河川堤防はいわゆる形状規定で築堤され,近年ではそれに加えて浸透や滑り破壊に対する安全率ベースの詳細点検が行われ,弱部を抽出して対策が施されている。しかしながら,その膨大な延長に比べて堤体や地盤の調査は極めて限定的であること,詳細点検の精度が必ずしも高くないこと,未だ整備が未完了の区間を多く残すことなど,多大な問題を抱えている。また,集中豪雨の頻度が増加してゆくことを考えると,長期的な視野に立った河川堤防の整備方針は重要である。
本討論会では,極めて長期間に亘り維持管理をし,かつ必要な強化をしながら供用されている我が国の河川堤防について,その維持管理や設計の方針とそれに伴い必要となる技術について長期的な視野に立ち議論する。続いて現状の形状規定と詳細点検(安全率ベース)による照査技術,現地調査技術などの個別要素技術の現状と課題,新規技術開発について話題提供し,討論する。