現在、実務設計においてFEM解析を用いることは珍しくなく、コンクリート標準示方書においても「非線形有限要素解析による性能照査」が規定されるなど、構造解析は構造工学において必須の技術となっております。さらに、新たな構造解析手法や精度の良い構成則の開発が続けられており、構造解析技術の重要性はさらに高まって行くことが予想されます。
こうした状況に鑑み,最新の解析事情とともに構造解析技術が将来の設計実務や維持管理技術にどのように役立っていくかをテーマに,解析の研究者や実務者からご講演いただくセミナーを企画いたしました.ご講演内容は、難しい微分方程式や構成則に重きを置いたものではないので、構造解析を専門とする方以外にもご理解いただける内容です。
あわせて、講演者をパネラーとするパネルディスカッションも企画しております。パネルディスカッションでは、会場からのご意見も織り込みながら、研究者のシーズと実務者のニーズを結びつける議論を志向します。
構造解析を専門とする方のみならず、多くの皆様の参加をお待ちしております.
1.主催:土木学会(構造工学委員会)
2.開催日:2025年11月12日(水) ※参加申込締切日 2025年11月5日(水)17時迄 締め切り後の受付は行いません
3.会場:①土木学会 講堂
②オンライン(Zoom大規模ミーティング)
4.定員:①会場50名、 ②オンライン300名
5.参加費:会員5,500円, 非会員6,600円, 学生会員0 円 (税込み、会場・オンラインとも)
※学生会員はオンラインのみ無料です.会場参加を希望される学生は、会員の参加費となります.
※参加申込後のキャンセル、参加区分変更は出来かねますのでよくご確認の上お申し込みください.
【オンライン】https://www.jsce.or.jp/events/form/242510
【対面】https://www.jsce.or.jp/events/form/2425101
6.プログラム:
司会:武田篤史(大林組)
13:00~13:10 開会挨拶:構造工学委員会委員長:中村聖三(長崎大学)
13:10~13:35 未来を変える種々の解析手法:長井宏平(北海道大学)
13:35~14:00 建設会社における解析技術の指向:羽場一基(大成建設)
14:00~14:25 鋼構造物の変形・座屈・疲労・破壊性能を高精度かつ統合評価可能な設計技術:堤成一郎(大阪大学)
14:25~14:35 休憩
14:35~15:00 次世代型設計に向けたコンクリート構造応答の時系列解析:石田哲也(東京大学)
15:00~15:25 道路分野における解析技術の活用:篠原聖二(阪神高速道路)
15:25~15:50 鉄道分野における解析技術の活用:木野淳一(東日本旅客鉄道)
15:50~16:00 休憩
16:00~17:00 パネルディスカッション「構造解析技術が変える未来」
パネラー:講演者、 ファシリテータ:武田篤史(大林組)
17:00~17:10 閉会挨拶:構造工学委員会副委員長 秋山充良(早稲田大学)
※テキストにつきましては、行事開催日前日までに掲載いたします。
7.CPDポイント
申請中 本講習会は土木学会継続教育CPDプログラムに認定されています(2.4単位)
【会場参加】
CPD受講証明書をご希望の方は必要事項を予め記入した申請書を受付にご持参ください.プログラム終了後,受付にて受講印を押印いたします.
申請書類は https://www.cpd-ccesa.org/unit_assent.php からダウンロードして下さい.
現地での受講証明書配布はございません.
【WEB聴講者の方】
・CPD受講証明は,事前の参加申込者のうち,アンケート(100文字以上の簡易レポート)を提出していただき,受講していたことが確認できた方に発行いたします.講習会終了後,下記URLよりアンケートにご回答ください.
https://forms.gle/75iNHBQLcgq5kSaTA
・アンケートの回答期日は,2025年11月16日(日) までになります.回答期日を過ぎますと受付いたしませんので,ご注意願います.
内容を確認し,提出期限日以降2週間前後で順次受講証明証をメール送付いたします.多少お時間を頂く場合もございますのでご了承ください.
※申請にはハイフン以下の参加番号(242510-〇〇〇)が必ず必要になります。
不明な場合は参加申込時に送付している参加券メール(event@jsce.or.jp)をご確認ください。
申請の際は参加申込時と同様の氏名、アドレスをご入力下さい。
・参加申込いただいた方の代理で参加される場合は,事前に上記の問合先までご連絡ください.ご連絡いただいた方のみ受講証明書の発行を予定しております.
・土木学会CPDシステムをご利⽤の方は,参加者ご自身によるCPDシステムへの「自己登録」をお願いいたします.
・建設系CPD協議会加盟団体CPDシステムをご利用の方は,各団体のルールに沿って,CPD単位の申請をお願いいたします.申請の提出方法等は提出先団体に事前にご確認ください.土木学会で証明する単位が,各団体のルールにより認められないことがあります.土木学会では他団体の運営するCPD制度に関しては回答いたしかねます.
土木学会全国大会委員会では、全国大会における会員サービスの向上や、運営の効率化に取り組んでおり、よりよい全国大会とするため、実施方法の改善検討を進めております。
また、今後、魅力ある全国大会を実施していくためにも、全国大会参加者の皆様のご意見を伺い、今後の進め方の参考にさせていただこうと思いますのでご協力をお願いいたします。
実施方法:WEB方式
実施期間:令和7年9月8日(月)~10月17日(金)まで
建設マネジメント委員会(委員長:塩釜浩之)では,建設プロジェクトの企画・計画から設計,施工,管理・運営,保全の各段階におけるマネジメントに関わる諸問題についての
研究発表および討論を行う「第43回建設マネジメント問題に関する研究発表・討論会」を,下記の通り開催いたします.
2018年度より新たな取り組みとしまして,特定の課題に関するテーマを設定し,建設マネジメント分野はもとより関連する分野における研究成果も踏まえた分野横断的な議論を行っていくことになりました.
詳しくは別紙(2025年度「建設マネジメント問題に関する研究発表・討論会」における特定テーマ論文の募集について)をご参照ください.なお,特定テーマ以外の一般テーマ論文につきましても,通常通り募集いたします.
また,今年度より新たな取り組みとしまして,建設事業を進めていくうえでの実践的な対応力養成に有効と考えられている「建設ケースメソッド」研修に活用できる「ケース」及び「建設ケースメソッドの実践報告」(以下「ケース等」)
を広く募集していくことになりました.「ケース等」については,本ページに添付のパンフレット「建設ケースメソッドのすすめ」をご参照ください.
本研究発表・討論会では,研究論文に限定せず,実務や現場における事例報告を含めた幅広い「講演論文」ならびに「ケース等」を募集いたします.皆様の積極的な応募をお願いいたします.
1.主催 土木学会建設マネジメント委員会
2.開催期日 2025年12月9日(火)予定
3.会場 土木学会 講堂・会議室およびオンライン(Zoom) ※予定ですので,現地のみ・オンラインのみになる可能性もございます.
4.講演申込・原稿締切 : 2025年10月20日(月)17時
5.講演申込・論文投稿・ケース投稿要領
1)原稿の査読は行いませんが,採否については建設マネジメント委員会にご一任ください.
2)本ページ下部より,必要項目を入力,講演原稿 原則4頁(最大6頁、PDF)をアップロードの上,送信ください.
受付完了致しましたら,自動返信メールにて受領完了をお知らせするメールが届きます.このメールが届かない場合には,下記の事務局に必ずお知らせください.
3)講演論文原稿は,本ページを熟読の上,「9.講演希望の分野・キーワード例」を参考にキーワード(複数可)を記述してください.
なお,ケース等の投稿の際はキーワードの記述は不要です.
講演原稿のファイル名は,発表者氏名のローマ字表記として下さい.※例:doboku taro
4)特定テーマ(①もしくは②)に投稿される場合,投稿画面の末尾にある「備考欄」に必ず以下のように記載してください.
「特定テーマ① 」に投稿される場合 : 特定テーマ1に投稿 と記載
「特定テーマ② 」に投稿される場合 : 特定テーマ2に投稿 と記載
なお,論文キーワードは内容に合ったものを選択ください.
また,「ケース等」を投稿される場合,投稿画面の末尾にある「備考欄」に「ケース等」と記載してください.
5)受付日は投稿原稿締切日となりますので,(2025.10.20受付)と記載してください.
6.掲載料
11,000円 (税込、口頭発表の参加費含む(発表者(1名分)))
※ケース等の投稿の場合は,5,500円(税込、口頭発表の参加費含む(発表者(1名分)))
※掲載可となった場合は発表会終了後(12月~1月を予定)にメールで請求書類をお送りいたします.
7.発表方法
パワーポイントによる発表とします(パワーポイントの作成要領等は申込者に後日お伝えいたます).
8.講演・ケース等の対象分野
①建設プロジェクト全体に関係するマネジメント問題全般に関する理論,技術,制度 等
②建設プロジェクトの進捗過程に関係する次の各分野のマネジメント問題(理論,技術):調査・企画,計画,設計,施工,管理・運営,維持・保全
③ケースが対象とするのは,例えば次のような事態です.
自然災害の発生事故・想定外事象の発生,急な事業方針転換等の指示・要請,関係機関調整問題の発生,地元問題,受発注者間のコミュニケーション不足,
設計ミス(品質不良等の発覚を含む),工期遅延・コスト増の発覚(リスク把握の遅れ),組織運営トラブル,未体験業務担当,新たな取り組みへの挑戦 等
9.講演希望の分野・キーワード例
講演希望の分野は,特定テーマの場合,特定テーマ①,②より,一般テーマの場合,①~⑫より選択してください.
ケース等の発表を希望する場合,講演希望の分野の記載は不要です.
(特定テーマ)
①:「DXを活用したインフラ・マネジメントに関する研究」
ICT,IoT技術,AI,BIM/CIM,人材育成,新技術開発,システム/データ整備,環境構築,施工管理,品質管理 など
②:「建設マネジメント力の育成・向上方策に関する実践的研究」
建設マネジメント力,災害・事故対応力,課題解決能力,技術継承,建設ケースメソッド,人材育成 など
詳しくは別紙(2025年度「建設マネジメント問題に関する研究発表・討論会」における特定テーマ論文の募集について)をご参照ください.
(一般テーマ)
①インフラ整備・開発論
事業計画・評価,プロジェクト評価,経済分析など
②インフラマネジメント論
リスクマネジメント,合意形成,パブリックインボルブメント,満足度評価など
③プロジェクトマネジメント
戦略決定,コミュニケーション,組織,施工体制,原価・品質・工程・安全・環境管理など
④マネジメントシステム
CM,CIM/BIM,ISO,労働安全など
⑤調達問題
入札・契約制度,積算・見積り,予定価格,公共工事品質確保法,総合評価落札方式,PPP/PFIなど
⑥公共政策
法令,情報公開,アカウンタビリティ,会計法,公正取引問題,官公需法など)
⑦建設市場
経済環境・条件,価格問題,内外価格差,外国人労働者,建設業の海外展開,外国企業参入問題など
⑧建設産業および建設企業
生産性向上,企業評価,経営指標,産業構造問題,労働環境,新技術,NGO,NPOなど
⑨人材問題
技術者資格,人材育成,人材評価,技術教育,技術伝承など
⑩維持・補修・保全技術に関するマネジメント論
アセットマネジメント,ストックマネジメント,維持管理・更新計画など
⑪設計・施工技術に関するマネジメント論
ICTの活用,情報化施工,無人化施工など
⑫その他
防災計画,BCP,復旧活動など,建設事業および建設産業の歴史,国際比較,技術移転,環境保全など
※特定テーマと一般テーマのキーワードが重なる場合は,可能な限り特定テーマをお選びください.
10.その他
「第43回建設マネジメント問題に関する研究発表・討論会」での優れた講演(ケース等の発表を含む)に対しては,優秀講演賞を授与いたします.
また,講演・ケース等の発表のうち,建設マネジメントの実務において創意工夫に富む意欲的な取り組みを行い,建設マネジメントの発展に貢献が認められる方には,グッド・プラクティス賞を授与いたします.
11.お問い合わせ先
建設マネジメント委員会 論文集編集小委員会宛
E-mail:kenmane-journal★jsce-ml.jp(★を@に変更してください)
※論文投稿後のお問い合わせや連絡もこちらのメールアドレスにお願いいたします。こちら以外のご連絡については回答いたしかねますので予めご了承ください。
jsce-ml.jp のドメインからのメールを受信できるよう、設定してください。迷惑メールに振り分けられる可能性がございますのでご注意ください。
※原稿の差し替えを希望する場合は再投稿をお願いいたします。
新着・お知らせ研究発表・討論会講演論文講演題目 日本語 * 英語 著者1(発表者) 氏名 * 氏名(ローマ字) * 所属・職名 * 年齢 * 歳 著者2 氏名 氏名(ローマ字) 所属・職名 年齢 歳 著者3 氏名 氏名(ローマ字) 所属・職名 年齢 歳 著者4 氏名 氏名(ローマ字) 所属・職名 年齢 歳 著者5 氏名 氏名(ローマ字) 所属・職名 年齢 歳 講演希望分野 分野 * キーワード(複数可) * 講演言語 * 論文ページ数 * 頁 講演主旨(300字程度) * 連絡先 氏名 * 勤務先名称 * 勤務先所属 * 電話番号 * E-mail * ※今後の連絡は原則E-mailとなりますので、入力はお間違いのないようお願い致します。 請求書類送付先※掲載が決定した場合の、掲載料の請求書類の送付先をご入力下さい。 氏名 * 勤務先名称 * 勤務先所属 * 郵便番号 * 半角・ハイフンあり 住所 * 電話番号 * 半角・ハイフンあり E-mail * 請求書類宛名 * 備考欄 講演論文アップロード * 「CAPTCHA 認証に入力した答えが正しくありません」と表示される場合は、お手数ですが土木学会へお問い合わせください。 添付サイズ 原稿作成要領(和文PDF)557.81 KB 原稿サンプル(和文WORD)57.28 KB 原稿作成要領(英文PDF)605.03 KB 原稿サンプル(英文WORD)54.18 KB 2025パンフレット「建設ケースメソッドのすすめ」.pdf1009.82 KB2026年9月15日(火)〜16日(水)に,第46回地震工学研究発表会を山形県山形市にて開催予定です.
会場は山形テルサ(HP:https://yamagataterrsa.or.jp/)です.
論文投稿の受付期間など詳細情報は,本ページにて追ってご案内いたします.
まずは日程の確保をお願いいたします.
下記の内容で2025年度新技術の地域実装に向けた研究活動助成のテーマを募集いたします。
内容をご確認の上、ご応募ください。
土木学会新技術の地域実装に向けた研究活動助成 2025年度募集要領
1.研究助成の趣旨
道路,橋梁,トンネル,ダムなどの社会基盤施設の維持管理・更新・マネジメントを効率化・高度化するための有望な新技術が数多く開発されてきているものの,特に地方の自治体で新技術が活用されている事例が少ないのが現状です。この理由の一つとして,新技術に関する情報が地域の関係者に十分周知されていないことが挙げられます。一方,新技術を活用することにより,自治体のインフラメンテナンス業務を効率化・高度化できることが期待されます。そこで,土木学会新技術適用推進小委員会・地域実装促進部会では,社会基盤施設の維持管理・更新・マネジメントに関する新技術の地域への実装を促進するための取り組みを行っています。この活動のうちの一つとして,2020年度から社会基盤施設の維持管理・更新・マネジメントに関する日本で開発された新技術を地方自治体が管理する構造物に適用することを目的とした活動に対して研究助成「新技術の地域実装に向けた研究活動助成」を行い,新技術を地域へ実装するための研究活動を支援しています。
2025年度は下記の内容で研究助成を募集いたします。
なお,本研究助成は一般財団法人上田記念財団の支援によって実施されるものです。
2.対象となる活動
地域実装へ向けた継続的な研究開発が実施されており,地域に実装できる有望な新技術を地方自治体が管理するインフラのメンテナンスに適用することを目的とした研究活動に対して助成します。
新技術を実装する地域(都道府県・市・町・村)を選定し,その地域での実証試験が可能である研究活動を対象とします。
地域への新技術の実装活動を広く情報発信するため,実証試験にあたって見学会を開催してください(感染症の影響等により実施スケジュールや参加者の規模は柔軟に対応してください)。見学会には,自治体職員,地域のインフラメンテナンスに係わる民間技術者,学生などの参加を募って,地域の皆さんに新技術に関する情報を周知してください。また,ビデオで新技術の内容(適用対象構造物,活用目的・方法,適用限界,特徴など)や実証試験の状況等を記録してください。新技術の内容や地域への実装活動を広く周知するために,土木学会主催行事等でビデオ映像を公開させていただくことがあります。
適用する新技術は,将来,国際展開も図れる有望な技術であることが望ましいです。
過去に本研究助成を受けた研究者や研究課題が,これまでの活動を継続・発展させる活動についても歓迎します。
3.助成対象
新技術開発者,自治体,社会実装を支援する地域の大学(高等専門学校を含む)の3者により連携して実施する研究グループを助成対象とします。ただし,研究代表者は大学(高等専門学校を含む)に所属する教員とします。
若手研究者(40歳程度以下)が研究グループのメンバーに含まれる(若手研究者が研究代表者である必要はありません)ことが推奨されます。
過去に本研究助成を受けた研究者(もしくは研究グループメンバー)による,これまでの活動の発展研究や展開研究も対象とします。
4.助成期間と助成額
研究助成金は代表者の所属する機関(大学または高等専門学校)に振込みがされます。研究費は研究代表者が所属する機関の規定に則って適正に使用してください。研究終了後に使途の報告が必要となります。
5.選考方法
研究助成申請書に必要事項を記載し,PDFファイルに変換したうえで,下記の提出先に期間内に電子メールにて提出してください。研究開始後の状況の変化による研究計画変更には柔軟に対応します。
選考は土木学会 助成課題選定会議にて実施します。必要に応じて,追加の資料提出やヒアリングを実施する場合があります。選考は2025年12月末までを予定しており,2026年1月下旬(予定)に選考結果を通知します。採択された場合には,土木学会の指示に従って研究費の受け入れ手続きをして頂きます。
選考における評価項目について
研究助成課題の選定にあたっては下記の視点に基づく評価を行う予定です。
6.活動と成果の報告
新着・お知らせ 添付サイズ 2025年度募集要領_地域実装助成334.96 KB 2025年度研究助成申請書_地域実装助成25.17 KB
下記の内容で2025年度インフラマネジメント技術国際展開研究助成のテーマを募集いたします。
内容をご確認の上、ご応募ください。
土木学会インフラマネジメント技術国際展開研究助成 2025年度 募集要領
1.研究助成の趣旨
土木学会インフラメンテナンス総合委員会・新技術適用推進小委員会・国際展開部会では,道路,橋梁,周辺地盤などの社会基盤構造物の維持管理に関する技術や制度の国際展開に取り組んでいます。
その活動のひとつとして,2019年度から,日本で開発された計測や評価,補修・補強に関する技術を海外の構造物に適用する活動に対して研究助成を行い,日本の優れた技術が海外展開される機会を創出するとともに,日本の特に若手研究者が海外で実践的な研究活動を経験することを支援しています。(土木学会HP掲載)
2025年度は下記の内容で研究助成を実施いたします。なお、若手研究者の積極的活動を推奨するために、研究代表者は2026年4月1日時点で50歳未満であることを応募条件とします。
これまで主に道路,橋梁,周辺地盤などを対象にしてきましたが,都市計画,交通,防災,河川・海岸,水環境など,従来の社会基盤構造物に限らず,土木工学が対象とする施設,都市,環境の維持管理,サステイナビリティ,リスク評価等に関する研究における技術適用を広く助成の対象とします。
また,過去に本研究助成を受けた研究者や研究課題が,これまでの活動を継続・発展させる活動についても応募を歓迎します。
なお,本研究助成は一般社団法人上田記念財団の支援によって実施されるものです。
2.対象となる活動
3.助成対象
4.助成期間と助成額
助成金は,対象国への渡航費,調査や調整,適用に関係する活動費,日本での必要な技術開発に関係する活動に用いることができます。研究助成金は代表者の所属する機関に振込みがされる予定です。研究費は,研究代表者機関の規定に則って適正に使用してください。研究終了後に使途の報告が必要となります。尚,感染症や治安情勢の影響等により海外での研究活動実施が進まない場合は,研究期間延長等の措置を取ります。
5.選考方法
研究助成申請書に必要事項を記載し,PDFファイルに変換したうえで,下記の提出先に期間内に電子メールにて提出してください。感染症や治安情勢の影響については,申請時に推測される範囲で考慮に入れて下さい。研究開始後の状況の変化による研究計画変更には柔軟に対応します。
選考は土木学会 助成課題選定会議にて実施します。必要に応じて,追加の資料提出やヒアリングを実施する場合があります。選考は2025年12月末までを予定しており,2026年1月下旬(予定)に選考結果を通知します。採択された場合は,土木学会の指示に従って,研究費の受入れ等の手続きをして頂きます。
6.活動と成果の報告
7.スケジュール概要
2025年10-11月 研究申請書受付
2025年11月28日17時 申請締切
2025年12月 採択課題の選考と決定
(ヒアリングや追加情報提供を依頼する場合があります。)
2026年1月 採択課題の公表と手続き
研究活動開始 (手続き後に研究費振込)
2027年5月 中間報告会(研究経過報告書提出:A4-4枚程度)
研究経過報告ヒアリング
*セミナー等での発表依頼の可能性があります
*必要に応じて土木学会によるヒアリングや現地視察
2028年3月 研究期間終了
4月 研究経過報告書提出(対象国への報告も必要)
5月以降 セミナー等での発表
○参考資料
対象となる研究活動の考え方について,以下を参考としてください。ただし,対象とする活動はこの限りではなく,広く提案を受付けます。
活動体制について
研究内容について
評価項目について
公募課題の選定に当たっては下記の項目について,適切であるか,成果が期待できるかを評価する。
2019年度以降の採択課題
2019年度以降の採択課題は以下です。
https://committees.jsce.or.jp/opcet_sip/node/29
また2019年度採択課題で終了した研究の報告会の動画が以下で視聴可能です。
https://youtu.be/FN6975C2ybw
新着・お知らせ 添付サイズ 2025年度募集要領_国際展開助成542.31 KB 2025年度研究助成申請書_国際展開助成23.5 KB
「コンクリート構造物の水密性を確保するための規定に関する小委員会」 委員募集
表記の委員会の委員を募集しております.ご興味のある方は,下記のメールアドレスにご連絡いただければと存じます.よろしくお願い申し上げます.
1.研究目的
浮体式洋上風力発電施設のコンクリート製浮体は常時海水中に位置するため高い水密性が要求される。コンクリート標準示方書には、水密性を確保するためのひび割れ幅の設計限界値の目安が設定されている。しかし、その設定根拠は部材を完全に貫通したひび割れを対象とする研究に限られており、ひび割れが貫通していない状態や、部材が圧縮応力下にある状態における水密性評価、特にひび割れ幅の設計限界値は明記されていない。また、このひび割れ幅の設計限界値を確保するために過密配筋となり、品質や施工性を損なう一因ともなっている。そこで本委員会では、この課題の解決のため、文献調査、数値解析、実験的検討を行うことにより、これらの状態における水密性確保を目的とした設計限界値を確立することを目的とする。
キーワード:コンクリート構造物の水密性、打ち継ぎ目、ひび割れ幅、圧縮応力下、洋上風力発電
2.活動概要
活動期間:令和7年8月4日~令和9年8月3日(2年間)
3.応募概要
4.応募先、問合せ先
小山宛(koyama.hirohito@obayashi.co.jp)にメールでご連絡いただけますようお願い致します。
新着・お知らせ【国際センター】 土木技術者の国際化実践小委員会 第3回海外調査団
「IABSE(国際構造工学会)2025 ヘント大会」調査団(4,5日目)
土木技術者の国際化実践小委員会「橋梁・構造WG」(WGリーダー:高森敦也)では、2024年の第2回海外調査団(マンチェスター)に続き、
今年は2025年8月25日(月)~8月29日(金)の期間、英国(ロンドン)、ベルギー(ヘント)に標記調査団を派遣しています。
4日目となる8月28日(木)には、ベルギーの歴史的都市であるコルトレイクとブルージュへの視察を行いました。
コルトレイクでは、変則的な吊り橋構造の歩道橋である「Collegebrug(カレッジブリッジ)」を訪問。この橋は斜めケーブルを採用した独創的なデザインであり、
非常に興味深い構造でありました。
続いて訪れたブルージュでは、運河の街を象徴する数々の歴史的石橋を視察しました。
800年近くの風雨に耐え今なお市民の生活を支える姿に、橋梁の持つ文化的・社会的価値を改めて実感することができました。
現代の技術で建設される高度な橋梁と、歴史的遺産としての橋梁を同日に視察することで、橋梁技術の進化と継承について深く考える機会となりました。
5日目となる8月29日(金)は、IABSE主催のテクニカルツアーに参加し、ヘント市の交通課題を解決するための大規模インフラプロジェクト
「Ringway around Ghent」を視察しました。
このプロジェクトは自転車と車の道路交通の向上および、自然との調和と景観にも重点を置いてプロジェクトが進められています。
特に印象的だったのは、現在建設中のピラミッド型アーチ橋です。通常のアーチとは異なり、三角形のピラミッド構造を持つ革新的なデザインが特徴です。
建設責任者からは、設計上の課題や施工方法についての説明があり、ベルギーでの橋梁施工技術についても学ぶことができました。
これにて、今回調査団の5日間にわたる活動は終了となります。
1日目のロンドンでの土木学会英国分会との交流、2-3日目のIABSE国際会議での発表と交流、そして4-5日目のベルギー各地での橋梁視察と、
あっという間の濃密な活動でしたが、その事前準備も含めて、参加メンバー全員が新鮮かつ貴重な経験を得ることができました。
国際会議への参加と発表経験および、欧州での橋梁の視察は、将来の技術者としての成長に大きな糧となったと感じております。
今回得られた知見やネットワークを活かし、今後の委員会活動や各自の業務においても、国際的な視点を持った土木技術の発展に貢献していきたいと思います。
最後に、本調査団の活動にご支援、ご協力いただいた全ての方々に心より感謝申し上げます。
【調査団メンバー】
・高森敦也(長大、土木技術者の国際化実践小委員会委員)
・小沼恵太郎(パシフィックコンサルタンツ、土木技術者の国際化実践小委員会委員長)
・船水洋輔(JFEエンジニアリング、土木技術者の国際化実践小委員会委員)
・櫻井俊太(日鉄ケミカル&マテリアル)
新着・お知らせ 添付サイズ 道路とフェンス452.08 KB 橋496.2 KB モニター画面2.49 MB 作業現場3.6 MB 作業現場と人5.94 MB
土木学会土木技術映像委員会は、令和7年8月6日(水)、土木学会本部講堂にて第122回イブニングシアターを開催し、
特集『栄えある2024年度第31回土木映画コンクール受賞作品』として、
最優秀賞「【喜連瓜破 橋梁架け替え工事】二年半の軌跡 ~100年先を見据えて~ 工事担当者の想いに迫る!」
部門賞(一般部門)「人々の暮らしを取り戻す 精鋭たちの総力戦~2016-2021 熊本県南阿蘇村―技術者たちの闘い」
部門賞(技術映像部門)「令和のリニューアル 北陸自動車道 米山トンネルのインバート補強」
の3作品を上映しました。また上映に先立ち、土木映画コンクールの歴史と第31回コンクールの選考経緯について、委員長より報告いたしました。
当日は、厳しい猛暑にもかかわらず、大変多くのお客様にご来場いただきました。ご来場いただきました皆様に感謝申し上げます。
上映した3作品は、イブニングシアターでは初めての上映となりましたが、最後まで熱心にご視聴いただきました。
次回イブニングシアターは10月に開催予定です。現在準備を進めていますので、詳細が決まり次第、当委員会サイトおよびメールにてご案内いたします。
なお、9月11日(木)、12日(金)は、土木学会全国大会において映画会を開催予定です。全国大会に参加されるみなさまのご来場をお待ちしてます。
「第13回 鋼構造技術継承講演会」を2025年12月16日(火)14:00より土木学会講堂およびオンライン(Zoomウェビナーによる配信予定)にて開催いたします。
詳細は,添付ファイルをご参照ください。
申し込みは以下のサイトからお願いいたします。
対面参加 こちら
オンライン参加 こちら
皆様のご参加をお待ちしております。
※本講演会は土木学会CPD 認定プログラムです(JSCE25-0913,2.7単位)
新着・お知らせ 添付サイズ 第13回鋼構造技術継承講演会会告ver2.pdf162.04 KB鋼構造委員会「鋼構造物における先進的非破壊検査・評価技術に関する調査研究小委員会」では,NDE4.0の思想をベースとして,主に鋼橋分野における先進的な非破壊検査・評価技術についての調査と研究を目的に活動を行ってきました。
3年間の小委員会の活動成果を,この度,報告書にまとめましたので,活動成果の報告会講習会を2025年10月27日(月)13時~17時に対面およびオンライン(Zoom)開催いたします。
また,報告会に合わせて,「先進的な非破壊検査と土木DXとの連携-現状,課題,展望」と題して,パネルディスカッションも開催いたします。
申し込み方法等の詳細は,添付ファイルをご参照ください。
皆様のご参加をお待ちしております。
新着・お知らせ 添付サイズ 【会告】先進非破壊小委員会報告会_20250901.pdf156.88 KB
【国際センター】 土木技術者の国際化実践小委員会 第3回海外調査団
「IABSE(国際構造工学会)2025 ヘント大会」調査団(3日目)
土木技術者の国際化実践小委員会「橋梁・構造WG」(WGリーダー:高森敦也)では、2024年の第2回海外調査団(マンチェスター)に続き、今年は2025年8月25日(月)~8月29日(金)の期間、英国(ロンドン)、ベルギー(ヘント)に標記調査団を派遣しています。
2日目となる8月26日(火)には、歴史あるユーロスタートンネルを通過し、ロンドンから中世の美しい街並みが残るヘントへと無事到着しました。古い教会や運河が織りなす独特の景観に触れながら、翌日からの国際会議に向けた準備を整えました。
3日目となる本日8月27日(水)は、今回調査団の主目的である「IABSE2025ヘント大会」に参加。
午後からのセッションでは、調査団メンバーからの講演を行いました。
・Atsuya Takamori, Yosuke Funamizu:「Evaluation of Low-Carbon technologies for Steel Bridges and Carbon emissions in the use Stage」
・Shunta Sakurai:「Study on Reinforcement Method of Upper Flange of Steel Girders Using CFRP Moulded Plates」
どちらの発表においても、発表後には会場から活発な質問が飛び交い、即興で英語での回答に苦慮しつつも何とか無事に発表を終えることができました。
ランチタイムでは、山口隆司先生(大阪公立大学)をはじめ、日本からの参加者の方々と和やかな雰囲気の中、会議の印象や各自の研究テーマについて情報交換を行うことができました。
明日以降も引き続きIABSE2025ヘント大会に参加するとともに、最終日にはRingway around Ghentプロジェクトの橋梁を巡るIABSE主催のテクニカルツアーにも参加予定です。引き続きその様子について報告してまいります。
【調査団メンバー】
・高森敦也(長大、土木技術者の国際化実践小委員会委員)
・小沼恵太郎(パシフィックコンサルタンツ、土木技術者の国際化実践小委員会委員長)
・船水洋輔(JFEエンジニアリング、土木技術者の国際化実践小委員会委員)
・櫻井俊太(日鉄ケミカル&マテリアル)
【土木技術者の国際化実践小委員会ウェブサイト】
・https://committees.jsce.or.jp/kokusai14/
【委員随時募集中】
・https://committees.jsce.or.jp/kokusai14/node/7
【国際センター】 土木技術者の国際化実践小委員会 第3回海外調査団
「IABSE(国際構造工学会)2025 ヘント大会」調査団(3日目)
土木技術者の国際化実践小委員会「橋梁・構造WG」(WGリーダー:高森敦也)では、2024年の第2回海外調査団(マンチェスター)に続き、今年は2025年8月25日(月)~8月29日(金)の期間、英国(ロンドン)、ベルギー(ヘント)に標記調査団を派遣しています。
2日目となる8月26日(火)には、歴史あるユーロスタートンネルを通過し、ロンドンから中世の美しい街並みが残るヘントへと無事到着しました。古い教会や運河が織りなす独特の景観に触れながら、翌日からの国際会議に向けた準備を整えました。
3日目となる本日8月27日(水)は、今回調査団の主目的である「IABSE2025ヘント大会」に参加。
午後からのセッションでは、調査団メンバーからの講演を行いました。
・Atsuya Takamori, Yosuke Funamizu:「Evaluation of Low-Carbon technologies for Steel Bridges and Carbon emissions in the use Stage」
・Shunta Sakurai:「Study on Reinforcement Method of Upper Flange of Steel Girders Using CFRP Moulded Plates」
どちらの発表においても、発表後には会場から活発な質問が飛び交い、即興で英語での回答に苦慮しつつも何とか無事に発表を終えることができました。
ランチタイムでは、山口隆司先生(大阪公立大学)をはじめ、日本からの参加者の方々と和やかな雰囲気の中、会議の印象や各自の研究テーマについて情報交換を行うことができました。
明日以降も引き続きIABSE2025ヘント大会に参加するとともに、最終日にはRingway around Ghentプロジェクトの橋梁を巡るIABSE主催のテクニカルツアーにも参加予定です。引き続きその様子について報告してまいります。
【調査団メンバー】
・高森敦也(長大、土木技術者の国際化実践小委員会委員)
・小沼恵太郎(パシフィックコンサルタンツ、土木技術者の国際化実践小委員会委員長)
・船水洋輔(JFEエンジニアリング、土木技術者の国際化実践小委員会委員)
・櫻井俊太(日鉄ケミカル&マテリアル)
2025年8月15日(金)、川崎市上下水道局と清水・竹中土木・岩田地崎・坂田共同企業体の共催により「浄水場連絡管工事 夏休み親子見学会」が川崎市多摩区の生田浄水場で開催されました。対象は市内在住の小学3年生から6年生までの児童とその保護者で、各回15組、計45組が参加。親子で夏休みの貴重な体験を楽しみながら、浄水場の役割や工事の内容について学ぶ機会となりました。
土木広報センターにてイベントの様子を取材させていただきましたので、ご報告いたします。
本工事は、市内を流れる工業用水道送水管の断水リスクや将来的な更新への対応として、長沢浄水場と生田浄水場を直径約2メートルの地下トンネルで結ぶものです。完成すれば、市民生活を支える水の安定供給に大きく寄与します。
見学会は、担当者による工事の概要説明から始まりました。その後、参加者は普段は立ち入ることのできない工事中の地下トンネルへ入場しました。ひんやりとした空気の中を進みながら、日常生活の裏側で進む大規模工事のスケールを間近に体感することができました。
坑内では、実際に工事で使用されているバッテリーカーに乗って移動。普段は作業員しか利用することができない乗り物に乗れる特別感に、子どもたちは目を輝かせていました。
さらに会場では、親子で楽しめる体験コーナーも多数用意され、さまざまな企画を通じて水道工事への理解を深めました。
・建設機械の乗車体験
・ドローンの運転体験
・水道復旧工作車の展示
・市職員による漏水修理の実演
・上下水道局や土木職のPR動画上映
子どもたちは大きな建設機械に興味津々で、現場作業員による丁寧なレクチャーを受けながら、ワクワクした表情で体験していました。保護者からも「普段は見られない現場を間近で体験できてよかった」との声が聞かれました。
また、漏水修理の実演では、水しぶきが大きく上がる迫力あるデモンストレーションに、子どもたちから歓声があがりました。実際の補修作業を目の当たりにすることで、水道管を守る人々の存在やその高度な技術に生活が支えられていることを実感しました。改めて、毎日当たり前のように使える水道がこうした技術によって守られているのだと学ぶ機会となりました。
今回のイベントについて、開催した川崎市上下水道局は取材時に次のような思いを語っています。
「小学生にとっては夏休み自由研究にこのイベントを通して学んだことを活用してもらい、さらに公共事業や社会を支えるのモノづくりの世界に興味を持ち、将来の担い手となってくれることを期待しています。また、保護者の皆様にも上下水道局の事業をより深く理解していただきたいと考えています。」
「浄水場連絡管工事 夏休み親子見学会」 ■開催日 :2025年8月15日(金) ■開催場所:生田浄水場 ■参加費 :無料
今回のイベントを開催した川崎市上下水道局では、公式Youtubeを開設しています。
下記の動画以外にも様々ありますのでぜひご覧ください。
新着・お知らせイベント情報・報告
【国際センター】 土木技術者の国際化実践小委員会 第3回海外調査団
「IABSE(国際構造工学会)2025 ヘント大会」調査団(1日目)
土木技術者の国際化実践小委員会「橋梁・構造WG」(WGリーダー:高森敦也)では、2023年の第2回海外調査団(マンチェスター)に続き、今年は2025年8月25日(月)〜8月29日(金)の期間、英国(ロンドン)、ベルギー(ヘント)に標記調査団を派遣しています。
1日目となる8月25日は、UCL(ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)にて、土木学会英国分会の藤山拓先生(UCL所属)、齊藤大輔様(COWI所属)との意見交換会を実施しました。
始めに、土木技術者の国際化実践小委員会からは、NetZero橋梁WG、海峡横断プロジェクト基礎検討WGの活動内容を報告しました。ネットゼロ取組みに関する欧州の実情や、海外視点からの今後のWG活動の方針等について貴重なフィードバックを受けることができました。
その後、齊藤様より欧州における最新の橋梁設計の特徴や、環境負荷低減とコスト最適化を両立させた橋梁バリューエンジニアリングの実践例についてご紹介いただきました。日欧の設計思想、発注方式、強みや弱みといった違いについてお話を伺うことができたとともに、日本の土木技術者の国際活躍について議論を深めました。
8月26日は「IABSE2025ヘント大会」に参加するべく、ロンドンからベルギーのヘントに移動します。国際会議での発表や交流の様子について、引き続き報告してまいります。
【調査団メンバー】
・高森敦也(長大、土木技術者の国際化実践小委員会委員)
・小沼恵太郎(パシフィックコンサルタンツ、土木技術者の国際化実践小委員会委員長)
・船水洋輔(JFEエンジニアリング、土木技術者の国際化実践小委員会委員)
・櫻井俊太(日鉄ケミカル&マテリアル)
【土木技術者の国際化実践小委員会ウェブサイト】
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【委員随時募集中】
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2025年2⽉26⽇に発出した「下⽔道に起因する道路陥没事故をうけての⼟⽊学会会⻑から会員の皆さんへのメッセージ」に対応した議論の場として、表題の検討会を立ち上げました。土木学会前会長である佐々木葉座長の元、インフラメンテナンスだけでなく幅広い専門分野の方々がメンバーとなり、各人が自分ごととして捉え、分野横断で議論を深めます。
第6回の検討会では、これまでの話題提供やディスカッションの内容を整理し、今後の検討会の進め方について議論を行いました。
日時:2025年8月8日(金)10:00-12:00
場所:土木学会 会議室&オンライン
次第:
1.佐々木葉座長からの挨拶
2.議論・フリーディスカッション
3.方向性の決定
4.次回のスケジュール確認
資料:
資料1 第6回検討会議事録
次回、第7回の検討会では、様々な取り組みや制度等について整理するとともに、インフラ自分ごとに関する意見を持ち寄り、ディスカッションを行います。
お知らせインフラ自分ごと検討会は、メンバーに限らず、希望する土木学会の会員の皆さまに門戸を開いております。傍聴や参加を希望される場合は、直接座長・幹事に以下のフォームからご連絡ください。
本検討会に関するお問い合わせ 新着・お知らせ 添付サイズ 資料1 第6回検討会議事録.pdf689.12 KB仕事の風景探訪:事例11(北海道支部)【自然のチカラ】【コミュニティのチカラ】
事業者:北海道稚内市
所在地:北海道稚内市宗谷村宗谷
取材・執筆:ライター 大井智子
編集担当:笠間 聡(国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所/仕事の風景探訪プロジェクト・北海道支局長)
岡田智秀(日本大学/仕事の風景探訪プロジェクト・リーダー)
日本本土の最北に位置する稚内市の宗谷を訪れ、砕いたホタテの貝殻を敷き詰めたという道を歩いた。想像していたよりも柔らかく、歩き心地がよい。周囲には、宗谷丘陵の雄大な景色が広がっている。2011年に稚内市が整備した「白い道」だ。幅4mほどの道が約3kmにわたって、牧草地の中を縫うように続く。細かく砕いたホタテの貝殻を厚さ10cmほど敷き詰めてある。日が差し込むと白い貝殻が反射して、まばゆいばかりの純白な道だ。
取材時は徒歩やバイク、自動車で観光客が訪れていた(写真:岡田 智秀)
道の標高がピークに達すると、目前の眺めに思わず息をのんだ。白い道が海へと向かって飛び込んでいくようだ。ジェットコースターが頂点に達し、これから急降下していく時のシーンを思い出した。
白い道が海へと続いているように見えた(写真:大井 智子)
道はやがて、樹木群に囲まれた坂道にさしかかった。空気が澄んだ日は、大海原の向こう側に、利尻島の利尻山(別名「利尻富士」)が見えるという。
大海原が目前に広がった(写真:大井 智子)
平日にもかかわらず、何人かの観光客が白い道を訪れていた。徒歩の人は1人だけ。ほかはバイクや自動車に乗っている。みなそれぞれのスポットでしばし留まり、大自然の中の道を熱心に写真に収めていた。
白い道は、宗谷を代表する人気の観光スポットのひとつだ。そもそもなぜ道路にホタテの貝殻を敷き詰めることになったのか──稚内市役所に移動して、整備のいきさつを聞いた。
1万年前にできた地形と現代の風車を眺めて歩く道ホタテの貝殻を敷き詰めたのは「宗谷丘陵フットパス」のゴール地点付近の区間で、以前は砂利道だったという。フットパスとは、既存のまちなみや自然を楽しみながら歩くことのできる小径のことだ。英国発祥で、日本国内では2000年前後に取り組みが広がった。
整備前は砂利道だった(写真提供:宗谷シーニックバイウェイ)
宗谷岬をスタート地点とする宗谷丘陵フットパスのロングコースは全長約11km。歩くと4時間かかる。宗谷丘陵の自然を楽しむために設定されたコースで、周囲には、約1万年前に氷河期の凍結と融解を繰り返したことでできた周氷河地形が続く。コースの途中に巨大な白い風車群が出現するなど、他で見ることのない壮観な景色を体験できる。
フットパスコースから宗谷丘陵の地形を望む。写真右下は放牧中の宗谷黒牛(写真:大井 智子)
宗谷丘陵に林立する風車群。全57基あり、ブレードの先端までの高さは最大約100m(写真:岡田 智秀)
ただ、コース設定当初は利用者数が延びなかった。JR稚内駅からフットパスのスタート地点まで車で45分ほど。わざわざ足を運びたくなるような強い魅力付けが求められた。
「過去の調査結果から、稚内市を訪れる観光客は20~30代の層が少ないことがわかっていました。若い層を引き付ける、新しい観光スポットの創出が大きな課題でした」と当時の内容について、稚内市建設産業部観光交流課観光戦略グループ主事の田原秀鳳さんは話す。
実は白い道の整備に先行して、フットパスコースに隣接する牧場では粉砕したホタテの貝殻を場内の小径に撒いていた。これが参考になったという。
フットパスコースの北側2kmほどのエリアに、「元祖・白い道」の名残があった(写真:笠間 聡)
もともとフットパスコースに指定された区間の大半はアスファルト舗装されていたが、ゴール地点付近だけは砂利道だった。「砂利道の区間のうち延長1kmほどを対象に、道路の維持補修の予算を使いながら、試験施工的に砕いたホタテの貝殻を撒いたのです」。稚内市建設産業部観光交流課観光戦略グループ主査の中本祐介さんは、当時をこう語る。施工性や見映えなどを確認したうえで本格的な導入に踏み切り、延長約3kmの区間を白い道として整備した。
白い道を施工する前は砂利道だった(写真提供:稚内市)
現在の白い道のスタート地点付近。写真奥側はアスファルト舗装(写真:岡田 智秀)
白い道のゴール地点付近。下り坂が続く(写真:笠間 聡)
ホタテの貝殻は、次のような工程で処理される。
まず宗谷漁業協同組合に所属する組合員が水揚げした殻付きのホタテを加工業者に販売する。貝柱やヒモを取り除いた貝殻は各加工業者が洗浄し、粉砕した上で稚内水産物残滓処理協同組合の堆積場に運び込む。これらはしばらく山積み状態で雨風にさらし風化させて、1年後に汚染などがないかを検査した上で市内の土木業者などに販売する。
白い道のホタテ貝殻。粒形は40mm以内程度で、大きな貝殻もあった(写真:大井 智子)
白い道に撒くための貝殻は稚内市が購入し、敷設する。需要と供給のバランスは稚内市の水産商工課が調整している。稚内市建設産業部水産商工課水産振興グループ主査の大石祥治さんは、「昔はホタテの貝殻はやっかいもの扱いで、漁業関係者は処理に困っていました」と打ち明ける。
現在は、建設資材などとして活用する仕組みが構築されたことで、稚内市内ではホタテの貝殻は廃棄されることなく、すべて再利用されるようになった。ちなみに、粒度調整のない「切り込み砂利」の資材単価は1立方メートル当たり5000~6000円だが、粉砕したホタテ貝殻は50円程度。はるかに安い。
「ホタテの貝殻は海産物としての生臭さがありますが1年間、屋外に置くことで風化して匂いが抜けます。2024年度は、粉砕したホタテ貝殻の9000tすべてが建築資材などに活用されました」(大石さん)。
具体的に、白い道はどのように施工するのだろう。「ホタテの貝殻を想定した道路の仕様書は存在しないので、稚内市の砂利道の基準を参考にしています」。こう話すのは、稚内市建設産業部土木課事業推進グループ主任の福井達郎さんだ。粒形は40mm以内程度を目標とし、これを10cmほどの厚みで敷いてある。
2011年に施工した後、2015年に敷き均し作業を実施し、その後も2年に1度、貝殻の補充と敷き均し作業を続けているという。
稚内市建設産業部のみなさんに、白い道について教えてもらった(写真:岡田 智秀)
敷き均し作業では、幅員約3~4m、延長約3kmの道に、4~5cmほどの厚みでホタテの貝殻を補充する。2024年は約400㎥を補充し、材料費と施工費で660万円ほどのコストを掛けた。仮に砂利敷きで計算すると資材費は200万円ほど。砕いたホタテの貝殻の資材費は2万円なので大幅なコスト削減だ。
冬期は積雪のため、白い道は11月頃から5月上旬まで通行止め。敷き均し作業は、雪解けを待って4月末以降に実施する。
2024年4月の除雪作業の様子(写真提供:稚内市)
「新たにホタテの貝殻を補充したうえで、重機を使いながら地面を平らに均していきます。バンバン叩くと貝殻が砕けてしまうので、職人たちが技を駆使して力を加減しながら転圧していきます」(福井さん)。
2024年4月にホタテの貝殻を搬入した。雪解け水で濡れているため茶色く見えるが、乾くと純白になる(写真提供:稚内市)
重機で地面を平らに均していく。道路の右側は残雪(写真提供:稚内市)
ホタテの貝殻は白い道のほかにも、広く民間の間で活用されているという。貝殻の成分や地表を覆うことで、雑草の発生を抑制する効果もあるそうだ。「よく使われるのは、農地の土壌改良やぬかるみ対策です。見映えのために撒くのではなく、農地で使うことで土の質が良くなることや、泥の上に砂利の代わりとしてかぶせることで、ぬかるみを抑えてくれる。かつて、実証実験的に白い色が光を反射するため太陽光発電所の敷地に撒いたこともありますし、雑草対策などで庭に撒く人もいます」。大石さんのこの証言を、のちに我々取材チームは稚内市内の各所で目撃することになる。
白い道のスタート地点付近に観光拠点をつくる構想も整備当初、白い道を訪れる人は少なかったが、テレビ番組で取り上げられるなどして2020年頃から人気が高まった。「今年、インスタグラムの投稿を調べたところ『稚内市』のキーワードでヒットしたのは3.8万件、『白い道』のキーワードは1.3万件の投稿がありました。稚内に関する投稿のうち3分の1が白い道の関連で、関心の高まりを実感しました」(田原さん)。
白い道から白い風車を望む(写真:笠間 聡)
人気の観光スポットとなったことで、新たな課題も生じている。白い道の両側に広がる牧草地は、民間の敷地だ。夏はオーバーツーリズムで車が押し寄せるため、牧草地に立ち入らないよう観光用の動画でマナーを呼び掛けている。また、白い道のスタート地点とゴール地点は看板で示し、一方通行での利用を誘導しているが、ゴール地点側から入る車もあるという。道幅が狭いのですれ違いするのが難しい。
これらの対策として、市はスタート地点やゴール地点を示す看板を目立つものにするなど工夫している。車からの乗り換えを促すため、数年前からJR稚内駅や宗谷岬でのレンタサイクルの貸し出しも始めている。
国道238号のバス停近くに大きな案内看板があった(写真:大井 智子)
「自動車やバイクでの利用が増えるのはありがたいことではありますが、できればフットパスの理念に戻り、徒歩や自転車での利用を増やしたい。ただ、白い道のスタート地点には駐車場やバス停はないし、宗谷岬の展望台などを起点として白い道を歩こうとすると少なくとも11kmの長さになってしまうことが課題です」。中本さんはこう話し、稚内市が2024年3月に取りまとめた「宗谷岬周辺魅力創出基本構想」の概要を説明してくれた。
「白い道のスタート地点近くに駐車場や休憩所、トイレを備えた観光拠点を創出し、白い道沿いに小規模なビュースポットをつくる構想です」。このほか、白い道のスタート地点まで観光客をシャトルバスで送り、そこから歩いてもらうアイデアや、白い道に並行して新たなフットパスを整備して白い道をコンパクトに周遊できるルートをつくることで、周遊性を高める構想もある。最終的には自動車から、徒歩や自転車、シャトルバスなどへの転換を進めることが狙いだ。「具体的な検討はこれから始まるところなので、実現はまだ先になると思います」とのことだ。
ニュージーランドの石灰の道を参考にそもそも白い道のアイデアは、どのように生まれたのか。田原さんに白い道の誕生秘話を知るキーマンを紹介してもらい、さっそく取材に向かった。
杉川さん(中央)と中場さん(左)に白い道が誕生したいきさつを聞いた(写真:岡田 智秀)
「元祖・白い道」は、現在の白い道の2kmほど北側に位置する社団法人宗谷畜産開発公社(現在は解散)の敷地内に、1999年につくられていた。
「当時、宗谷畜産開発公社では、子どもたちを対象に環境学習を実践する『エコビレッジ』を運営していました。場長の氏本長一さんが景観をよくするために、漁業組合が捨てていたホタテの貝殻を粉砕して小径に撒いたのが最初です」。
こう話すのは、宗谷シーニックバイウェイルート運営代表者会議(以下、宗谷シーニックバイウェイ)事務局長の杉川毅さんだ。本業は稚内印刷株式会社の代表取締役会長だが、稚内観光協会常務理事のほか、観光地域づくり法人 きた・北海道DMOの副代表理事も務めている。杉川さんと一緒に取材を受けてくれたのは、宗谷シーニックバイウェイの代表を務める中場直見さん。宗谷バス株式会社代表取締役を務めており、稚内観光協会会長で、観光地域づくり法人 きた・北海道DMOの代表理事でもある。
宗谷畜産開発公社のエコビレッジの小径につくられていた「元祖・白い道」(写真提供:宗谷シーニックバイウェイ)
「もともとは、氏本さんがニュージーランドの牧場にある石灰を撒いた白い道を目にしたことがきっかけです。『白い道、緑の牧場、青い空のコントラストが最高』と感じた氏本さんは、宗谷で道に撒くことのできる白いものが何かないか、探したそうです」(杉川さん)。行き着いたのがホタテの貝殻だった。これを砕いて牧場内の小径に撒き、杉川さんに「見に来てよ」と声を掛けた。
「真っ白な小径を見て、これはいいなあと思いました。ちょうどその頃、フットパスの構想が持ちあがっていました。コースに想定されていたゴール地点付近の下り坂は、海や利尻富士への眺望が開けている。そこに撒いたらいいんじゃないかなと思ったのです」と当時を振り返る。
だが当時、ホタテの貝殻を本格的に建設資材として活用する仕組みは確立されていなかった。廃棄物処理法の壁もあった。「諦めかけていたころ、稚内市役所の職員の方ががんばって仕組みを構築してくれたのです。稚内市が稚内観光協会、稚内商工会議所、宗谷シーニックバイウェイなどの関係機関と連携して、2011年に白い道が完成しました」(杉川さん)。
取材時は自動車やバイクが白い道を訪れていた(写真:大井 智子)
だが、そこからもトントン拍子にはいかなかった。
「当初はほとんど人が来ませんでした」と杉川さんは苦笑する。自身のブログに「白い道」の写真を載せたりすると、少しずつ問い合わせが来るようになり、最初にバイクのライダーたちが訪れるようになった。あるライダーは、「北の最果てに行ったのに、沖縄みたいな景色に出会った」とコメントを添えてユーチューブに写真をアップしてくれた。
その後、バイク専門誌に白い道が掲載され、企業がCMのロケ地に使うなどして、徐々に存在が知られていった。コロナ禍を経て、2021年8月13日の交通量調査では、1日で475台の自動車と、277台の二輪車が白い道を訪れた。今では夏の週末に、写真を撮るため停車する車で渋滞が発生することもあるという。
車を停める時は路肩に寄せる(写真:大井 智子)
ビュースポットの近辺に、牧草地への乗り入れ部分が交差点状に広がっていた。観光客が車の停車帯やすれ違いに利用しているようだった。
撮影時は雨上がりで、水を含んだわだち部分の色が変わっていた(写真:大井 智子)
人気の観光スポットとなったことで、稚内市役所で聞いたように、杉川さんと中場さんもオーバーツーリズムへの危機感を抱いていた。2人とも、「道幅を広げても車の台数が増えるだけ」と考えている。できれば、白い道のスタート地点に駐車場を設けるなどして車の乗り入れを制限したり、交通料を徴収したりする仕組みを導入したいが、そのためにはゲートを設け徴収係員を常駐させるといった体制づくりが必要になるため、一朝一夕にはいかない。
2022年には宗谷シーニックバイウェイが、白い道での電動キックバイクの乗車体験とガイド付きフットパス体験の実証実験を実施した。「徒歩や自転車、キックバイクなどを活用してもらって、白い道の豊かな自然環境を保ち、ダイナミックな風景を眺めながら誰もが楽しめる場所を、将来にわたって維持していきたいのです」(中場さん)。
車を気にしながら徒歩で散策する人もいた(写真:大井 智子)
杉川さんは、宗谷シーニックバイウェイの活動で、スイスのツェルマットの「スイスモビリティ」を視察した時のことを教えてくれた。そこでは、電車やバスなどの公共交通機関とサイクリングやカヌーなどを組み合わせて、大自然を満喫しながら移動を楽しむ仕組みが実践されていた。
帰国後に「宗谷版スイスモビリティ」として企画したのが利尻島でのサイクルツーリズム。バスと自転車を組み合わせた観光だ。これらの経験をベースに、旅行会社と連携しながらバスと自転車を活用して白い道を楽しむための体制づくりに奔走した。
宗谷バスの代表取締役でもある中場さんは、「稚内観光協会と宗谷バスが連携し、2022年からJR稚内駅~稚内空港~宗谷岬をつなぐ『アクティブバス』の運行を始めています」と話す。運行期間は6~9月。日に2往復し、路線バスを補完するように走る。1便目は、バスに自転車を積載できる。2023年の自転車の積載台数は12~3台。今年度からはラッピング仕様での運行も準備しており、バスを利用したサイクルツーリズムの観光需要の掘り起こしに意欲的に挑んでいる。
宗谷バスの中場さんに「アクティブバス」を見せてもらった(写真:笠間 聡)
「アクティブバス」の座席数は16で、バス後方に自転車を12台積載できる(写真:笠間 聡)
「アクティブバス」をラッピングしたサイクルバス(写真提供:稚内観光協会)
自転車貸し出しの利便性も向上している。稚内観光協会のレンタサイクルは、宗谷岬の「BASE SOYA」とJR稚内駅にあり、クロスバイクや電動クロスバイクを貸し出す。例えば、バスで宗谷岬に行って、「BASE SOYA」で自転車を借り、宗谷丘陵の眺めを楽しみながらフットパスコースを走って白い道へとアクセスできる。自転車は宗谷岬と稚内駅のどちらで返却してもよい。
宗谷岬展望台の「BASE SOYA」にレンタサイクルを設置した(写真:大井 智子)
「道路の景観が観光につながる」という杉川さんの考えは、約20年間続けてきた宗谷シーニックバイウェイの活動で培われてきたものだ。
シーニックバイウェイとは、「景観」と「わき道」を合わせた造語。景観や自然などの要素を取り入れたルートを活用し、観光や地域活性化につなげていこうとする米国発祥の取り組みだ。道路そのものが観光資源という考え方で、日本では2005年に国土交通省北海道開発局が主導して「シーニックバイウェイ北海道」がスタート。現在は15の指定ルート、2つの候補ルートがあり、中でも特に景観に優れた区間を「秀逸な道」として指定する取り組みが2021年に始まり、道内全15区間が指定されている。稚内市内は、宗谷シーニックバイウェイの指定ルートであり、「秀峰・利尻山を望む道」と、白い道を含む「大地の息吹を感じる宗谷周氷河の道」の2つの「秀逸な道」の指定区間がある。
秀逸な道「秀峰・利尻山を望む道」(国道238号)。道路の路肩拡幅に併せて、もともと海側にあった電柱を陸側に移動し、海への眺望を確保した(写真:笠間 聡)
宗谷シーニックバイウェイの活動範囲は稚内市のほか、礼文町、利尻町、利尻富士町、浜頓別町と広域にまたがる。これまでの活動によって人とのつながりが生まれ、様々な情報を得ることで、フットパスや白い道づくりの活性化に尽力できたという。
「道路の景観を向上させていく取り組みを通し、『景観が人を呼び』、『景観に価値がある』ことを知りました」。こう話す杉川さんは、宗谷丘陵が北海道遺産に認定される前の2000年頃から、月に1度、壮大な景色を見るために丘陵に通ったという。「フットパスコースを設定して、宗谷丘陵を観光資源として活用しよう」と周囲の観光関係者に熱く語ったところ、周りの反応は「そんなところ、歩く人はいないでしょう」と芳しくなかった。「毎日眺めて見慣れた景色なので、地元の人はなかなかダイヤの原石に気づかないのかもしれないと思いました」。
レンタサイクルの導入も、当初、周囲は乗り気ではなかったが、いまは自転車ブームが到来した。「地域活性化につながる新しいものは何かないかと、いつも貪欲に探しています。これまでやったことのない試みは周囲に敬遠されがちですが、やり続けていけばどこかで花が開くと思っています」(杉川さん)。いま温めている構想は、白い道の夜間利用だ。道の両側に間接照明のフットライトを設置すれば、満点の星と、遠くにまたたく稚内市内の夜景を楽しむ場になるはずと考えている。
日常生活に溶け込む砕いたホタテの貝殻たち関係者への取材を終えた我々は、白い道の夕景を確認するため、本プロジェクトの北海道支局長を務める笠間聡さんの運転するレンタカーで、寄り道をしつつ、再び現地に向かった。海岸沿いを走っていると運転席で、「あっ!」と笠間さんが声を上げた。「白いのがあった」。窓から見ると、海産物を干すと思われる海辺のやぐらの足元に、ホタテの貝殻がキラキラ光っている。さっそく車を停めて、写真に収めた。
海岸沿いにホタテの貝殻が撒かれていた(写真:大井 智子)
しばらく車が進んでいくと、今度はプロジェクト・リーダーの岡田智秀さんが、「あそこにも白いのが!」と叫ぶ。
すごい。
道路から、ホタテの貝殻が積まれている集積所のようなところが見えた。
ホタテ貝殻が積まれていた(写真:大井 智子)
そこから我々の目は、「白いモノ」センサーが起動したように次々とまちなかのホタテ貝殻を発見し、写真に収めていった。なかには「白い!」と誰かが叫んで車を停めてよく見たら、白い小石でがっかりしたこともあった。稚内市役所で大石さんが教えてくれた通り、ホタテの貝殻は日常の便利グッズとして使われており、地域の風景に溶け込んでいるようだ。
こちらは、ぬかるみ対策だろうか(写真:大井 智子)
照り返し効果への期待からか太陽光発電所の敷地に撒かれていた(写真:大井 智子)
交番では看板の下にホタテの貝殻が(写真:大井 智子)
現地に着くと、夕日が落ちる前に最後のミッションを実行した。稚内観光協会は、砕いたホタテの貝殻を詰めた「白い道ボトル」を2023年に商品開発。観光客が貝殻を白い道に撒いたり、記念に持ち帰ったりするために、ボトルを1本500円で販売する。これを岡田さんと笠間さんは2本ずつ、私は1本購入していた。
気に入った景観の場所を見つけて、細かな貝殻をさらさらと撒いた。2024年は49本売れたというので、「今年の販売分のうち、10分の1はすでに貢献したかもしれないね」と喜び合った。
白い道ボトルの貝殻を撒いた。この日の午前中は激しく雨が降り、夕方に晴れた(写真:大井 智子)
白い道ボトルは、現地の様子をプリントしたすてきなデザインだ。半分撒いて、半分は今も自宅の机上にある(写真:大井 智子)
昼過ぎまで激しい雨が降っていたせいか、夕方以降に見かけたのは観光客を乗せたタクシー1台だけ。我々は好きなところで何度も車を停めて撮影し、ゆっくり白い道を散策しながら、日没を待った。
雨上がりで訪れる人は少なかった(写真:大井 智子)
この日の東京は30度超えの真夏日だった。宗谷は風が強く、体感温度は10度を下回っている感じだ。あまりの寒風に涙を流しながら、海へと沈む夕日を眺めていた。
白い道が夕日に光り、海へと太陽が沈んでいった(写真:大井 智子)
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