趣旨説明
東日本大震災と過去の震災の違いは、被災地域の広域さと効率化・情報化した現代社会の脆弱性にある。沿岸低地の軟弱地盤に人・物・情報を集中させ、高密度・高機能な社会を作った大都市は災害には脆弱である。倉庫を持たず、物流に依存し、分散した部品工場に頼るサプライチェーンは、物流途絶や工場停止に弱い。集約化した大規模発電設備に頼る電力への過度な依存も冗長性を欠く。相互依存度の高い集中と分散は、効率性とは裏腹に災害脆弱性を増す。
今世紀前半の発生が確実視されている東海・東南海・南海地震や首都直下地震は、東日本大震災と比較して、震源域が陸地に近いことが予想されている。太平洋岸の大都市は災害危険度の高い低平地に立地している上、木造家屋が密集した火災に対して脆弱な地域も残っている。湾岸地域には石油コンビナートをはじめとする各種プラントや火力発電所などが林立している。東日本大震災の十倍規模の被害となる可能性もあるが、人口減少時代の日本にとって、そのような被害からの回復は極めて困難である。国民が当事者意識を持って危機感を行動に移すことが、次の災害被害を可能な限り低減し、わが国に対する世界の信頼を得る出発点となる。
日本全体を考えれば、地域ごとの特徴に大きな違いがあるので、地域の特性に配慮した防災・減災計画の策定が望まれる。今後は想定外の事象にも正面から向き合い、地域住民の間で災害に対する認識や備えを共有しなくてはならない。時間的制約、地理的条件および経済性を勘案しつつ、被害を最小限に抑え、日本国民の生命と財産を護ることを目標とし、いかにしてわが国が巨大災害や重大事故に適応していくべきかを議論する。
- 日時:平成24年2月29日(水)午後2時から午後5時30分 入場無料
- 会場:日本学術会議講堂
東京都港区六本木 7-22-34(東京メトロ千代田線 乃木坂駅 出口5)
- 主催:日本学術会議 東日本大震災の総合対応に関する学協会連絡会
- 申込先:
下記サイトの申込フォームよりお申込ください
URL http://jeqnet.org/sympo/no3.html
定員になり次第締め切らせて頂きますので、ご了承ください
※定員に達しましたので、受付は終了しました。(2012.1.25)
- 問合わせ先:早稲田大学准教授 小玉 乃理子 Email : kodama@aoni.waseda.jp
プログラム
14:00-14:15 |
司会 |
依田照彦(日本学術会議会員、早稲田大学教授) |
挨拶 |
和田 章(日本学術会議会員、土木工学・建築学委員会委員長、東京工業大学名誉教授) |
14:15-15:45 |
- 第一部 基調講演
- 河田 惠昭(関西大学教授、日本災害情報学会長)
室崎 益輝(関西学院大学教授・災害復興制度研究所長)
佐藤 洋平(東京大学名誉教授、元 農業農村工学会長)
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16:00-17:30 |
- 第二部 パネルディスカッション
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- コーディネータ
- 米田雅子(慶應義塾大学特任教授、日本学術会議連携会員)
- パネリスト
- 基調講演者3名に加えて
福和 伸夫(名古屋大学教授、日本学術会議連携会員)
目黒 公郎(東京大学教授、日本学術会議連携会員)
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♦東日本大震災の総合対応に関する学協会連絡会について♦
東日本大震災を受け、日本の国土・社会・産業基盤に関わる24の学会が集まり、平成23年5月に結成されました。
従来の専門分化した学会のあり方を見直し、学会間の本質的な議論と交流を深めることにより、今後の我が国の学術の方向と基本政策を提言することを目指します。