2009年9月から10月に発生したフィリピンにおける水害では、150年確率降雨に相当すると言われる激しい降雨により、千人規模の死者となる大規模な災害となった。マニラでは、市内の内水排除用の排水路の疎通能力不足により、ほぼ毎年のように内水氾濫が生じているが、今回の台風では、マリキナ市の高級住宅街やマカティ市の低地帯が浸水するなど、マニラ首都圏の外水氾濫・内水氾濫が非常に大きかった。また、首都圏に近接するラグナ湾の水位が上昇し、なかなか引かないことによって被害が出ている。さらに、バギオ地域に1週間にわたって1800mm近い大雨が降ったため、アグノ川が洪水を起こした。その際のダムの操作も議論になっている。
(社)土木学会は、地球温度化によって巨大台風の発生・上陸および連続上陸が懸念されている日本においても本災害の対応状況に学ぶ点は大きいことに鑑み、また、土木学会フィリピン分会とも連携し、現地の今後の対応策策定の一助とするため、調査団を派遣することとした。なお、本調査では、流域の降雨状況・出水状況・氾濫状況などの河川・水文資料を収集し、内水氾濫と外水氾濫の分離を行って、洪水実態の把握を行うとともに、関係機関との打合せやフィリピン大学との情報交換を通じて今後の対応策策定の一助とする。
なお、本調査団の派遣は、(財)河川環境管理財団の受託、また防災研究フォーラムの協力を得て実施するものである。
団長 | 大石 哲(神戸大学 教授) |
団員 | 岡田 将治(高知工業高等専門学校 准教授) |
団員 | 加藤 佑介(日本工営株式会社 技師) |
団員 | 加本 実(在フィリピン JICA長期専門家) |
団員 | 河村 明(首都大学東京 教授) |
団員 | 木島 梨沙子(京都大学大学院博士課程学生) |
団員 | 畔栁 剛(㈱シーエーアイ 部長) |
団員 | 武田 誠(中部大学 准教授) |
団員 | 新田 友子(東京大学大学院博士課程学生) |
団員 | 米山 望(京都大学防災研究所 准教授) |
団員 | 渡邊 康玄(北見工業大学 教授) |
団員 | Ratih Indri Hapsari(山梨大学大学院博士課程学生) |
【連絡先】大石 哲:電話 078-803-6338 (神戸大学都市安全研究センター) E-mail: tetsu@phoenix.kobe-u.ac.jp
11月29日~12月 4日 | |
11月30日 | アグノ川流域被災地調査 |
12月 1日 | アグノ川流域被災地調査 |
12月 2日 | パシグ・マリキナ川被災地調査 |
12月 3日 | パシグ・マリキナ川被災地調査、フィリピン大学ディリマン校との情報交換 |
【問合せ窓口】 この件の連絡先は下記の通りです。
(社)土木学会 事務局長 佐藤 恒夫 03-3355-3442 office@jsce.or.jp