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公開講演会実施報告(2022/08/29)

投稿者:吉井 匠 投稿日時:木, 2022-09-01 15:39

公開講演会(2022年度第2回原子力土木委員会第1部) 実施報告

 

原子力土木委員会幹事団

 

1.講演会開催情報

 

  日時:2022年8月29日(月)13:00-14:30

  場所:オンライン開催(Zoomウェビナー)

  講師:吉田 智朗 様(電力中央研究所 原子力リスク研究センター 副所長)

  演題:「原子力におけるリスク情報を活用した意思決定」

  概要:

 原子力発電は、カーボンニュートラルに貢献しうる大容量電力供給源として有力であるが、その運用には十分な安全性と信頼性の確保が求められる。確率論的リスク評価の知見を応用するリスク情報を活用した意思決定は、原子力発電の継続的安全性向上と経済性の両立を可能とする有効な枠組みである。本講演では、その有効性のしくみと海外での経緯・現状、および、我が国での今後の展開について解説する。

 参加人数:240名

 

2.講演会報告

 

 講演会冒頭で、原子力土木委員会中村委員長より開会の挨拶があり、続いて岡田幹事長より吉田氏の経歴が紹介された。

 吉田氏の講演では、リスク情報を活用した意思決定の概要説明に始まり、アメリカにおける取組みの紹介、我が国における取組みについて説明が行われた。

 概要説明では、リスク情報を活用した意思決定とは、確率論的リスク評価(PRA)の知見を工学的知見とともに考慮して行う意思決定の方法であり、PRA評価を行うことで、支配的事故シーケンスや機器の重要度が明らかになることが示された。

 これらの取組みについては、アメリカ原子力規制委員会(U.S.NRC)による「リスクインフォームド規制」が世界の先駆的成果であり、その基本的概念は、規制負担を公衆の健康・安全や環境に対する重要度に応じたものにするということである。過度な保守性を排除し、安全性向上に寄与しない規制負担の低減を行うことができ、安全性の維持向上に寄与する分野に規制資源・事業者資源を重点配分することで、原子力発電の安全性と経済性の両立が可能となり、規制当局・事業者双方にとってのメリットがあることが示された。アメリカでは1995年の政府声明以前からも規制へのPRA活用は行われており、1979年のスリーマイル島の事故に際に、PRAの有用性が強く認識され、以降PRAが規制上に判断に使われるようになった。その後、1998年にU.S.NRCから「Generic Letter 88-20」が出され、PRAの使用は要求されていないものの、事実上全プラントが脆弱箇所の同定のためにPRAを実施することとなった。産業界においてもPRAを用いて規制要件免除申請の活動が行われるようになり、PRAを用いて許認可ベースを変更するための規制指針「Regulatory Guide 1.174」が1998年に策定された。指針では許認可ベース変更の総合的判断の5原則が示されており、その中でも「深層防護の考え方を維持すること」及び「十分な安全余裕を維持すること」「リスク増加を低く抑えること」、「変更によるパフォーマンス変化を監視すること」が重要であることが示された。実施例としては、配管検査合理化の取組みがあり、PRAを活用して重要部位から優先的に検査する方法に変更した結果、配管破損に起因するリスクが減少するとともに、検査箇所は約2割まで減少し、検査要員の被ばく線量も減少した。また、許容待機除外時間(AOT)を利用して原子炉運転中に安全系統を予防保全する取組み(オンラインメンテナンス)についても実施されていることが示された。

 我が国においても、電力中央研究所原子力リスク研究センター(NRRC)が中心となってPRA手法の研究開発やリスク情報を活用した意思決定(RIDM)の手法開発が進んできている。原子力事業者の戦略プランとしては、フェーズ1としてリスク情報を活用した自律的な発電所マネジメントの高度化に取り組んでおり、着実に進捗している。また、フェーズ2として自律的な発電所マネジメントを継続的に改善するとともに、RIDMの活用範囲の拡大をはかるとしている。フェーズ1の実施例としては運転時リスクモニタの導入等が挙げられ、運転中プラントにおける各機器の運転状態に応じたリスク変動を可視化している。また、フェーズ2としては、保安規定の運転上の制限の最適化や運転中保全の導入に向けて検討が進んでいることが示された。我が国においても、安全規制へのPRAの導入、及び発電所運用へのPRA活用を早期に実現することが望まれるとの意見が示された。

 質疑応答では、リスク情報を活用した意思決定を行うことのメリットや、我が国における安全目標の設定について質疑が交わされた。また、リスク変動の可視化の具体的な内容について質問があり、予め解析しておいたものをデータベース化しておくことで、時々刻々と変化するリスク状況を把握できるようになっていることが説明された。
 また、許認可ベース変更時の総合的判断の5原則について、決定論的な設計基準を満たさない場合における免除要請の可否について質問があり、変更した場合のリスク評価を実施した上で変更することは可能だが、変更する部分と変更しない部分とは明確に区別しなければならない、という原則が示された。
 

 

写真1 土木学会での講演の様子

 

写真2 ご講演いただく吉田智明様

 

写真3 Zoomの様子

 

 

以上

 

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PDF icon 20220829_原子力土木委員会公開講演会実施報告.pdf860.78 KB

(c)Japan Society of Civil Engineers