17:00
募集要項
種別項目 環境賞 選考対象【Ⅰグループ】
環境の保全・改善・創造に資する新技術開発・概念形成・理論構築等に貢献した先進的な土木工学的研究
【Ⅱグループ】
土木技術・システムを開発・運用し、環境の保全・改善・創造に貢献した画期的なプロジェクト
【Ⅰ、Ⅱグループ共通】
個人あるいは団体(本会会員資格の有無を問いません。)
令和2(2020)年10月1日から令和7(2025)年9月30日までの間に終了した国内外の研究およびプロジェクトとする。
但し、継続中であっても十分な実績が得られていると考えられるものは、候補対象とする。
応募は推薦または自薦とする。
推薦者は、正会員(個人、法人)、特別会員および土木事業に関連する学・協会とする。
応募者は、応募用紙(ウェブサイトからダウンロード:WORD形式)と添付資料(pdf形式)を環境賞選考委員会ウェブサイトから電子的に提出する(上限は100M Byte)。なお、応募用紙の作成にあたっては、ウェブサイトからダウンロードし、別紙の評価項目に沿って記載すること。
なお、応募用紙の作成にあたっては、別紙の評価項目に沿って、そのエビデンスを示しつつ記載すること。また、内容説明会においても、各評価項目のポイントやエビデンスを明確にすること。
https://committees.jsce.or.jp/kankyo_sho/R7-form
応募用紙と添付資料はZIP形式で圧縮し、一つのファイルにしてください。
応募用紙※クリックするとダウンロードできます。
問い合わせ先
土木学会 環境賞選考委員会
TEL:03-3355-3442 / E-mail : office@jsce.or.jp
E-Mailでの提出は受け付けていません。上記の「提出先URL」から提出してください。
新着・お知らせ 添付サイズ 各グループにおける評価項目と評価の視点179.5 KB 令和7年度候補応募用紙(WORD形式)44.7 KB表彰規程および募集要項をご参照の上、ご応募されますようお願いいたします。
締切期日: 2025年9月30日(火)17:00必着
種別項目 研究業績賞・論文賞および論文奨励賞 選考対象【研究業績賞】
・原則として、土木学会誌、土木学会論文集、その他土木学会の刊行物に研究、計画、設計、施工、考案、維持管理などに関して発表された一連の論文等において、これが土木工学における学術・技術の進歩、体系化に顕著な貢献をなしたと認められる個人の研究業績。
・本年度は、第Ⅳ部門、第Ⅴ部門における業績を対象とする。
【論文賞】
・原則として、土木学会誌、土木学会論文集、その他土木学会の刊行物に研究、計画、設計、施工、考案、維持管理などに関して発表された論文において、独創的な業績をあげ、これが土木工学における学術・技術の進歩、発展に顕著な貢献をなしたと認められる単一の論文。
・過去に論文奨励賞を受賞した論文で論文賞の選考対象になることはできない。
【論文奨励賞】
・原則として、土木学会誌、土木学会論文集、その他土木学会の刊行物に研究、計画、設計、施工、考案、維持管理などに関して発表された論文において主要な役割をなし、これが土木工学における学術・技術の進歩、発展に寄与して、独創性と将来性に富むものと認められた若手研究者。
・年齢が2026年4月1日現在で満40歳未満の者であり、候補論文は選考対象が筆頭著者の単一の論文とする。
・過去に論文賞を受賞した論文で論文奨励賞の選考対象になることはできない。
【研究業績賞】
・ 受賞主体は、一連の業績をあげた個人に限る(本会会員資格の有無を問わない)。
・ 過去に研究業績賞を受賞した者は、再び受賞主体となることはできない。
【論文賞・論文奨励賞】
・ 論文賞の受賞主体は、著者全員とする(本会会員資格の有無を問わない)。
・ 論文奨励賞の受賞主体は、個人に限る(本会会員資格の有無を問わない)。
・ 過去に論文賞を受賞した者は再び受賞主体となり得るが、論文奨励賞を受賞した者は再び論文奨励賞の受賞主体になることはできない。
【研究業績賞】
・複数年(10年程度)にわたって継続的に発表されている論文等5編で、原則として土木学会論文集、その他土木学会の刊行物に登載されたものに限る。
・対象論文は選考対象者が筆頭著者のものに限らないが、共著の論文を選考対象とする場合には、その個人の業績全体に対する貢献度を示すとともに、事前に共著者の同意を確認し、確認書を提出する。また、過去に他の土木学会賞を受賞した論文については、これを選考対象論文としてよい。
【論文賞・論文奨励賞】
・2023年10月1日から、2025年9月30日までの間に発表されるもので、原則として土木学会論文集、その他土木学会の刊行物に登載されたものに限る。
【研究業績賞】
・推薦または自薦による
・推薦者は正会員(個人)とする
・応募に必要な以下の提出物は、論文賞選考委員会ウェブサイトの応募フォームから提出する
① 推薦書
② 推薦論文等5編(pdf形式)
③ 貢献度
④ 確認書
⑤ その他、推薦者が審査にあたって必要と思われる資料(pdf形式)
※ ①、③、④は応募フォーム上で入力、②、⑤は応募フォームからアップロードのこと
【論文賞・論文奨励賞】
・推薦または自薦による
・推薦者は正会員(個人、法人)、および特別会員とする
・応募に必要な以下の提出物は、論文賞選考委員会ウェブサイトの応募フォームから提出する
① 推薦書
② 推薦論文(pdf形式)
※ ①は応募フォーム上で入力、②は応募フォームからアップロードのこと
2025年 9月30日(火)(17:00必着)
提出先
・推薦者情報・推薦情報はweb入力となります。推薦者情報・推薦書等の記載内容・イメージ画面等は、各推薦(応募)フォームに掲載していますのでご参照ください。
研究業績賞・論文賞・論文奨励賞 推薦(応募) こちら
※メール、郵送による提出は受け付けておりません。
※共著者が10名を越える場合は、下記事務局までお問合せください。
※応募フォームより提出完了後、推薦者(応募者)に受付メールが送信されます。届かない場合は、下記事務局までお問い合わせください。
問合先
土木学会 論文賞選考委員会
E-mail:office@jsce.or.jp/TEL:03-3355-3442
新着・お知らせ 添付サイズ 令和7年度土木学会研究業績賞・論文賞・論文奨励賞の募集343.37 KB
2025 年2 ⽉26 ⽇に発出した「下⽔道に起因する道路陥没事故をうけての⼟⽊学会会⻑から会員の皆さんへのメッセージ」に対応した議論の場として、表題の検討会を立ち上げました。土木学会前会長である佐々木葉氏の元、インフラメンテナンスだけでなく幅広い専門分野の方々がメンバーとなり、各人が自分ごととして捉え、分野横断で議論を深めます。
今回から4回にわたり、各専門家から話題提供を頂きます。
第1回目は、公益財団法人リバーフロント研究所 技術審議役の土屋信行様を話題提供者に迎え、「都市施設維持管理の構造的問題」と題しお話を伺いました。
日時:2025年6月11日(水)18:00-20:00
場所:土木学会 会議室&オンライン
次第:
1.佐々木葉先生からのご挨拶
2.土屋信行様からの話題提供
3.フリーディスカッション
4.次回のスケジュール確認
資料:
資料1 第2回検討会議事録
次回、第3回の検討会では、メンバーである東京大学の小熊久美子先生と京都大学の松田曜子先生のお二方に話題提供をお願いしております。
お知らせインフラ自分ごと検討会は、メンバーに限らず、希望する土木学会の会員の皆さまに門戸を開いております。傍聴や参加を希望される場合は、直接座長・幹事に以下のフォームからご連絡ください。
本検討会に関するお問い合わせ 新着・お知らせ 添付サイズ 2025.6.11_第2回検討会議事録_コンパクト版(最終).pdf704.65 KB仕事の風景探訪 事例8(中部支部)【デザインのチカラ】【コミュニティのチカラ】【土地の記憶のチカラ】
事業者 岐阜県多治見市
所在地 岐阜県多治見市
取材・執筆・撮影:ライター 茂木俊輔
編集担当:大野暁彦(名古屋市立大学/仕事の風景探訪プロジェクト・中部支局長)
せせらぎの音と豊かな緑に包まれながら、お気に入りの場所で過ごす――。駅の目の前なのに、そんな贅沢な時間を過ごせる公共空間がある。JR多治見駅の北口に広がる虎渓用水広場だ。駅北口一帯の土地区画整理事業で用地を確保し、多治見市が2016年7月に供用を開始した。
虎渓用水広場のテラス。大人数で集える大テーブルやカウンターテーブルを設える
広さは50mプール3面相当。総延長約200mにわたって巡る水路には、約2㎞離れた土岐川から引き込む水が自然流下し、所々にテラスや小広場が配置される。テラスにはテーブルや椅子が備え付けられ、リモートワークも可能。無料Wi-Fiの環境がうれしい。
人口10万人規模の地方都市では、駅前と言えば交通広場が目の前にどんと居座り、主役は自動車交通。駅とまちとの間をつなぐ結節点というのが一般的だ。近くに駅ビルや繁華街でもない限り、人の姿は途切れがち。電車の発着に併せ現れては消え、虚ろな空間が残る。
ところがここは、ひと味違う。主役はあくまで歩行者だ。
平日午前は、サラリーマンや若者、それに親子連れが立ち寄り、近くの幼稚園や保育園からは数十人の園児がまとまって遊びに訪れる。駅北口は古くからの商店街で賑わってきた駅南口とは反対方向にあたるが、歩行者の姿が途絶えることはない。
駅北口にこうした広場を整備する構想は、30年ほど前に生まれた。
きっかけは、タネ地の出現だ。国鉄分割・民営化に伴い、駅北口に広がる機関区・操車場の利用が廃止された。市はこれを引き金に区画整理事業を通じた駅北口のまちづくりに乗り出し、1994年度には機関区・操車場の跡地を国鉄清算事業団から取得したのである。
土地区画整理事業前のJR多治見駅北口。右手に北口までの跨線橋が見える(写真提供:多治見市)
区画整理事業の計画図では、駅前の一等地を市は「多目的広場」と位置付けた。「旧国鉄跡地を貴重な公有地としてまちなかに確保し、他のまちにはない独自の広場をつくり上げよう、と計画していました」。区画整理事業の後半、2012年4月から事業完了の2020年3月まで事業担当部門に在籍していた現建設水道部上下水道工務課課長代理の守屋努氏は経緯を説明する。
2000年8月になると、市は多目的広場ワークショップを主催し、区画整理事業区域内の地権者をはじめ、まちづくりに関心を持つ市民らとともに、広場の整備計画を検討し始める。並行して新たな風景づくり計画策定委員会も立ち上げ、駅北口の魅力づくりに向けた検討も進めた。
多目的広場にまず期待されたのは、人が集まるにぎわいだ。
当時、多目的広場の整備計画づくりに携わっていた現都市計画部都市政策課課長代理の小木曽明芳氏によれば、広場内にはイベントを開催できる空間と客席代わりにもなる階段を整備する案を描いていたという。通過点になりがちな駅前を人が滞在する空間にしたいというワークショップ参加者の思いが、計画案ににじみ出る。
多治見市の守屋努氏(右)と小木曽明芳氏
多目的広場の構成要素には「水辺」も見込んでいた。市が2001年3月にまとめた「新たな風景づくり計画書」では、整備方針の一つとして「魅力的な水辺景観がまちをめぐる風景をつくる」を打ち出す。具体的には、水路の整備だ。「広場内にカスケードという段差のある水路を巡らせ、水の躍動を見せる、という想定でした」(小木曽氏)。
この水路に巡らせようとしていたのが、土岐川の水。虎渓用水として100年以上前から利用されてきた河川の水を再び活用した、独自の風景づくりを計画していた。
多治見市内を東西に横断する土岐川。虎渓用水には、この上流から水を引き込む
虎渓用水は農業用水として1902年に開削された。駅北口一帯に位置していた農村集落は江戸時代から水不足に悩まされ、近くを流れる土岐川から水を引き入れようとした歴史がある。その後、土岐川との間を隔てる虎渓山にトンネルを掘り、そこを介して水を引き入れ、地域一帯に用水として巡らせる工事を実施する。しかし、トンネル工事は困難を極め、集落は財産を売り払い、農家は私財を投げ売った、と伝えられる。用水の開削は地元にとって悲願の達成だった。
地域一帯の市街化が進むと、民家の軒先を流れる防火用水として利用されるようになり、そのうち雨水排水路に機能を転じる。それに伴い、暗渠化が進行。住宅地の間を走る生活道路の幅員に車両通行上の余裕を持たせる役割を果たすようになる。
舗装の異なる箇所の下に虎渓用水の水路が通る。暗渠化で道路の幅が広がった
その後、虎渓用水の再生を訴える声が、地元商工会議所からも上がる。「副会頭を務めていた伊藤良一氏が会頭賛同の下、商工会議所内で委員会を立ち上げ、多治見駅北地区の整備方針を独自にまとめたのです」と守屋氏はいきさつを語る。用水の再生には、開削に動いた先人の精神を次世代に伝える狙いを込めていた。
ワークショップで想定していた多目的広場とは何が異なるのか――。
守屋氏によれば、多治見独自の顔をつくり、多くの人が集えるようにしたい、というまちづくりへの思いは共通だが、水景への重きの置き方に違いが見られたという。「ワークショップでは水景を持ちつつも広場の活用に重きを置くのに対し、商工会議所では虎渓用水の再生に重きを置いていたように思われます」。
とはいえ、双方とも地元の声には変わらない。市は互いの案のすり合わせに乗り出す。その仕掛けが、「多治見駅北地区における虎渓用水を活用した水と緑の委員会」の立ち上げだ。2010年2月、伊藤氏を会長に発足。そこから15回にもわたって多目的広場の整備計画を煮詰めていく。
「水と緑の委員会」の様子(写真提供:多治見市)
最終的なコンセプトは、①日常でもイベント時でもいろいろな使い方ができる、いつでも活気ある場所②水と緑が重なり合い、その中に気持ちの良い居場所が織り込まれている場所③多治見ブランドとして他のどのまちにもない、ここだけの駅前風景――という3つ。これらに基づく整備計画案を、小学校区単位の地区懇談会、市広報誌での意見募集、市民500人アンケート、パブリックコメントなどの手続きで寄せられた声も踏まえ、修正を重ねた。
論点の一つは、広場の面積と水辺の面積のバランスである。最終的には、イベント空間としての広場を求める声を受け、広場の面積を当初の整備計画案より広げる形で落ち着いた。「『夏にはビアガーデンを開催したい』というように、ここでやりたいことが具体的に提案されていました。それができないようでは多目的広場を整備する意義が損なわれることから、みなさんがやりたいことがやれるだけの広さを確保することを優先しました」と守屋氏は経緯を明かす。
委員会の運営補助業務は玉野総合コンサルタント(名古屋市、現日本工営都市空間)が担当していた。そこに、オンサイト計画設計事務所(東京都港区)が事業協力者として加わる。多目的広場の設計段階では、かたや設計者として、かたや設計協力で参画することになる2社だ。
「駅北口にはどんな水辺空間がふさわしいのか、事例を委員会で熱心に視察に回り、『星のや軽井沢』のランドスケープ設計を担当したオンサイト計画設計事務所の名が挙がりました。そこで、委員会の運営段階から参画してもらったのです」(守屋氏)。
広場と水辺のバランス確保では、設計協力者の果たした役割は大きい。
「委員会ではさまざまな意見が出ます。しかしオンサイト計画設計事務所では、どんな意見も否定せず、ひとまず提案に取り込もうとする。その作業を丁寧に繰り返し、合意を得ていくのです。その取り組み姿勢には感心しました」。守屋氏はデザインの力に感嘆する。
JR多治見駅側から虎渓用水広場を見下ろす。正面に見えるのが、イベント広場
論点は、もう一つ。多目的広場内での用水再生をどう実現するかという点である。当初の計画は、既設水路の途中にある分岐点から広場まで新たに水路を整備し、分岐点からそこに自然流下方式で水を流す、というもの。維持管理コストを抑える狙いから、動力は利用しない。
ところが、地形がそれを許さない。守屋氏は解説する。
「分岐点と広場との間は水頭差6m程度。途中の起伏を乗り越える必要もある。自然流下方式で水を流すには、広場への流入地点を地面から3m下げざるを得ません。そこからさらに広場内を巡らせようとすると、その形状は極端な逆ピラミッド型になってしまうのです」。
そこで採用を決めたのが、水路の代わりに導水管を用いる方式だ。分岐点と広場の間を導水管で結び、分岐点側からの水圧で水を送り込む。これなら、広場への流入地点は地面から1m下げるだけ。広場内をさらに水路で巡らせるにも、深く掘り下げずに済む。
導水管は公道下に埋設するが、既設水路と並行する区間は暗渠化された水路内に敷設する。分岐点から広場まで導水管の延長は約1000m。委員会から条件付けられた毎秒200ℓの流水量を、この方式で確保することに成功した。広場内を巡った水は、再び導水管を通して既設の水路内に戻り、最終的には土岐川支流の大原川に流れ込む。
虎渓用水広場内の水路は、いくつかの段差が設けられ、水が自然流下していく造り
土岐川から取水するにあたっては、水利権の見直しを求められた。
水利権とは、特定の目的のために、その達成に必要な限度で、河川の流水を排他的・継続的に使用する権利。1896年制定の旧河川法で許可制を取り入れたが、土岐川からの取水はそれ以前から実態があったため、虎渓用水には慣行水利権が認められていた。
ところが、①権利の内容が不明確②見直しの機会がない③取水量報告の義務がない――という理由から、国は慣行水利権を1964年制定の新河川法で定める許可水利権に移行させていた。虎渓用水の再生論議をきっかけに、市は河川法を所管する国土交通省との間で新たな用水の活用方法の協議を始める。
その結果、農業用水としての目的を終えた虎渓用水は、環境用水として再活用が認められることになる。対象施設は、虎渓用水広場だけではない。市が同時期に整備するビオトープや散水用井戸ポンプも含まれる。「環境用水としての水利使用であるため、水辺の環境づくりや暑さ対策という観点から、この2つの施設も加えることにしたのです」と小木曽氏は理由を明かす。
散水用井戸ポンプは、虎渓用水の水路が巡る一帯に立地する小学校前に整備された
虎渓用水の再生に向けた課題をこうして乗り越えながら、2015年7月、多目的広場は整備工事を迎える。市は設計監理業務を設計協力者でもあるオンサイト計画設計事務所に委託。水と緑の委員会の運営補助業務や設計協力業務での実績を評価し、随意契約で発注した。
利用者自ら居場所を生み出せるように椅子は可動式整備工事と並行して、市は2015年9月、多目的広場の設置・管理条例を制定。指定管理者による管理を定めた。「夏のビアガーデンなど市民が開催を望むイベントを開催しやすいように広場利用の自由度を上げるには、地方自治法上の『公の施設』と位置付け、運用については設置・管理条例で定めるのが一番、と判断した結果です」と守屋氏は経緯を説明する。
虎渓用水広場には集客力の高い各種のイベントでにぎわいが生み出される(写真提供:多治見市)
細かな縛りをなくそうという心意気は、可動式の椅子にも表れる。
広場内に備え付けの椅子はどれも、ただ置いてあるだけ。屋外に設置する椅子を盗難防止のワイヤーで地面にくくりつけている例も見られるが、ここでは解放されている。
「椅子を自由に動かせれば、例えば日陰など自分にとって気持ちの良い場所に居場所を好きに確保できます」と守屋氏。多目的広場のコンセプトに登場する言葉でもある「気持ちの良い居場所」は利用者自らが生み出すものでもあるという。
守屋氏はさらに言葉を続ける。「盗難防止に固定するというのが、行政の常識です。夜間だけ片づけるという案も出ましたが、手間がかかる。そこで思い切って、指定管理者が毎日、椅子の数を管理する程度にとどめたのです。市長にこの話を上げると、『椅子を盗むような市民は多治見にはいない!』と全面的にバックアップしてくれました」。
供用開始から9年。虎渓用水広場という通称が定着し、いまでは当初の期待通り、人が集まるにぎわいを生み出す空間として親しまれる。
2025年5月を例に取れば、市内で無肥料・無農薬栽培に取り組む生産者がオーガニック専門のマルシェを開催したり、市出身の女性ラッパーらが音楽・ダンスショーを開催したりするなど、にぎわいづくりに貢献する。指定管理者でもある一般社団法人多治見市観光協会(たじみDMO)も野外本屋を開設。駅北口に多治見独自の顔をつくる。
駅北口には、2015年1月に供用を開始した市の北庁舎に続き、本庁舎も移転してくる予定。供用開始は2029年上半期を目指す。その暁には、虎渓用水広場を新庁舎の前庭と位置付け、より一層のにぎわいを創出する計画だ。地方都市の庁舎は一般に、駅から離れた市街地に立地するが、その常識を覆す異例のまちづくりが控える。多治見独自の顔をつくる仕事は、まだ続く。
JR多治見駅北口には市庁舎が移転してくる予定。写真右奥には虎渓用水広場が広がる