土木学会 原子力土木委員会 津波評価小委員会では、2003年度(当時は「津波評価部会」)から確率論的津波ハザード評価(以降、PTHAと呼ぶ)の方法について検討・討議を行ってきました。この検討の集大成として、PTHAの手法を「原子力発電所の津波評価技術2016」(以降、津波評価技術2016と呼ぶ)に取り纏めました。
津波評価技術2016の手法は、日本原子力学会による「原子力発電所に対する津波を起因とした確率論的リスク評価に関する実施基準:2016 (AESJ-SC-RK004:2016)」においても参考にされており、また、原子力施設の津波防災のみならず、一般の津波防災でのPTHAにも参考にされています。これに加え、PTHAに関わる国内外での研究発表の多くで、ロジックツリー法に基づく代表的なPTHA手法の一つとして津波評価技術2016の手法を参照して頂いております。
一方で、津波評価技術2016の手法のうち「不確定性」の考慮の方法について、誤った理解に基づき分析されている事例もあることから、今回、特に誤解を受けやすい下記の2点について、津波評価技術2016に基づいてあらためて解説することに致しました。
① 偶然的不確定性の考慮の方法について
② 地震規模の不確定性の考慮の方法について
この解説が、PTHA手法の今後のさらなる発展に寄与することを期待しています。