原子力地域防災計画・避難計画の策定の流れと支援体制のために2014年10月に発足した体制は,は図1に示すとおりである.この図において,地域の原子力防災体制の充実・強化に係る業務を推進すると共に、原子力防災会議(平時から常時設置)と原子力災害対策本部(緊急時に設置)の事務局機能も含め、関係省庁・自治体等との平時及び緊急時における原子力防災に係る総合調整を一元的に担う組織として、内閣府の下に原子力防災担当が新たに設置された。 この体制では平時と緊急時で組織が分かれており、緊急時に有機的に機能するのかなど,課題の指摘がなされている。
令和4年5月に規格情報小委員会の下に「原子力防災の現状分析と土木分野の果たす役割の整理分析」WGを設置し,女川原子力発電所や東海第2原子力発電所などで原子力防災計画,特に避難に係る課題に対して訴訟も含め、原子力防災,特に地震などの自然事象に起因した複合災害時における現行の原子力災害対策指針等に含まれる避難に関する課題を工学的観点で整理を行った.課題の抽出に際して,原子力防災と一般防災の差異を明らかにし,避難に関する国県,立地自治体,加えてNPP管理者の役割,立地自治体・住民との避難に関する対話,退避や避難時における被爆限界の考え方,避難時におけるロジスティックスなど,土木工学を中心として関連する分野と連携して工学的取り組むべき事項を明確にした。さらに,志賀原子力発電所の立地地域で発生した令和6年1月1日能登半島地震の被災状況も踏まえ,取り組むべき事項の見直し等を実施した.
「原子力防災の現状分析と土木分野の果たす役割の整理分析」WGが示した課題の分析を進め,現行の複合災害時における原子力防災対策として,立地自治体の住民避難をより実効性のあるものすることを目的として,抽出された課題に関する対応の考え方と解説の作成し,関係機関に提言するため,標記小委員会の設置を提案する.
WGの活動で明らかにした原子力防災における避難に関する課題へ対応する上での基本的な考え方のまとめ,実践的な防災の手引き作成に資するため,(1)~(3)の項目を実施する.
(1) 原子力防災における避難に関する課題の分析
(2) 抽出された課題に関する対応の考え方と解説の作成
(3) 原子力立地地域にて避難について抽出された課題に関する対応の考え方の有意性を確認するために,ワークショップを開催する.
小委員会の委員構成として,規格情報小委員会「原子力防災の現状分析と土木分野の果たす役割の整理分析」WGを母体とし,原子力防災の避難に関する専門家や一般防災の専門家を加えたメンバーとし,委員長を含む幹事体制は以下のとおりとする.今後,原子力安全の専門家も加える予定である.
役職 |
氏名 |
所属 |
委員長 |
蛯沢 勝三 |
元東京都市大学 |
幹事長 |
佐藤 栄一 |
新潟工科大学 |
幹事 |
中村 晋 |
日本大学工学部 |
委員 |
高田 毅士 |
(国研)原子力研究開発機構 |
委員 |
香月 智 |
(一財)砂防・地すべり技術センター |
委員 |
関谷 直也 |
東京大学 |
委員 |
宗像 雅宏 |
(国研)原子力研究開発機構 |
委員 |
臼田 裕一郎 |
(国研)防災科学技術研究所 |
委員 |
山本 晃弘 |
福井県庁 |
委員 |
川崎 洋輔 |
日本大学 |
委員 |
山田 博幸 |
(一財)電力中央研究所 |
委員 |
武田 智吉 |
前田建設工業(株) |
オブザーバー |
田邊 揮司良 |
(株)ジョイント・システム・サービス |
活動は,小委員会活動を基本とし,令和6年7月より2年間を期間として実施する.
令和6年度から令和7年度の前半にかけての活動は,WGで抽出された原子力防災における避難に関する課題の分析,抽出された課題に関する対応の考え方と解説の作成を年3回程度で開催する小委員会にて実施する.令和7年度の後半において,活動の取り纏めを実施し,新潟などの立地自治体を対象としたworkshopを開催する.活動期間中に研究討論会も実施したい.
1. 令和6年8月22日 第1回小委員会 議事録
検討事項:
2. 令和6年12月16日 第2回小委員会 議事録
検討事項:
3. 令和7年3月17日 第3回小委員会 議事録
検討事項: