わが国の土木分野のコンクリート構造物の設計、施工、維持管理において広く活用されている土木学会コンクリート標準示方書の[施工編]、[ダムコンクリート編]、[規準編]を改訂し、2023年10月3日より書籍(紙媒体)と電子書籍での刊行を開始いたしました。併せて「コンクリートライブラリー164 2023年制定コンクリート標準示方書改訂資料 -施工編・ダムコンクリート編・規準編-」(紙媒体)を刊行いたしました。新しい示方書は、これまでの示方書の理念とスタイルを踏襲しつつ、近年の技術の進歩が数多く取り入れられています。
■2023年制定 コンクリート標準示方書[施工編]
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今回の改訂では、検査の位置づけを見直し、施工者の行う検査は[施工標準]の品質管理に、発注者の行う検査は[検査標準]に記載しました。[施工標準]には、自己充填性を有する高流動コンクリートや土木用プレキャストコンクリート製品を加えました。また、レディーミクストコンクリートの呼び強度の強度値には、計量抜取検査における合格判定基準値に基づき指定する必要があることを示しました。[目的別コンクリート]には、締固めを必要とする高流動コンクリート、混和材を大量に使用したコンクリート、再生骨材コンクリートおよび打込み時のコンクリート温度が35℃を超える暑中コンクリートを新たに追加しました。 |
■2023年制定 コンクリート標準示方書[ダムコンクリート編]
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今回、10年ぶりの改訂を行いました。大きな改訂点は、温度規制計画の見直し、ダムコンクリートの品質安定化、プレキャスト部材の活用、およびダム再生です。
温度規制計画では、温度ひび割れ予測手法として有限要素法を用いた温度応力解析を標準としました。また、各種新技術の活用により製造時のフレッシュ状態を適切に管理して品質の安定化を図ることや、品質管理試験の頻度を、工事の進捗に伴い、適宜、見直すことについて記述しています。さらに、品質確保かつ生産性向上に寄与するプレキャスト部材の積極的適用と技術的配慮事項、既設ダム堤体のかさ上げや放流設備の増設などのダム再生における留意点等について説明しています。 |
■2023年制定 コンクリート標準示方書[規準編]
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5年ぶりに改訂された新たな示方書[規準編]は、コンクリート標準示方書[設計編][施工編][維持管理編]との効果的な連携・補完や利用者の利便性などを鑑み、化学混和剤、フレッシュコンクリート、補修材料の評価試験に関する最新の知見を盛り込んだ規準を追加するとともに、コンクリート標準示方書と関係が深いJIS、日本コンクリート工学会、日本非破壊検査協会などの規格・規準の最新情報を取りまとめました。 |
■コンクリートライブラリー164 2023年制定 コンクリート標準示方書 改訂資料 施工編・ダムコンクリート編・規準編
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この改訂資料は、コンクリート標準示方書[施工編]、[ダムコンクリート編]および[規準編]の改訂作業において実施された議論の内容を紹介し、改訂の背景や根拠を示しています。また、今回の改訂版に含めるに至らなかった積み残した課題や項目についても紹介しています。コンクリート標準示方書各編の内容の理解の助けになるとともに、新しいコンクリート技術の開発や活用にも役立てることが出来ます。 |