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平成16年度出版文化賞受賞作品

地質・砂防・土木技術者/研究者のための 土石流の機構と対策

高橋 保 著 近未来社 2004年9月初版発行

 

  

 土石流の流動や堆積物の状況については、土石流の経験やその言い伝えから、これを恐れる山間地の住民の間では断片的にではあるが知られていたと思われる。しかし、発生箇所や時期の予測が困難であり、かつ瞬時に大きな災害をもたらす土石流の詳細な観察記録を得ることは難しく、科学的に土石流のメカニズムを明らかにした専門書は非常に少ない。したがって、土石流のメカニズムの解明と災害対策は極めて重要な工学的課題である。
 著者は、1965年から40年にわたり土石流の調査研究に携わっており、本書は著者の研究成果を、土石流のメカニズムの定量的解明と、これに基づく土石流対策法の構築に主眼をおいてまとめられた労作である。本書では、土石流の現象と分類、流動メカニズム、発生・発達過程に関する基礎理論が正確に網羅されている。また、著者自身による現地観測、現象解明、力学モデル、模型実験、数値解析シミュレーションなどを駆使し、力学的に極めて正統的な方法により、土石流の未知のメカニズムが解明されている。著者が構築した土石流の力学理論は560もの理論式や350にも及ぶ図表に展開され、これらの成果は対策法の立案や砂防構造物の性能設計法に反映されている。これらは、土石流対策という技術分野に大きく貢献するものである。

 以上により本書を高く評価し、平成16年度土木学会出版文化賞を贈ります。
 


土木人物事典

藤井肇男 著 アテネ書房 2004年12月初版発行

 

 本書は、幕末から昭和までの時代に活躍した土木の分野に関わりが深い日本人500人について、多くの写真や図版とともに解説を付し、重要人物については参考文献の一覧を掲げるなど、長年の地道な準備作業に裏付けられた、類を見ない人物事典としてまとめられたものである。この種の事典は元来多くの執筆者が関与して編集されることが多いにもかかわらず、たった一人の手で人物の履歴や仕事の内容、著作その他の成果について歴史的事実を確認する作業を行ったことは驚くべきことであり、想像を越える時間と労力と根気がなければ持続できるものではない。その意味では、長年土木学会の付属図書館で土木史料の収集、整理に携わってきた著者にしかなし得ない、重要な作品である。退職後の時間と心血を本書の編集に注いだ著者の意欲は、多くの研究者のそれと何ら遜色がないものと言える。
 ともすれば事業そのものに関心が向けられ、携わった人々には興味が持たれない場合が少なくない土木の分野において、人物を真正面からとらえようとした本書は、オリジナリティあふれる貴重なものである。今後の土木の分野において、本書が有効に寄与する機会は相当多いものと考えられ、特に土木史研究の基礎的な文献の一つとして今後欠かさず参照すべき基本書となることは疑いなく、その価値は極めて高い。

 以上により本書を高く評価し、平成16年度土木学会出版文化賞を贈ります。

(c)Japan Society of Civil Engineers