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平成15年度出版文化賞受賞作品

Johannis de Rijke 

(邦題:日本の河川を甦らせた技師デ・レイケ)
上林好之 原著  Noriko de Vroomen, Pim de Vroomen 共訳  Walburg Pers 2002年4月初版発行

   

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 ヨハニス・デ・レイケは、明治政府から四等工師として招聘され、我が国の近代国家草創期に30年にわたり荒廃した河川の改修と国土保全に貢献したオランダ人技師である。原著者は、オランダ語を独学し、その子孫らを訪ね歩いて友人エッシャーと交換した書簡を探し当ててそれを読破するなど、デ・レイケに関しての綿密な文献調査を長年にわたって行ってきた。

 本書は、デ・レイケの生涯、業績を友人エッシャーとの交流を通して描いた和書のオランダ語訳としてオランダで出版されたものである。近代化以前の日本へはるばる海を渡ってきた一人のオランダ人技術者が直面した困難、経験、そしてその活躍の様を描くことにより、土木技術者や土木事業そのもののあり方を示すとともに、当時の日本の土木行政や社会情勢をも鮮やかに描いている。

オランダ語への訳本としては図表の翻訳などに不完全な面もあるが、その表現の水準はオランダ人研究者らからも高い評価を受けている。本書で描かれている異国で粉骨砕身し、その発展に大きな貢献を果たした土木技術者の姿は日本の読者ばかりでなく、オランダの読者に対しても多くの感銘を与えるであろう。さらには、日本、オランダ間の交流の歴史を示す貴重な文献として、日蘭の文化交流にも大きく貢献するものと考えられる。

 以上により本書を高く評価し、平成15年度土木学会出版文化賞を贈ります。
 


風景学・実践篇 風景を目ききする
 

中村良夫 著 中央公論新社 2001年5月初版発行

風景学・実践篇 風景を目ききする

       ===>more

 著者は高度成長期以来の日本の風景の激変期に、一貫して景観の研究と風景学の構築に携わってきた。名著として知られる『風景学入門』(1982年)の続編として書かれた本書は、一見散文的な筆致が前著と異なる印象を与えるが、著者の長年の経験と思索が凝縮された独自の風景思想の集大成であると言える。

 著者は本書において、個人の内面において行われる風景の目ききという行為の内に存する創造性を指摘し、そこにこそ定型化したわれわれの風景観をゆさぶり、新しい風景を獲得する契機があると述べる。その主張は、著者自身の体験と思索を軸にして、また日常的な生活の風景を舞台として、あたかもエッセイのような穏やかさで淡々と綴られており、暖かさに満ちた著者の風景に対する眼差しが読者に伝わってくる。

 随所に見られる難解な概念や表現が本書の理解をやや困難にしてはいるが、風景を眺めることの楽しみと奥深さを見事に描き出し、風景の改変に関与する土木技術者が備えるべき眼差しを示している点は、本書独自の優れた価値である。そしてこの価値は土木分野のみならず、都市や建築、造園などの他分野をはじめ、広く一般に通じるものである。

 以上により本書を高く評価し、平成15年度土木学会出版文化賞を贈ります。
 

(c)Japan Society of Civil Engineers