構造工学委員会で進められている示方書連絡会などの技術資料の体系に関する枠組みの共有化と情報の共有化などの成果や,他関連学協会における基準類の標準化過程を整理し,原子力土木委員会における技術資料に対するパブコメなども含む標準化のあり方について検討し,委員会活動に反映する.
さらに,原子力関係の他学協会での活動情報に関する情報を委員会内で共有化し,原子力分野における原子力土木委員会での活動の位置づけを明確にするため,情報の収集と発信を行う.さらに,関係国際規格の整理と情報公開,国際規格の作成支援,関係国際学会における国内技術基準や技術資料の公開企画なども実施する.
合わせて,地盤安定性評価小委員会の成果について,指針化に向けた取り組みを実施し,その体制のあり方などの事例としたい.その成果を取り上げる目的は,2011年東北地方太平洋沖地震後に原子力関係の特別委員会で提案した危機耐性などの考え方を含む安全性評価の考え方として,地盤の安定性評価は地震随伴事象として通常の耐震基準の適用のみならずAM対応,さらに敷地外における対応も原子力分野における深層防護という観点で必要となり,危機耐性への配慮も合わせて,それらを包括する安全性評価体系の構築することにより,2011年東北地方太平洋沖地震の被害を踏まえた取り組みを土木分野から発信するという意味で重要と考えている.
2021年1月に設置し,当初は以下に示すWG1とWG2の活動を2023年1月で終了予定であったが,WG3の追加設置に伴い,活動を2023年2月から2024年5月に延長した.
(2021年6月24日時点)
役職 |
氏名 |
所属 |
委員長 |
中村 晋 |
日本大学 |
副委員長 |
⼤⿃ 靖樹 |
東京都市大学 |
幹事長 |
篠⽥ 昌弘 |
防衛大学校 |
副幹事長 |
中島 正⼈ |
電力中央研究所 |
委員 |
蛯沢 勝三 |
電力中央研究所 |
委員 |
吉⽥ 郁政 |
東京都市大学 |
委員 |
河井 正 |
東北大学 |
委員 |
松本 敏克 |
ニュージェック |
委員 |
中瀬 仁 |
東電設計 |
委員 |
阿部 慶太 |
鉄道総研 |
委員 |
内藤 直⼈ |
豊橋技術科学大学 |
幹事 |
酒井 俊朗 |
電力中央研究所 |
オブザーバー |
宮川 義範 |
電力中央研究所 |
オブザーバー |
松⼭ 昌史 |
電力中央研究所 |
オブザーバー |
⽯丸 真 |
電力中央研究所 |
オブザーバー |
松村 卓郎 |
セレス |
オブザーバー |
両角 浩典 |
関西電力 |
オブザーバー |
⻄坂 直樹 |
四国電力 |
小委員会および各WGの活動状況を以下に示す.
まず,小委員会の開催状況と議事録を以下に示す.
会議 |
日時 |
場所 |
議事録 |
2020年度第1回小委員会 |
2021年4月16日(金) |
Web会議 |
議事録 |
2021年度第1回小委員会 |
2021年9月22日(金) |
Web会議 |
議事録 |
2021年度第2回小委員会 |
2022年3月11日(金) |
Web会議 |
議事録 |
2022年度第1回小委員会 |
2022年7月27日(金) |
Web会議 |
議事録 |
2023年度第1回小委員会 |
2024年1月29日(月) |
Web会議 |
議事録 |
次に,各WGの活動目的と成果を以下に示す.WG3については,5回のWG開催時の議事録および報告書を示す.
【公表資料標準化WG】
・活動目的
①他関連学協会における基準類の標準化過程を整理し,技術資料に対するパブコメなども含む標準化のあり方を検討する.
②原子力関係の他学協会での活動情報に関する情報を委員会内で共有化
③関連国際規格の整理と情報公開,関係国際規格の作成支援,関係国際学会における国内規格の公開企画なども実施
・成果
技術資料の標準化プロセスを明らかにするため,成果報告書の作成等と標準化に関わる運営内規(案)を作成し,2022年8月29日の原子力土木委員会で「成果報告書の作成等と標準化に関わる運営内規(土木学会原子力土木委員会web上で公開)」が承認された.さらに,以下に示すように,運営内規に基づき技術資料を標準化するための,体制と実施手順も定めた.
・技術文書審議タスクの設置・運営に関する細則,②や③などを含む今後の委員会活動に関する調査検討を実施する技術多様化普及タスクの設置・運営に関する細則の制定(2022年8月29日)
・原子力土木委員会 技術文書の審議の要領(案)の作成と運用
【地震時における包括的な安全性評価ガイドライン作成WG】
・活動目的
地盤安定性評価小委員会の成果について,耐震基準の適用の考え方のみならずAM対応,さらに敷地外における対応を包括する安全性評価体系の構築とそれに関するガイドライン作成を行い,技術資料の標準化に向けた体制のあり方などを含む事例とする.
・活動
1. 第1回WG(2022年1月21日)にて,「地震被害想定と防災計画-国内自治体における実施手法-」についての話題提供を行うとともに,原子力土木構造物の包括的な安全性評価に関する原則について議論.特に,取り扱う範囲や他の安全性に関する考え方との整合について議論を行った.
2. 第16回日本地震工学シンポジウムにおけるOS「原子力施設の設計基準を超える事象に対する地震安全確保の考え方」において,BDBEなどに関する議論を行った.
【原子力防災の現状分析と土木分野の果たす役割の整理分析 WG】
・設置目的
複合災害時における原子力防災の課題を整理するため,2011年東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故に対する調査報告,現行の複合災害時の原子力防災計画や避難計画,その体制,関連技術(TiPEEZ)以下の事項を分析した結果を報告した.さらに,原子力防災に関する専門家による話題提供なども合わせて,複合災害時における避難に関する工学的な課題の整理分析を行い,原子力土木委員会として対応すべき論点の抽出を実施する.
(1) 国会・政府・民間の各事故調査委員会報告書において指摘された問題点
(2) 原子力災害対策指針,県・市町村の地域防災計画・避難計画
(3) 原子力発電所周辺地域を考慮した地震・津波に対する原子力防災システム(TiPEEZ: Protection of NPPs against Tsunamis and Post Earthquake considerations in the External Zone)
(4) 女川原子力発電所や東海第2原子力発電所における原子力防災計画に係る訴訟内容
(5) 上記(1)~(4)以外の国内外の学協会等の原子力防災に係わる情報
・WGの活動状況
第1回WG 2023年08月23日13:00-15:20 議事録
第2回WG 2023年10月30日09:30-12:00 議事録
第3回WG 2023年12月20日14:00-17:00 議事録
第4回WG 2024年02月16日13:30-16:30 議事録
第5回WG 2024年05月22日14:00-17:00
・成果
令和6年1月1日に停止中の志賀原子力発電所が立地する能登地域で発生した能登半島地震による被害状況をふまえた論点や課題の見直しを実施し,4つの分類(今後の方策を纏める上での前提となる考え方,防災/避難計画の策定における基本方針,避難に関する見直し事項,複合災害時の原子力防災対策に関する情報共有と対話の有り方)に関する11項目の課題を抽出し,報告書として取り纏めた.
報告書:原子力防災の現状分析と土木分野の果たす役割の整理分析WG報告書
今後,2024年7月に設置予定の「複合災害下での原子力防災における避難の課題と対応に関する研究小委員会」にてここで示した課題の分析を進め,抽出された課題に関する対応の考え方と解説を作成し,関係機関に提言を実施する予定である.さらに,その有意性を検証するため,原子力立地地域にてワークショップを開催することを考えている.