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ホーム › 【第5回】 高齢者はまちの宝!伊達市ウェルシーランド構想

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【第5回】 高齢者はまちの宝!伊達市ウェルシーランド構想

伊達市役所 三戸部春信氏 竹内典之氏
三戸部氏と竹内氏
三戸部氏(左)と竹内氏(右)

 温暖な気候や近郊の自然・文化資源という地域の魅力に加え,「高齢者が住みやすいまちづくり」をすすめ,全国から高齢者を「誘致」して地域社会・経済の活性化につなげた,「マイナスからプラス」への発想の転換


■■人口減少社会でも人口増の伊達市

 北海道有数の観光地である有珠山や洞爺湖の近くに位置する伊達市は、近接する室蘭市のように大きな産業を持たないながらも、近くの観光資源を活かしながら、野菜や乳業を中心とする道内の食料供給地として成長してきました。また四季を通じて比較的温暖な気候を有しており、「北の湘南」と呼ばれ、道内でも定住・移住の地と言われてきました。
 人口は約3万8,000人、65歳以上の人口が全体の約27%を占めています(2006年4月現在)。15年後の高齢化率は約50%に達すると予想され、全国や道内の他都市と比べても高齢化が進んでいます。
 北海道全体で人口減少が続いている状況にもかかわらず、伊達市は6年間で約1,000人もの人口を増やし、特に大きな産業のなかった地域に新たな生活産業に携わる中小企業を増やすことに成功しました。この健闘の背景には2人の行政職員がいました。伊達市役所の三戸部春信さんと竹内典之さんです。

人口推移
伊達市および伊達市と同規模の道内都市の人口推移

■■高齢者はまちの宝!高齢者が住み良い町をめざす
プロジェクト概念
プロジェクト概念

 1999(平成11)年に現市長の菊谷秀吉氏が就任し、雪が少なく温暖な気候や観光資源、食資源を活かし、他都市にはない方法で定住・移住を進めたいと考えました。また、大きな産業がないことや有珠山噴火による観光産業への影響、全国的にも高齢化率が高いことなどのマイナス要素もプラスの発想に転換し、人口減少、高齢化を食い止め、自主・自立のまちづくりを進めたいと考えました。
 『高齢者が住み良い町をつくろう。高齢者が増えれば、新たな生活産業も増え、新たな雇用も創出され、若者にも住み良い町になる』と考えました。

■■若手中心の官民協働組織づくり

 菊谷市長はまた、『民間事業者を元気にすればまちは活性化する』と考えて、官民協働の体制づくりを行いました。そこで、三戸部さんと竹内さんは、市長の想いを行動に移すべく、行政職員有志や地元企業が入った、民間主体のボランティア組織「伊達ウェルシーランド構想プロジェクト研究会」を立ち上げて、まちづくりの施策について勉強したり、身近なまちづくりのアイデア出しを行いました。その後、事業化に向けて官民協働組織「豊かなまち創出協議会」を設立し、その推進に取り組みました。
 この協議会は、『できるだけ柔軟な発想で施策を考えていきたいと』の市長の想いから、これからの伊達市のまちづくりを担う若手の事業主や地元金融・商工関係者を中心に結成するとともに、協議会に対してすぐに事業化に結びつけられるように権限も付与しました。
 こうした市長の想いと三戸部さん、竹内さんの行動で、他に例を見ない、高齢者を増やしてまちを活性化させる『伊達ウェルシーランド構想』が動き出したのです。

安心ハウスの入居者
団らんの中の伊達版安心
ハウスの入居者の皆さん
■■住まいの安心“伊達版安心ハウス”

 まずはじめに協議会は、高齢者が安心して住める住まいづくりが必要と考えて、食事サービスや病気の際の緊急通報などのサービスを備えた賃貸型の集合住宅を民間主導でつくりました。伊達市の居住形態は持ち家一戸建てがほとんどであり、このような居住形態は珍しく、事業者も入居する高齢者も事業の仕組みがイメージしにくいため、市の広報などを通じて周知しながら、資金の確保から建設・入居開始まで4年をかけて進めました。現在は、実際の居住者からの口コミによる広がりを期待しているところです。

■■お年寄りの外出機会を増やす“伊達版ライフモビリティ”

 次に協議会は、元気な高齢者が増えれば、介護保険料の自治体負担も軽減できるのではと考えて、高齢者の外出機会を増やすために会員予約制の乗合いタクシーを導入しました。通常のタクシー利用の1/2~1/3の低価格で、ドアtoドアの移送サービスを買物代行などの生活支援サービスを付けました。これまでに2回実証実験を行いましたが、現在は料金や乗車の予約システム、運行時間帯などの残された課題を整理して、本格実施に向けて奔走しているところです。

■■生活全般を支える“高齢者生活支援センター”

 また協議会は、高齢者が安心・安全に生活できるようにするためには、情報へのアクセスを良くすることが必要と考えて、地域情報の照会相談や代行サービス支援、輸送サービス支援などに関する情報を管理し、行政機関や医療・防災機関、商工業、学校、コミュニティなどの地域ネットワークと利用者とを結びつける地域情報センターを開設予定で、2006(平成18)年3月にその受け皿となる民間会社が設立されたところです。

■■土木技術者の知恵を活かす機会は多い

 伊達市のように人口減少、高齢化、産業の衰退などの問題を抱えている都市は全国に多数存在します。今回の伊達市役所のお2 人は土木技術者ではありませんが、土木技術者は、様々な経験と幅広い知識で、総合的な視点から地域づくりを考え、適切なアドバイスができる存在です。同様の悩みを抱える他都市でも、こうした地域づくりに知恵を活かして貢献できる可能性はあるのではないでしょうか。

室蘭工業大学 田村亨教授に聞きました

田村亨教授
田村亨教授

 2001(平成13)年からの3年間は、「ウェルシー」という豊かさ・積極さを標榜する構想を決め、同時に高齢社会に対応するビジネスづくりの調査研究を行っていた。成功の要因はエンパワーメント(権限を与えること)に尽きる。
 行政は民間主体ボランティア組織に権限を与え、民間組織はマーケティングなどの専門家に意見を求め、そしてまちづくりの過程を市民に公開した。
 今、伊達市は「北の大地の移住促進戦略(北海道)」の重要なパートナーであるばかりか、新しい価値観による市場づくりのトップランナ-となっている。


行動する技術者たち取材班
島田敦子 SHIMADA Atsuko  (財)計量計画研究所都市・地域研究室 研究員
正会員

土木学会誌vol.91 no.7 July 2006

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