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声明・提言

学術フォーラムで30学会共同声明発表

投稿者:事務局管理者 投稿日時:月, 2014-12-08 14:15

11月29日(土)に日本学術会議において、学術フォーラム「東日本大震災・阪神淡路大震災等の経験を国際的にどう活かすか」が開催されました。

 

当日、趣旨説明・挨拶の後、午前中に5つの講演がありました。午後には、東日本大震災の総合対応に関する学協会連絡会の30学会代表者によるパネルディスカッションがあり、最後に「共同声明(英文)」が発表されました。

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東日本大震災後における津波対策に関する現状認識と今後の課題

投稿者:事務局管理者 投稿日時:金, 2014-09-26 16:53
平成26年9月26日
 

「東日本大震災後における津波対策に関する現状認識と今後の課題」の提言について

 
 土木学会では、東日本大震災に対して、復旧・復興に対する支援を中心に、さまざまな社会貢献を果たしてきた。このなかで津波対策に関しては、今でも意見調整が続けられている海岸地域の復旧・復興の現状を踏まえること、そして海岸堤防とそれによって守られる地域の復興・地域づくりの関係を十分に考慮することが重要であると考える。
土木学会としては上記に鑑みて、本件に対する現時点での見解を取りまとめ、これを広く社会に提言として公表することにより、今後の学会活動のさらなる進展の指針とするものである。
 
公益社団法人 土木学会
会 長 磯部 雅彦

 

東日本大震災後における津波対策に関する現状認識と今後の課題

 公益社団法人 土木学会
  津波に対する安全性の向上を通じて、地域の活力を高めるためには、津波対策は、「海岸堤防」、「土地利用規制」、「避難」に係るそれぞれの役割と限界とを正しく認識・共有したうえで、ハード・ソフト両面を一体的に進める「多重防御」を推進していく必要がある。そのためには、さまざまな組み合わせの「多重防御」方策を社会的公平性や経済的効率性、リスク管理等の観点から総合的に検討する手法や、合意形成の進め方に関して、防災・減災対策の特徴を踏まえた具体的な管理手法を開発する必要がある。これらの学術研究・技術開発や諸制度の導入(災害事前アセスメントによる土地利用誘導など)に関しては、土木学会が中心となって学際的・分野横断的に検討する必要がある。
 
東日本大震災の津波被災地では、「二段階の津波レベル設定」の基本方針のもとで、津波で破壊された堤防の復旧が進んでいる。現時点でも意見の調整が続けられている数か所の海岸では、きめ細かな情報提供と技術的工夫のもとで、さらにていねいな合意形成を図ることが喫緊の課題である。
 
  

1.はじめに

東日本大震災後における津波対策については、土木学会に所属する技術者が多くの調査、研究、提言などを行い、その成果が各地の復興に貢献している。しかしながら、復興はまだ道半ばであり、引き続き努力が必要である。さらには、現在想定されている南海トラフ地震や日本海地震など全国における津波対策についても、防御レベルの設定や海岸堤防の整備などについて、具体的に取り組まなければならない。本提言書は、土木学会の本件に対する基本的認識を示し、今後の学会活動のさらなる進展の指針とするものである。
 

2.東日本大震災津波被災地における海岸堤防の復旧

(2-1) 東日本大震災後に、土木学会では、「津波特定テーマ委員会」と「地域基盤再構築特定テーマ委員会」が中心となって、海岸堤防の復旧や地域の復興まちづくりに関する調査や支援活動を幅広く継続してきた。
 
(2-2) このなかで議論された「二段階の津波レベル設定」については、津波等から一日も早く沿岸地域の安全を確保し、復旧・復興のみならず全国における今後の津波対策を進めるための合理性が評価され、海岸管理者による海岸堤防の高さの設定に導入された。沿岸域は津波だけではなく高潮・高波の影響も受けるため、堤防整備により地域の安全性を速やかに確保することが必要であり、整備が計画されている海岸線の約8割の地区海岸で、津波で破壊された堤防の復旧が着実に進んでいる。また、堤防の設計条件を上回る規模の津波に対しても一定の機能を発揮する、いわゆる「粘り強い構造」の堤防も導入されている。
 
(2-3) これらの過程においては、海岸管理者・地域住民・専門技術者により地域の復興計画が議論され、土地利用計画と組み合わせることに地域が合意して、堤防高さを低く設定した事例も一部にある。
 
(2-4) 一方で、海岸によっては、海岸管理者が地域の復興計画を踏まえて示した計画案に対して、住民などから位置や高さの修正を求める意見が出され、現在でも数か所の海岸では、意見の調整が続けられている。沿岸域は、利用・景観・環境の観点でもかけがえのない空間であり、災害復旧事業においても、地域の利便性、大きく侵食された砂浜、被害を受けた生態系などの回復に配慮することが求められる。そのため、海岸管理者は、きめ細かな情報提供と技術的工夫を重ねて、一日も早い安全確保を前提とした上で、さらにていねいな合意形成を図るとともに、堤防が周辺環境に及ぼす影響を、施工中を含めて注意深く監視する必要がある。
 

3.津波対策の進め方と今後取り組むべき課題

(3-1) 津波対策は、津波に対する安全性や安心感を向上させることを通じて、地域の社会経済活動を支えるために行われるものである。
 
(3-2) 津波対策のうち、「海岸堤防」には、台風等による高潮・高波や数十年から百数十年に一度程度の頻度で来襲する規模(レベル1津波)までの津波から人命・財産・国土を守る役割がある。一方で、堤防の設計条件を超える規模の津波に対しては、一定の減災効果は発揮するものの防護機能には限界がある。そのことを、住民も含め関係者が十分に理解し、海岸堤防を過信しないことが肝要である。さらに、海岸堤防は、規模が大きくなると建設コストが増加するだけでなく、地域の利便性・景観・環境への影響も大きくなり、地域の魅力を損なうおそれがある。また、「土地利用規制」では、過去に津波の被害を受けた地域において、将来の安全のために浸水区域には居住地を設けないまちづくりが進められていたにもかかわらず、人口増や生活形態の変化などにより時間の経過とともにその意識が薄れ、危険な区域にまで居住地が拡大した地域もある。さらに、「避難」では、東日本大震災を経験した地域においても、津波注意報・警報が出された地域の避難率が必ずしも向上していないなど、防災意識の向上だけに頼った施策には限界がある。このように、沿岸地域における津波対策を円滑に進めるには、「海岸堤防」、「土地利用規制」および「避難」のそれぞれの役割と限界を正しく共有した上で、「二段階の津波レベル設定」を基本としたハード・ソフト両面を一体的に進める「多重防御」を推進していくことが肝要である。なお、過去の津波データが少ない日本海側でも、津波の想定波源の調査・検討を入念に行うことが必要である。また、津波については、確率的な分析が十分できるほどデータがないため、レベル設定の精度を向上させる研究が肝要である。
 
(3-3) 海岸管理者、地域住民ならびに専門技術者は、以上の事項を共通認識として持ち、さまざまに考えられる「多重防御」の組み合わせを地域の実情に合わせて選択して、実効性の高い津波対策を推進していく必要がある。そのためには、さまざまな「多重防御」の諸方策を、社会的公平性や経済的効率性、リスク管理の観点などから総合的に評価したうえで、円滑に実施することが求められる。合意形成の進め方についても、防災・減災対策の特徴を踏まえた、具体的な住民参加手法を検討する必要がある。
 
(3-4) 以上の事項に関連した学術研究・技術開発(設計条件を上回る規模の津波に対しても一定の機能を発揮する「粘り強い構造」を有する堤防の開発、その減災性能(危機耐性)を適切に評価し、分かりやすく伝える技術の開発など)や諸制度の導入(災害事前アセスメントによる土地利用誘導、津波対策を包含する統合的沿岸域管理制度など)については、土木学会が中心となって学際的・分野横断的に検討しなければならない。
 
以上

 

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土木学会 東日本大震災フォローアップ委員会 原子力安全土木技術特定テーマ委員会報告書 「原子力発電所の耐震・耐津波性能のあるべき姿に関する提言(土木工学からの視点)」

投稿者:木原 直人 投稿日時:水, 2013-07-24 16:04

【記者発表と資料公表について】

原子力安全土木技術特定テーマ委員会ではこのたび上記報告書をとりまとめまし
たので下記の要領で記者発表いたします.同時に,報告書本体および委員会関連
資料を土木学会ホームページに掲載いたします.

 日時: 平成25年7月30日(火)13:30より
 場所: 土木学会 講堂
 学会側出席者: 
     会長  橋本鋼太郎
     委員長 当麻純一(電力中央研究所)
     幹事長 大友敬三(電力中央研究所)

                                            平成25年7月
                           原子力安全土木技術特定テーマ委員会
                                         委員長 当麻 純一

  • 原子力発電所の耐震・耐津波性能のあるべき姿に関する提言(土木工学からの視点)
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原子力安全土木技術特定テーマ委員会「原子力発電所の耐震・耐津波性能のあるべき姿に関する提言(土木工学からの視点)(案)」のとりまとめ

投稿者:匿名ユーザ 投稿日時:火, 2013-02-19 17:15

土木学会 東日本大震災フォローアップ委員会 原子力安全土木技術特定テーマ

委員会では,「原子力発電所の耐震・耐津波性能のあるべき姿に関する提言(土

木工学からの視点)(案)」をこのたびとりまとめました.今後,関係委員会

への意見照会や学会シンポジウムの機会などを通じて内容をブラッシュアップ

したいと考えています.

この提言が原子力安全への新たな取り組みへの契機となることを期待しています.

 

この提言案に関するご意見等につきましては,常置委員会である「原子力土木
委員会」ホームページの問い合わせフォーム

(http://committees.jsce.or.jp/ceofnp/ceofnp_mailform)を臨時に利用して

2013年4月8日まで受け付けています.また,土木学会へのご意見の郵送((〒160-0004

東京都新宿区四谷1丁目(外濠公園内) 土木学会 担当:田中).)も同期間受け付け

ています.頂戴しましたご意見等は提言の最終版作成の参考にさせていただきます.
氏名・連絡先等の個人情報については,ご意見の内容に不明な点があった場合の
問い合わせをさせていただくため,記入いただくものです.この個人情報はこれ
以外の用途には使用いたしません.
 

 

2013年2月

 

原子力安全土木技術特定テーマ委員会 委員長 当麻 純一

 

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三十学会・共同声明 国土・防災・減災政策の見直しに向けて- 巨大災害から生命と国土を護るために -

投稿者:事務局 投稿日時:木, 2012-05-10 13:01

平成24年(2012年)5月10日

東日本大震災の総合対応に関する学協会連絡会

環境システム計測制御学会 空気調和・衛生工学会 こども環境学会 砂防学会 地域安全学会 地理情報システム学会 地盤工学会 土木学会 日本応用地質学会 日本火災学会 日本活断層学会 日本機械学会 日本計画行政学会 日本建築学会 日本原子力学会 日本コンクリート工学会 日本災害情報学会 日本自然災害学会 日本集団災害医学会 日本森林学会 日本地震学会 日本地震工学会 日本地すべり学会 日本造園学会 日本地域経済学会 日本都市計画学会 日本水環境学会 農業農村工学会 廃棄物資源循環学会

 この声明は、東日本大震災の総合対応に関する学協会連絡会が中心となり、連続シンポジウム「巨大災害から生命と国土を護るー24学会からの発信」を開催し、議論を行い、その成果をもとに作成したものである。全8回の連続シンポジウムのうち、1回から3回のシンポジウムのテーマは以下のとおりである。

第1回「今後考えるべきハザード(地震動、津波等)は何か」 平成23年12月6日
第2回「大災害の発生を前提にして国土政策をどう見直すか」 平成24年1月18日
第3回「減災社会をどう実現するか」 平成24年2月29日
(連続シンポジウムは全8回の予定。最終回の第8回で学会長による総括討論を行う)

三十学会・共同声明

 東日本大震災以降、中央防災会議、内閣府、国土交通省、文部科学省等を中心に、政府は大地震・大津波に対する対策に全力を傾注している。これを受けて、東日本大震災の総合対応に関する学協会連絡会は、「巨大災害から生命と国土を護る-24学会からの発信」連続シンポジウム(全8回のうち1回から3回)を開催し、学会の壁を越えて本質的な議論を展開してきた。これらの議論に基づき学協会連絡会は、大災害から国民の生命と国土を護ることを期して、政府に、次の方針を国土・防災・減災政策に盛り込むことを要望する。

  1. 首都直下、東海・東南海・南海地震等の巨大地震が、日本の政治・経済・社会の根底を揺るがすことのないように、被害を軽減する実効性のある総合的な防災・減災政策に全力を傾けること。巨大災害の発災および復旧の非常時においては、国家の責任のもとで、機動力のある特例的な対応が取れるよう法制度の整備を含め準備をしておくこと。
  2. 従来、政府の検討対象から除きがちであった低頻度で巨大、あるいは甚大な震災について、有効な対策の有無に関わらず検討対象としてとりあげること。情報公開により、地震研究と国土・防災・減災政策の連携を促進し、総合的で抜け落ちのない対策を目指すこと。
  3. 今後想定されるハザードについて、常に柔軟性を持たせ、想定を上回る規模のハザードも起こりうるという前提にたち、国土計画・都市計画・防災減災計画を検討すること。産学官の英知を結集し、国民が検討の経過や結果を広く共有するための基盤を整備し、継続的に維持・更新していくこと。
  4. 数十年~百数十年に一度の頻度で起きる大災害には、構造の強化・施設の整備による防災政策で対処すること。数百年~千年に一度の頻度で起きる巨大災害には、人命の犠牲を最小にするべく、避難設備の整備と避難教育の充実を組み合わせた総合的な減災政策で対処すること。
  5. 災害の多い我が国の歴史と東日本大震災の教訓をもとに、古来の災害履歴を踏まえた、リスク分析を行うことによって、より安全な場所への居住や産業の立地誘導を図ること。地域の歴史・風土・自然環境を踏まえたハザードマップと地域減災計画を立案し、継続的な教育や準備により日常防災を実現すること。
  6. 人口減少・高齢化、エネルギー問題、国家財政の厳しさ等を踏まえ、地方と共に中長期的な国土総合計画を作成し、国民に周知すること。国土総合計画は、国土計画、都市計画、農山漁村計画、防災・減災計画等が総合的に検討されるものであり、太平洋軸と日本海軸の相互バックアップ体制の確保なども含め、日本列島のグランドデザインの観点をもつこと。

 以上、政府への要望を述べてきたが、学術の世界においても、学会がそれぞれ専門分野に分かれて検討するのではなく、学会の壁を越えて議論し、総合的により良い方向を見いだす努力が重要である。当学協会連絡会は、従来の縦割りの弊害を見直し、学会間の連携を深め、国土・防災・減災政策に関する諸課題に取り組む決意である。

前田国交大臣手交
前田国交大臣手交

中川防災担当大臣手交
中川防災担当大臣手交

奥村文科副大臣手交
奥村文科副大臣手交

連続シンポジウム 第4回(5月10日)  記者会見 13:00〜

 

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土木学会・電気学会 ICTを活用した耐災施策に関する総合調査団(第三次総合調査団)緊急提言

投稿者:事務局 投稿日時:火, 2011-07-19 10:48

土木学会・電気学会 ICTを活用した耐災施策に関する総合調査団 (第三次総合調査団) 緊急提言 
〜ICTを活用した耐災(防災・減災)施策〜

2011 年7 月13日
土木学会・電気学会 ICTを活用した耐災施策に関する総合調査団 (第三次総合調査団) 
  • 土木学会・電気学会 ICTを活用した耐災施策に関する総合調査団 (第三次総合調査団) 緊急提言(全文)(PDF/3MB)
  • 表紙
  • はじめに
  • 目次
  • 1.緊急提言のポイント
    1-1 新たな考え方に関する事項
    1-2 すぐに取り組むべき事項
    1-3 早急に技術開発を行い対応すべき事項
  • 2.情報通信とインフラの再構築の視点
    2-1 ナショナルセキュリティを意識したインフラストラクチャの再構築
    2-2 さらなる安全・安心に向けた「耐災施策」の導入
    2-3 民間と地方と国の役割の再構築に向けた情報通信技術の活用
    2-4 電力の喪失と情報通信、エネルギー
    2-5 耐災施策を進めるための仕組みづくり
  • 3.段階に応じた耐災施策の具体的提言
    3-1 初動のための情報収集(初動)
    3-2 避難のための情報の収集と提供(避難)
    3-3 安否確認のための情報通信とは(安否確認)
    3-4 救助・支援のための緊急交通路の確保(啓開・緊急輸送)
    3-5 生活支援・応急復旧のための情報通信技術とインフラ(生活支援・応急復旧)
    3-6 復興のための情報通信技術とインフラ(復興)
    3-7 大都市部で今後検討すべき事項
  • おわりに

はじめに

 これまで、土木学会では、日本都市計画学会や地盤工学会と連携して二回の調査団を派遣してきた。第一次調査は、極めて広域かつ多岐にわたる今次地震の被害状況とその内容・特徴を俯瞰的に把握し、今後の調査活動に反映させるために実施された。第二次調査は、復興計画の立案を支援することを目的に、現地調査を行い復興計画策定にあたっての基本的考え方、安全の再建、生活(居住)の再建、生業(産業=雇用=所得)の再建に関して提案を行った。

 今回の第三次調査では、第二次調査の中で提案された「これまでの『防災対策』に加え、ハード面・ソフト面の様々な方法を組み合わせた『減災対策』(人命を損なわずなおかつ被害を軽減し復旧を容易化する)、二段階(防災+減災)の『総合耐災システム』の構築」について専門家による調査を行い具体的な提案をすることを目的としている。特に、現在の科学技術環境などを十分に踏まえた具体的方策を示し、復興計画に取り込んでもらうという視点から、計測・警報などのための情報通信・情報処理技術、津波や構造物の解析・シミュレーション技術、空間情報の収集・処理・提供技術、車の利用環境、ITS、パーソナルな情報デバイスなど現在の科学技術環境を踏まえた統合耐災システムのあるべき姿について、現地のニーズを踏まえて提案することが大切であると考えた。そのため、土木学会と電気学会が連携し、土木工学、土木計画学、交通工学、都市工学、電気工学、情報通信工学などの諸分野の学会を横断する形で専門家による現地調査を行った。

 調査に関しては、被災地の状況の調査だけでなく、現地で災害対応に従事した国、県、市町村、通信事業の担当者、中央官庁で災害対応された担当者にヒアリングを行った。現場では、「人間の命を守る」ためそれぞれの組織の守備範囲の中で全力で災害と戦っていた点に強い印象を受けた。現場の担当者の方々の奮闘と努力には頭が下がる思いである。また、災害から3カ月が経っており、各組織とも災害対応を客観的に振り返り、何が上手くいき、何が上手くいかなかったのか、今後の教訓とすべきことなどについて冷静に分析を始めていたこともあり、これからの被災地域の復興にすぐに反映させるべき対策や今後予想される地震に対して備えるべきポイントについて具体的に提案を頂いた。

 現場の声からは、「耐災(防災・減災)」という対策を検討する上で、「インフラストラクチャ」のあり方についてもう一度考え直す必要性について意見を多く頂いた。津波の検知、避難情報の伝達、避難所、避難路の確保など人の命を守るための様々なインフラに関しては、平時の効率性と災害時のリダンダンシー(冗長性)、集中処理と分散処理などのバランスを考えた再構築が必要とされている。いつ来るかわからない災害に対する備えとしてリスクマネジメントの考え方を導入して、いかにインフラを段階的に再構築していくか科学的知見に基づき日本全土で考え直さなければならない。
 また、実際に災害が発生した場合に、人の命を守るためには、「逃げる」ことが大切であり、情報通信技術を活用し、災害規模の検知を早くすること、避難情報を早く多くの人に伝えること、救援活動・復旧活動に従事する人の情報共有などを実現することが必要とされている。しかしながら、重要な情報は主として公的機関が管理しており、これらの機関での情報の扱いや処理の方法が情報の質を決定している。今後、耐災用情報通信インフラを整備していくうえで、実際には住民に情報を伝える主要な通信網である公衆回線は、商用システムとして開発され運用されているということを忘れてはならない。

 今回の経験から学んだ事は、災害時には多数の公的機関ばかりでなく、通信事業者を含む民間関係機関の相互連携が不可欠だったことである。例えば中央政府と地方自治体、民間関係機関と地方自治体などにおいて、多面的、重層的な相互連携関係が必要であることが明確となった。さらにインターネットの進展によって相互連携の前提となる情報共有が容易になってきたことから、新しい「耐災」の方法論を展開すべき時期に来ていると言えるのではないだろうか。

 以上を踏まえたうえで、災害復旧状況を時系列的に整理し、それぞれの状況で要求される情報の内容が変化することに着目した上で、耐災のための情報通信技術活用のあり方、制度設計、新たな技術開発等について緊急提言として世に問うこととした。今後の復興活動へ反映させることをご検討いただくとともに、今後地震の発生が予想されている地域での導入、さらには世界各地に存在する地震の危険にさらされている地域への導入も含めて、本提言がたたき台として少しでも役立てば幸いである。

土木学会・第三次総合調査団長
 川嶋弘尚
 

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土木学会長・地盤工学会長・日本都市計画学会長 共同緊急声明

投稿者:事務局 投稿日時:水, 2011-03-23 13:50

(社)土木学会 会長 阪田 憲次
(公益社団)地盤工学会 会長 日下部 治
(社)日本都市計画学会 会長 岸井 隆幸
 

「東北関東大震災-希望に向けて英知の結集を-」

 北国にもようやく春の訪れが感じられる頃、3月11日の昼下がり、突然の揺れと狂暴な津波が襲来し、日本の故郷である東北地方を蹂躙し、関東地方など周辺地域にも大きな爪あとを残した。そこで営まれていた人々の生活も思い出も、家とともになぎ倒され、根こそぎ押し流された。そして、尊い、多くのいのちが失われた。深い悲しみと喪失感は、わが国のみならず全世界に拡がった。
犠牲になられた方々に対し、衷心より冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様方に対し、心よりお見舞いを申し上げたい。
現在、被災地において、寒さと生活物資の不足に苦しみながらも雄々しく立ち上がろうとされている被災者の皆様、それらの人々を支えて苦闘されている方々、特に、原子力発電所において被害の拡大を防ぐため、自らの身の危険も顧みず献身されている方々に対し、満腔の敬意と連帯の思いを表したい。われわれ国土や都市及び社会基盤を専門とする技術者・計画者として、その列に加わり、この難局に立ち向かいたい。
この度の震災は、近年のわが国にとって例を見ない特徴を有するものであった。すなわち、広域、大規模、壊滅的地域の存在、そして原発事故による状況の悪化である。このような震災に対して、われわれ技術者・計画者集団としてなすべきことは多い。まずは、震災の調査分析および今までに積み重ねてきた対策の再評価である。それはより信頼性の高い基準や指針の構築につながるものである。次に、急がれる緊急復旧への実行性のある提言及びどのようにして安心して住めるまちと国土経営の体系を築いたらいいのかという恒久復興への提言、さらには国土の危機管理を念頭に置いた社会システムの再編等である。それらは、やがてわが国を襲うことが予想されている、東海、東南海、南海地震をはじめとする巨大地震への備えとなるべきものである。
今回の震災は、古今未曾有であり、想定外であると言われる。われわれが想定外という言葉を使うとき、専門家としての言い訳や弁解であってはならない。このような巨大地震に対しては、先人がなされたように、自然の脅威に畏れの念を持ち、ハード(防災施設)のみならずソフトも組み合せた対応という視点が重要であることを、あらためて確認すべきである。また、当たり前のように享受してきた、電力、輸送体系のマネジメントシステムの見直しもわれわれが取り組むべき課題であろう。そして、何よりも皆が待ち望む力強い地域の再生を実現しなければならない。
震災後10日が過ぎ、被災地にも、徐々にではあるが、復旧、復興への兆しが見え始めたが、途は遠い。しかし、乗り越えられない困難はない。被災者の皆様の悲しみに寄り添い、手を携えて難局に立ち向かいたい。そして、われわれ技術者・計画者集団、関連する学協会も、その英知と経験を結集し、難局に立ち向かいたい。それらの営為が、やがて希望につながると信じる。
 

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