土木学会地盤工学委員会斜面工学研究小委員会現地調査団
5月末に実施しました現地調査結果をふまえました報告書を作成致しました。
1.はじめに
平成23 年台風12 号(以下,台風12 号と略記)は,8 月末から9 月初めにかけて,広い範囲に大雨をもたらし,8 月30 日17 時から9 月6 日までの期間降水量は奈良県上北山において1814.5ミリ,同風屋において1360.0 ミリを記録した1).この大雨によって,紀伊半島を中心に各地で甚大な土砂・河川災害が発生した.全国で人的被害が死者82 人,行方不明者16 人,物的被害が全壊379 棟,半壊3,159 棟,一部破損469 棟,床上浸水5,500 棟,床下浸水16,594 棟等にのぼり1),これらの被害は和歌山,奈良,三重の三県に集中した.本台風災害は近年では最大級の被害となり,「深層崩壊」や「土砂ダム」が社会の高い関心を集めた.
斜面工学研究小委員会は,土木学会関西支部と合同で,平成23 年10 月7 日~9 日の3 日間,奈良県十津川村を中心とした現地調査を実施し,砂岩頁岩互層からなる流れ盤構造の北西落ち斜面で崩壊が発生していたこと等を明らかにした2).しかしながら,崩壊規模の大きさや崩壊箇所数の多さから,崩壊や土石流を概略把握する程度であった.これまでの報告によると,本台風災害では3,000 箇所以上の崩壊と1 億m3 以上の崩壊土砂が生じたと推定され3),この影響は被災地域では長期的に続くとみられる.そこで,大規模崩壊の実態をより詳細に解明することを目的として,平成24 年5 月26,27 日の2 日間,現地の再調査を行った.
本報告では,これまでの二回の調査結果をもとに,災害発生地の地質および地形状況,崩壊の概要と地質・地形的要因,過去の崩壊との関連性について検討した結果について述べる.
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平成23年台風第12号土砂災害第2 回調査報告書(PDF) | 2.46 MB |