公益社団法人土木学会※1(会長 林 康雄)は、無料で学習できるオンライン講座「土木情報学入門」を、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)※2のMOOC※3講座として2020年5月7日より再開講することを決定し、3月9日より募集を開始しました。
本講座は、土木分野のICT活用での基礎となる情報理論・技術を体系的に整理・解説します。社会全体でICTの浸透が進む中、土木技術者にはICTに関する知識と技術を身につけ、使いこなすことが求められます。CIM(シム)※4やi-Construction(アイ・コンストラクション)※5が普及・拡大していく時代に向け、技術者個人の知識習得だけでなく、企業や行政機関での研修や大学等の教育機関における学習素材としてもご活用いただけます。本講座は、土木学会継続教育(CPD)制度※6の認定e-ラーニングであり、修了により8単位の学習記録として土木学会CPDに登録可能となっております。
さらに、講座受講修了者に対して、オープンバッジ※7(デジタルクレデンシャル:電子資格・修了証明書)が発行されます。
本講座は土木学会 土木情報学委員会※8(委員長 蒔苗 耕司)が企画・製作したものであり、株式会社ネットラーニング※9(代表取締役:岸田 徹)が運営するJMOOC公認プラットフォーム「OpenLearning, Japan」※10で提供いたします。なお、製作にあたっては一般財団法人日本建設情報総合センター(Jacic)※11の助成の一部を活用しています。
講座内容は2019年5月~6月に公開したものと同一ですが、確認テストは変更して出題されます。前回の講座では2000名以上の登録があり、修了者数は829名でした。
2018年6月閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」(参考)では、学会が産業界と連携し実務型プログラムのオンライン提供やリカレント教育コースを設置することなどが目標として掲げられていることから、土木学会では引き続き、土木技術者の能力向上に資する多種多様な学習素材と学習機会の提供に努めてまいります。
記
【本件に関する問い合わせ先】
公益社団法人土木学会 技術推進機構 尾崎 史治
TEL: 03-3355-3502 MAIL:opcet-cpd@jsce.or.jp
一般社団法人日本オープンオンライン推進協議会 事務局
TEL:03-3295-3555 MAIL:secretary@jmooc.jp
株式会社ネットラーニング 教育事業部
TEL:03-5338-3011 MAIL:openlearning@nl-hd.com
【メディアからのお問い合わせ先】
株式会社ネットラーニング 広報 猪股 美和
TEL: 03-5860-6111/080-4298-7271 MAIL:pr@nl-hd.com
土木情報学 入門 講座概要
学習目標
① 社会インフラの整備・運用・管理における情報通信技術を適用することの意義を説明できる。
② 土木情報学を構成する基礎技術のうち、計測・通信・制御、ビジュアル情報処理、ソフトコンピューティングについて、それぞれの技術の原理と適用方法を説明できる。
③ 土木情報学の応用としてのCIMについて、その意義と適用範囲を説明できる。
学習内容
土木情報学は、社会インフラのライフサイクルの中での情報の取得・生成・蓄積・流通・活用に関する理論・技術を探求する学問である。この講義ではその入門編として、3次元計測や衛星測位等の計測技術、IoTや建設機械の制御に用いられる通信・制御技術、デジタル画像解析やVR/AR等のビジュアル情報処理、人工知能に用いられるニューラルネットワークや最新のディープラーニング等のソフトコンピューティングの基礎を学習する。
さらに土木情報学の応用としてCIMを取り上げて、その概念と導入の意義,設計・施工段階での適用と効果について学ぶ。
受講期間
2020年5月7日~6月11日(募集開始:2020年3月9日)
講師陣
土木学会 土木情報学委員会 蒔苗 耕司(宮城大学)、石田 仁(五洋建設(株))、和泉 繁(大日本コンサルタント(株))、河村 圭(山口大学)、間野 耕司((株)パスコ)、千葉 洋一郎(パシフィックコンサルタンツグループ(株))、岡本 修(茨城工業高等専門学校)
講座内容
第1週:土木情報学とは/計測・通信・制御
土木情報学とは/3次元計測/GNSS/通信と制御
第2週:ビジュアル情報処理
画像のデジタル化/画像処理の基礎/画像間演算と動画像処理/
CG/画像処理の応用技術(VR/AR)
第3週:ソフトコンピューティング
ファジイ理論/遺伝的アルゴリズム/ニューラルネットワーク/ディープラーニング
第4週:土木情報学の応用-建設現場におけるCIM活用
CIMとは?/CIMの活用(設計~施工計画)/
CIMの活用(施工その1)/CIMの活用(施工その2)
修了要件
・すべての確認テスト、最終テストに解答(送信)すること
・すべての確認テスト、最終テストの合計で60点以上を獲得すること
・修了者には、オープンバッジが発行されます。
受講申込
・以下のURLからプロモーションビデオの視聴、受講の申込ができます。
https://open.netlearning.co.jp/lecture/index.aspx?cid=00029J12
※1 公益社団法人土木学会
URL:http://www.jsce.or.jp/
1914年設立。産官学の土木技術者により構成。個人会員数約40000人。土木工学に関する調査研究のほか、技術者教育・土木広報・国際交流などの活動を展開している。
※2 一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)
URL:https://www.jmooc.jp/
2013年11月設立の非営利団体。2012年に米国で爆発的に普及拡大したMOOC※3を日本で普及させることを目的とし、産学連携組織として活動を行なっている。
※3 MOOC(Massive Open Online Courses)
大学の講義に代表される高品質な講座をオンラインで学習する機会を無償提供するサービス。オンライン講座を登録学習し、課題などに回答することで合格者に修了証が提供される教育サービス。世界中では6,000万人以上、日本でも40万人の受講者がいる。
※4 CIM(シム:Construction Information Modeling/Management)
計画、調査、設計段階から3次元モデルを導入することにより、その後の施工、維持管理の各段階においても3次元モデルを連携・発展させ、事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にし、一連の建設生産システムの効率化・高度化を図ることを目的とした取組。
※5 i-Construction(アイ・コンストラクション)
ICTの全面的な活用等の施策を建設現場に導入することにより、建設生産システム全体の生産性向上を図り、もって魅力ある建設現場を目指す国土交通省の取組。
※6 土木学会 継続教育(CPD)制度
URL:http://committees.jsce.or.jp/opcet/cpd
土木技術者が倫理観と専門的能力をもって社会に貢献していけるよう、土木技術者(関連する分野の技術者も含む)としての能力の維持・向上を支援することを目的とした制度。
※7 オープンバッジ
オープンバッジ(Open Badge)は、IMS Globalが定めた国際技術標準規格のデジタルクレデンシャル(電子資格・修了証明書)で、さまざまな資格や試験、学位などの証明書として発行される。オープンバッジの受領者は、オープンバッジをSNSで共有したり、資格証明書としてスキル証明を行ったりとさまざまな利用方法がある。また、オープンバッジには、ブロックチェーンを活用した改ざんや偽造のされることがない強固な資格・試験・学位証明を行うこともできる。オープンバッジによって、学習者が学習プログラム終了と資格取得への意欲が増したという実例も海外では見られる。
IMS Globalのオープンバッジに関する説明は以下を参照。
https://www.imsglobal.org/initiative/advancing-digital-credentials-and-competency-based-learning
※8 土木学会 土木情報学委員会
URL:http://committees.jsce.or.jp/cceips/
土木情報学に関する課題の研究・研究とその推進により、土木界における情報の有効な利用を図ることを目的に活動。
※9 株式会社ネットラーニング
URL:https://www.netlearning.co.jp/
1998年設立。eラーニング最大手企業として培った知識と経験を基に、教育・研修・学習のデジタルソリューションサービスを提供。創立20周年を迎えた2018年からは効果的な学びに加え、行動変容と成果をもたらす学びをデジタルソリューションとして提供している。
※10 OpenLearning, Japan
URL:https://open.netlearning.co.jp/
2014年9月に開設。JMOOCで3つ目の公認プラットフォームとして、これまで20の大学・法人と提携し、41講座を開講。e-ラーニング専業で国内最大手の株式会社ネットラーニング(代表取締役:岸田 徹)が提供、運営。
※11 一般財団法人日本建設情報総合センター(Jacic)
URL:http://www.jacic.or.jp/
1985年設立。建設事業の円滑な執行に資する情報システムの調査研究、開発・改良、運用・保守並びに建設情報の提供・普及を行うことにより、建設技術の向上、建設事業の効率化、国土の安全かつ有効活用の促進を図ることを目的に活動を展開している。
【参考】経済財政運営と改革の基本方針2018(平成30年6月15日閣議決定) ~少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現~
第2章 力強い経済成長の実現に向けた重点的な取組
1.人づくり革命の実現と拡大
(1)人材への投資
④ リカレント教育
<中略>
(産学連携によるリカレント教育)
新規かつ実践的で雇用対策として効果的で必要性の高いリカレント教育のプログラムの開発を集中的に支援する。
○ 先行分野におけるプログラム開発
大学・専門学校・民間教育訓練機関に委託し、産学連携により、20 程度の分野(AI、センサー、ロボット、IoTを活用したものづくり、経営管理、農業技術、看護、保育、企業インターンシップを取り入れた女性の復職支援等)において先行的にプログラムを開発し、逐次全国展開する。
また、業界団体、学会等と連携して実務型プログラムを大幅に拡充し、アーカイブを積極的にオンラインで提供するとともに、民間が運営しているリカレント教育の講座情報を提供するホームページをネットワーク化し、総合的な情報提供を行うポータルサイトを整備する。
○ 技術者のリカレント教育
情報処理、バイオ、ファインケミカル、エンジニアリング、ロボットなど各分野において、企業の研究者・技術者が最新の技術のリカレント教育を受けることができるリカレント教育コースを、新たに業界と連携し、学会等に設置し、その運営を委託する。その際、プログラムは、学会のホームページやオンラインでも提供する。産業界においても、研究者・技術者のリカレント教育受講を促すよう各企業に周知を図る。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2018/decision0615.html
※赤太字は土木学会で強調