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平成18年度出版文化賞受賞作品

トンネル 地中の星にエールを(西山芳一写真集)

西山 芳一 著 施工技術総合研究所 2005年10月初版発行

 

 

 
<著者近影>
  

 本書では、最先端のトンネルのみならず、歴史的ポータルもが特有のタッチで表現されている。建設に従事する人以外にはほとんど目に触れることのないトンネルが「地中の星」になぞらえられ,工事現場や機械類をも含めて表現された空間の美学はむしろ衝撃的ですらある。
 写真芸術作品としての秀逸さに加え、構造物を概観できる資料的価値も兼備しており、土木構造物の意外な美しさに気づかせてくれる点でも、土木工学に対するモチベーションの向上教材として大きな価値をもつ。また、構造物の施工に従事する人々、技術開発者、機械製造者らにも光を当てようとする試みは、土木技術者の意義をもひろく社会に発信し得るであろう。巻末の作品解説には写真撮影に至る周到な準備のプロセスが詳述されており,いわば執着心とも呼ぶべき著者らの熱意を強く感じ取ることもできる。さらには、建設中,建設直後の新しいトンネルに加え,戦前に建設された“土木遺産”としての古いトンネルもが紹介されているが,そこには時間軸を伴いインフラが獲得する価値に対する重要な問題提起が含まれている。全ての文章に英訳が施されており、日本のトンネル技術を視覚的に世界に発信できるすぐれた啓発書である点も高く評価される。本書が土木工学・土木技術の意義を広く社会に広めるための重要な媒体となっていくことが大いに期待される。

以上より本書を高く評価し,ここに土木学会出版文化賞を贈呈する。

    

 

 

 


日本の放水路

岩屋 隆夫 著 東京大学出版会 2004年11月初版発行

 

 

日本の放水路

 

 <著者近影>
 

本書はこれまで河川工学分野で体系化が十分になされてこなかった放水路に焦点をあて,その定義や分類に始まり,放水路整備の歴史,開発の経緯,構造的特徴,成立条件等を包括的に明らかにすることで,放水路の役割と機能を評価し,治水計画という枠組みから体系づけたものである。
従来,放水路はどちらかといえばマイナーな存在であって,その定義も統一されておらず,また,多くは歴史に埋もれ,既往の専門的資料においてもその全容の把握は不可能な状態にあった.そこで著者は長年にわたる膨大な資料の解析と日本全国の現地踏査を通じて,放水路の全容を把握しつつ,その定義・分類を与え,個々の放水路開発の経緯を明らかにしてきた.さらに,放水路開発場所の地形条件を海岸砂丘地帯,沖積地,および山地・丘陵台地の3つに分類整理した上で,それぞれの特徴や放水路の成立条件について体系的に示し,これらの知見の集大成として本書が編まれた。
 一級河川の過半に存在する放水路は治水上も極めて重要な位置づけにあり,著者のオリジナリティに富むこれらの知見は,従来の河川工学の体系に放水路という観点からの新たな枠組みを提示するものと高く評価できる。
 治水上の選択肢としての放水路開発を検討する河川技術者にとっての貴重な情報源となることはもとより,放水路の歴史的な開発過程に関する網羅的な情報は土木史的観点からも高い価値を有する。

 以上により本書を高く評価し,ここに土木学会出版文化賞を贈呈する。
 

 

(c)Japan Society of Civil Engineers