土木学会誌の「国際センターだより」のページでは、土木学会の国際活動の一端を紹介しています。国際センターが毎月発行している「国際センター通信」と合わせて是非ご一読ください。
■2017年度 土木学会全国大会における国際関連行事の概要紹介
本会の全国大会では、国際センターが企画し、いくつかの国際関連行事を実施している。本年度は九州大学伊都キャンパスにて9月11日、12日に実施した。
恒例の国際ラウンドテーブルミーティングは20年近くの歴史があるが、2006年からは会長の意向に沿ったテーマを設定し、話題提供者として海外の協定学協会や海外分会に参加いただいている。
本年度のテーマは、大会テーマ「土木の将来と国際化」に通底する、大石久和会長提案の「土木へのICT、IoT技術の導入:各国の取組み事例と課題、将来へのメッセージ」であった。海外からの6組織を含む約60名が参加し、意見交換が行われた。
19回目を迎えたインターナショナルサマーシンポジウムは、例年50~60名の発表件数で推移してきたが、本年は72件と過去最多となった。引き続き実施した若手技術者ワークショップには、事前申込み17名、当日参加17名、合計34名が「革新的新工法ワークショップ-開削トンネル工法を例に」をテーマに建設技術のイノベーションについて学んだ。指導いただいた小松崎俊作氏(東京大学)を含む8名のファシリテーター各位のおかげで有意義なワークショップになった。
初日の夜の恒例のネットワーキングレセプションでは、海外ゲスト、ワークショップの参加者をはじめとする留学生、学術交流基金の助成により来日したStudy Tour Grant参加者をゲストに、ホスト側として大石会長、上田多門副会長、須野原豊国際部門主査理事ほかの各位が参加し、和やかな雰囲気のなか歓談を楽しみ、親睦を深めた。
テクニカルツアーでは、貸し切りバスで、2016年熊本地震による甚大な被害を受けた熊本城と阿蘇大橋地区を訪れ、復旧・復興工事を視察した。
多大なご協力をいただいた関係者各位、そして今回のツアーの企画段階から実施に至るまでご支援いただいた九州地方整備局の皆様には深く感謝を申し上げる。
(土木学会誌2018年1月号付録の全国大会報告記事もご覧ください。)
テクニカルツアー参加者(熊本城にて)
■ACECC賞募集期限迫る(締切日:12月27日)
2019年4月に東京にて、土木学会がホスト学会となり、アジア土木学協会連合協議会(ACECC)主催の「第8回アジア土木技術国際会議」(8th CECAR)が開催される。ACECCでは、当会議において、土木技術の進歩とアジアの発展に顕著な貢献のあったプロジェクト、国際的な土木技術の進歩またはアジアの社会資本の発展に顕著な貢献のあった個人を対象に表彰を行っている。日本から推薦を行うにあたり、対象となるプロジェクトおよび個人の募集を行っているので、申請書※をダウンロードして、ご応募・ご推薦いただきたい。
■「世界で活躍する日本の土木技術者シリーズ」第10回シンポジウム開催報告(国際センター主催)
2014年4月に始まった「世界で活躍する日本の土木技術者シリーズ」のシンポジウムが10回目を迎えた。今回は、「ベトナム最長の海上橋建設 ラックフェン国際港アクセス道路・橋梁建設プロジェクト」と題して、2017年8月3日、土木会館講堂において開催された。
ベトナム北部ハイフォン市で建設が進められている大水深ラックフェン国際港の総延長15.6kmのアクセス道路・橋梁建設プロジェクト(円借款事業)がテーマである。今回のシンポジウムの後援団体である国際協力機構(JICA)の竹内和夫氏からは同国の経済状況、日本のベトナムへの援助状況、特に都市交通インフラ整備などへの支援の状況などについて講演があり、三井住友建設(株)および同社ラックフェン作業所の関係者からは、国際建設市場の動向や同社の国際市場・ベトナム市場における取組み、同プロジェクトの概要、現場で使用された適用技術や工程短縮に取り組んだ工夫の数々、海外生活の苦労話、これから海外勤務を希望する方へのメッセージなど多面的に紹介していただいた。このシンポジウムは毎回非会員の方の参加が多く、今回も100人を超える参加者の約6割を占めた(第10回シンポジウム開催報告の詳細は、HPの「イベント情報&開催報告」をご覧ください)。
10回目を迎えたシンポジウム
■CECAR8(第8回アジア土木技術国際会議)Call for Abstract始まる
土木学会に置かれているCECAR8組織委員会(委員長:茅野正恭氏(鹿島建設(株))では、2019年4月に東京で開催されるCECAR8に向け、企画(部会長:木村亮氏(京都大学))、総務・財務(同:花岡憲男氏(八千代エンジニヤリング(株))、学術(同、佐藤愼司氏(東京大学))、行事(同:大西博文氏((株)片平新日本技研))の各部会において具体化に向けた検討および準備を進めている。
6月30日に締め切られた「セッション募集」(学術部会担当)には、土木学会の調査研究委員会やACECCの技術委員会(TC)から42もの応募があった。採択されたテーマセッションおよび7つの一般セッションを対象に、この8月1日からCECAR8の特設サイト(http://www.cecar8.jp/)で「アブストラクト募集」が始まった。一般公募により登壇者を決めて実施するセッションや既に登壇者を内定しているセッションのいずれも、各登壇者はアブストラクト登録を2018年2月28日までに行う必要があり、ご留意いただきたい。
なお、9月28日には拡大学術部会を開催し、テーマセッションのコンビナーの方々にも出席いただき、セッション提案の内容やセッション運営の進め方について確認が行われた。
CECAR8ウェブサイト
■コンクリート委員会がモンゴルコンクリート工学会(MCA)とウランバトル市にてセミナーを開催
コンクリート委員会は2017年6月9日に、モンゴル・ウランバトル市において、「土木学会コンクリート標準示方書と日本におけるインフラメンテナンスから学ぶ品質管理」と題して、MCAとジョイントセミナーを開催した。このセミナーは、英文版「コンクリート標準示方書」(2007年版)の紹介と、日本のコンクリート構造物の維持管理の現状と課題について、モンゴルの技術者・研究者に伝えることを目的としている。
土木学会からは、同委員会国際関連小委員会の大島義信幹事長((国研)土木研究所)と、Michael Henry委員(北海道大学)の2名が講演者として参加した。大島氏からは、コンクリート標準示方書の概要と同示方書が日本における道路橋の長期性能の確保に果たしている役割などについて、また、Henry氏からは、同示方書維持管理編の概要やアジア諸国におけるコンクリート構造物の維持管理に対する日本の取り組みについて、講演があり、モンゴル語に同時通訳された。モンゴル側からは産学を中心に10名の講演があり、参加者は約100名であった。
セミナーのプログラムは、コンクリート委員会が発行するNewsletter最新版(No.50)をご覧いただきたい。
なお、このセミナーは、MCAのAnnual International Conference 2017の一コマとして、公益信託土木学会学術交流基金の助成を受けて実施された。
日本側講演者とMCA担当者
■インドネシア国バスキ大臣への国際貢献賞授賞式・お祝いの会を開催
国際センターと国土交通省は、(独)水資源機構および(独)国際協力機構の協力を得て、2016年度土木学会国際貢献賞の外国人受賞者であるインドネシア公共事業国民住宅省 ムハマッド・バスキ・ハディムリオノ大臣への同賞の授賞式を2017年7月14日、フクラシア東京ステーション(東京都千代田区)で開催した。
国内外から多数の方々が参加した授賞式では、国際貢献賞選考委員会の藤野陽三委員長(横浜国立大学)から開会挨拶と、インドネシアとアジア地域における土木技術、インフラの発展に貢献されているバスキ大臣の紹介があり、上田多門副会長・国際センター長(北海道大学)から賞牌と表彰状がバスキ大臣に手渡された。同席されたインドネシア工学会アフマッド・ヘルマント・ダルダク会長から祝辞があり、バスキ大臣からはご自身が取り組まれた同国のインフラ整備事業に関する講演に加えて、ご本人の人柄を彷彿とさせるウィットに富んだお話しをいただいた。授賞式に引き続き、お祝いの会を同所にて開催した。
当日は土木会館の停電により急遽会場を変更し、参加者、関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。
バスキ大臣と上田副会長
■公益信託土木学会学術交流基金 - 会員への一般公募による国際ジョイントセミナー等への助成報告
公益信託土木学会学術交流基金は、土木学会創立75周年の記念事業の一環として、寄せられた募金を出捐し、土木学会を委託者、三菱UFJ信託銀行を受託者として設立された。
従来からの土木学会内の調査研究委員会や国際センター国際交流グループへの助成に加えて、2016年度からは会員への一般公募を行い、会員が関わるジョイントセミナーや国際シンポジウム等も助成対象とした。この一般公募の助成対象は、①創設記念あるいは5年以上の周年記念イベント的な企画、特別企画的なもの、②第8回CECAR(2019年4月、東京で開催)への支援を柱として、2017年度から3か年のプログラム的な取組みで、3年目にCECAR8においてセッションを行う案件(日本人がコンビナーであることが必須)、③アイデア募集を含めて、日本人の国際化に資するイベントとしている。
初年度となる2016年度は、竹村公太郎氏(日本水フォーラム)から応募のあった「国連【世界水の日】・水未来会議2017~JWF水未来ジャーナル創刊記念」のジャーナル発行費用と、石渡幹夫氏(国際協力機構)から応募のあった「世界津波の日記念国際シンポジウム~ジェンダー・多様性の視点からの復興をめざして~」の2件に助成した。
「国連【世界水の日】記念・水未来会議2017」は日本水フォーラムが主催し、2017年2月22日に衆議院第一議員会館で開催された。本基金による助成により、その内容を収録した「水未来ジャーナル創刊号」が3月末に発行された。
「世界津波の日記念国際シンポジウム~ジェンダー・多様性の視点からの復興をめざして-」と題するシンポジウムは、世界津波の日制定記念国際シンポジウム運営委員会(委員長:堂本暁子氏)が主催し、2016年10月27日に世界銀行東京事務所で開催された。本基金による助成は全体事業費の半分程度ではあったが、シンポジウムの開催だけでなく、実行委員会の運営、被災地での事前視察などにも活用された。シンポジウムでは土木学会の岡安章夫副会長(東京海洋大学)が挨拶し、本基金の知名度を高める機会ともなった。
2017年度については2件の助成先が決定し実施中である。2018年度の一般公募は今年度と同様に、11月1日から開始する予定である。学術交流基金管理委員会のサイト(http://committees.jsce.or.jp/iefund/)での案内をご覧いただきたい。
世界津波の日記念国際シンポジウムの報告書
■全国大会国際円卓会議案内(国際センター主催)
恒例のラウンドテーブルミーティングを2017年9月11日(月)午後2時から九州大学伊都キャンパス稲盛財団記念館にて「建設現場へのICT、IoT技術の導入:各国の取組み事例と課題、将来へのメッセージ」をテーマに開催します。日英同時通訳も導入する予定です。ふるってご参加いただきたい。
■平成28年度ジョイントセミナー報告(インドネシア)「ODA社会資本整備事業事後評価における利用者視点導入」
建設マネジメント委員会とインドネシア分会は、インドネシア土木・建築エンジニア協会(HAKI)とバンドン工科大学(ITB)との共催で、2017年3月30日にITBにおいて標記ジョイントセミナー(学術交流基金助成)を開催した。
日本側からは、横倉順治教授(東京工業大学)による基調講演、山岡暁准教授(宇都宮大学)、五艘隆志准教授(高知工科大学)、鹿野島秀行氏(国土技術政策総合研究所)、渡邊法美教授(高知工科大学)による講演があり、インドネシア側からは、HAKIの理事であるDr. Muslinang Moestopoの基調講演のほか、4名から被援助側としての経験を踏まえた講演があった(所属は、セミナー開催日の情報)。
今回セミナーを開催したITBのキャンパス整備では、1990年から日本のODA事業が実施されている。このため、今回のテーマは、インドネシア側にとっても関心が高く、70名を超える参加者から熱のこもった発表・意見交換が行われた。今後は、このセミナーで示された論点を関係者間で共有・検討し、その結果をインドネシア側に投げかけ、具体策を検討することにしている。
ITBの学生によるアンクルンの演奏
再会を期して
■「世界で活躍する日本の土木技術者シリーズ」第9回シンポジウム開催報告(国際センター主催)
好評のシンポジウムが、「水害から市民を守る「フィリピン国オルモック市洪水対策プロジェクト」」と題して、2017年5月16日、土木会館講堂において開催された。
開会挨拶の後、ACECCのTC21(防災TC)の共同議長である、公共事業道路省事務次官のRomeo S. Momo氏、および同省レイテ第4事務所のIrwin L. Antonio氏のビデオメッセージが放映された。次に(株)建設技研インターナショナルの賀来衆治氏から、23年間、同プロジェクトに関わった経験を踏まえ、対策の基本的考え方や維持管理の重要性等について講演があり、同社の藤田大介氏からは、若手ならではの視点から海外事業の魅力にも言及した講演があった。(独)国際協力機構の菊入香以氏からは成功要因や教訓の紹介があり、TC21の共同議長である竹内邦良氏(山梨大学名誉教授)からは、TC21の目標、オルモックの成果と科学的意思決定過程との関係性などの説明があった。最後に、田代民治会長から挨拶があり、閉会した。
Momo事務次官のビデオメッセージに聞き入る聴衆
■国際センター通信と土木学会誌とのコラボレーション記事
国際センターでは、日本に留学中の方々に、日本での経験や、留学先として日本を選んだ理由、日本の土木工学への思いなどを寄稿していただき、「国際センター通信」で紹介してきた。※
今般、土木学会誌編集委員会と連携して、同誌の「土木のアラムナイ-日本ゆかりの方々とつながるページ-」に掲載される記事にオリジナルの英語版がある場合には、「国際センター通信」英語版で紹介することになった。既に先月号(第56号)では、第一弾として、東京大学への留学経験のある、タイ国タマサート大学のソムヌック・タングテルムシリクル教授の日本での経験を礎としたタイでの研究活動に関する記事を掲載した。執筆者本人の英語に触れていただける格好の機会であり、ぜひご一読いただきたい。
国際センター通信では、今後、1年間で5本程度を紹介する予定である。なお、同通信の日本版でも土木学会誌と同じ内容の記事を掲載することにしている。
※第45号「日本-比類なき経験~留学生体験記~」Abdul Moiz (東京大学大学院)
第34号「日本での更なる研究を志して~留学生体験記~」Parmeshwar UDMALE(山梨大学)
第33号「私の研究活動と日本の土木工学への思い」Justin Shrestha(北海道大学大学院)
第30号「私が日本と土木工学を選んだ理由とは!?」Cheng LI(早稲田大学大学院)
国際センター通信第56号
■IAC Students and Alumni Networkの紹介
国際センターでは、留学生グループを中心に、国内で学ぶ留学生と卒業生への情報提供とネットワーク化に取り組んでいる。主な活動は、留学生向け企業説明会や現場見学会の開催、土木学会全国大会でのサマーシンポジウムや若手技術者ワークショップの開催、留学生・卒業生への情報発信である。
特に情報発信については、土木学会の英語版ホームページにある「Students and Alumni」のサイト(http://www.jsce-int.org/IAC_network)にメールアドレス等を登録した方々に「国際センター通信」を定期的に配信している。2012年4月の国際センター発足以降、図に示すように、45か国、200名近い方が登録している。また、「Students and Alumni」のサイトでは、「Student Voice」(留学生の声)をいくつか紹介している。国際センター通信や土木学会誌の記事とあわせてご一読いただきたい。
※ 留学生グループの活動全般については、土木学会誌2016年7月号の「国際センターだより」でも紹介しているので、ご参照いただきたい。
登録者の国名と人数(2017年4月末日時点)
■平成28年度ジョイントセミナー報告(インドネシア)「土木学会コンクリート標準示方書の展開セミナー」
土木学会コンクリート委員会、土木学会インドネシア分会およびハサヌディン大学(インドネシア・マカッサル市)の共催で、2017年3月17日にハサヌディン大学ゴワキャンパスにて「Joint Seminar on Maintenance of Concrete Structures based on Standard Specification for Concrete structures of JSCE」を開催し、大学教員、学生、民間の技術者など105名の参加があった。
下村匠教授(長岡技術科学大学)と小林孝一教授(岐阜大学)より示方書概要について、諸田元孝氏(三井住友建設)よりジャカルタで進行しているプロジェクトの品質管理について、Mr. Qodri Sihotang(Tyfo Fibrewrap Indonesia)よりインドネシアにおける繊維補強高強度コンクリートの適用事例について講演があった。
今回、セミナーを開催したマカッサル市はスラウェシ島における中心かつ最大の都市であり、人口が約134万人でインドネシア7番目の都市である。今後、さらに都市化が進展することは明らかであり、コンクリート構造物の建設需要は極めて大きい。一方で、過去に建設された構造物の維持管理も重要となってきている。こうした状況の中、現地の大学関係者および産業界のエンジニアに示方書について情報提供すると同時に積極的な意見交換を行うことができたことの意義は極めて大きい。
なお、本セミナーは公益信託土木学会学術交流基金の助成を得て実施した。
講演会場の様子
日本人参加者およびリタ先生(ハサヌディン大学)
■国際センター通信 特集号(No.11)「土木学会 英国分会 特集」の発行
土木学会では、国内の八つの支部のほか、九つの海外分会からなる海外支部を設けている。英国分会は、3番目の分会として2001 年10 月に設立された。英国分会では、英国における会員間や部外団体などとの交流を通じて技術力の修得や、日英の土木界におけるより活発で有効な情報交換の推進を図ることを目指して活動を進めてきている。また、恒例行事として、年に1回総会および交流会を開催し、意見交換を図るとともに、会員相互の親睦を深めている。今回、英国分会から寄せられた、 日本のゼネコンから出向して現地の建設コンサルトに勤務されている方の英国での経験、英国で日本の技術を武器に長年活躍している本邦企業の実績などに関する記事を取りまとめ、「国際センター通信」特集号として発行した(http://committees.jsce.or.jp/kokusai/iac_news_j)。特に日本でインフラ輸出や国際化業務を担当している方々に、ぜひご一読いただきたい。
国際センター通信 特集11号
■アジア土木学協会連合協議会(ACECC)の新体制紹介
ACECCでは、3年ごとにアジア土木技術国際会議(CECAR)を開催しており、CECARを機に、ACECC会長は次のCECARのホスト国のメンバーに交代する。また、同時に、CECAR組織委員会や各委員会の委員長などACECCの執行部が交代する。次回の第8回CECARは2019年4月に東京で開催されることから、昨年(2016年)9月2日の第7回CECARの閉会式では、ASCE(米国土木学会)会長から土木学会の田代民治会長にACECC旗が手渡され、引き継ぎが行われた。
ACECC会長に日下部治氏(国際圧入学会)、CECAR8組織委員会委員長に茅野正恭氏(鹿島建設)、企画委員会委員長に岡村未対氏(愛媛大学)、技術調整委員会委員長に中野雅章氏(日本工営)、財務委員会委員長にオーストラリア工学会(Engineers Australia)のJeffry R. Howard氏が就任し、新たなACECC体制が発足した。また、ACECC事務総長として堀越研一氏(大成建設)が引き続き務められる。
ACECCの構成
ACECCの新体制
■ACECC TC-16(ITS-TC)活動-「ITS導入ガイド」の公開
「アジア太平洋地域におけるITS(高度道路交通システム)を用いた都市交通問題の解決」をテーマとする技術委員会TC-16では、これまでの活動成果として、「ITS導入ガイド」ドラフト版を整理し、土木学会英語版ホームページ(http://www.jsce-int.org/)のPublicationのプルダウンメニューからダウンロード可能)およびACECCのホームページ上で公開した。同TCでは、今後も国内外のITSに関する新たな事例を調査し、ITS導入ガイドを改訂していくことで、各国の都市交通問題の解決に向けた活動を続けていくことにしている。
■アジア土木学協会連合協議会(ACECC)堀越事務総長に聞く
ACECC事務総長 堀越 研一氏(大成建設)
2017年2月1日に発行された「国際センター通信」第52号では、2年後に土木学会がホストとなり、東京で開催される第8回アジア土木技術国際会議(CECAR8)を控え、アジア土木学協会連合協議会(ACECC、会長:日下部治氏(国際圧入学会))において日本のさらなる活動と貢献が期待されていることから、ACECC事務総長の堀越研一氏(大成建設)にインタビュー形式でお話を伺った。
まずACECCにおいて特に力を入れている活動については、①技術委員会(TC)、②ACECC加盟国による産官学の技術者交流の場としてのCECAR、③ACECC賞(プロジェクト賞、功績賞)の授与、④若手の育成と若手技術者間の交流(Future Leader Forumの立ち上げ)などの紹介があった。
また、日本が活動をリードしていくにあたって、特に、防災、環境、交通、都市といったテーマは、日本が長い間取り組んできた分野であり、産官学にトップクラスのエンジニアが揃っており、日本の豊富な知見と経験を世界に発信し、世界に貢献できる分野と考えていること、経済レベル、インフラ整備状況が様々で、アジア特有ともいえる多様性にいかに対処するかといったACECC発足時からの課題を踏まえ、経済レベルに配慮した年会費を設定することや、ACECCが主催する理事会や国際会議も過剰な負担とならないよう心掛けている、とのことである。
CECARは、土木分野ではアジア域内で最大規模の会議であり、3年に一度開催される。日本での開催は、2001年に東京で開催して以来、18年ぶり2回目となる。2020年東京オリンピックの前年であり、オリンピック関連施設や周辺のインフラ施設の建設や準備状況を紹介でき、8年が経過する東日本大震災からの復興状況を世界にアピールできる良い機会であること、さらには、2019年はACECC設立20周年にあたり、ACECCとしても今後を左右する大きな節目の年とのことである。
CECARが他の国際会議と異なる点は、アジアのインフラ整備に関わる産官学のリーダーが一同に会し、アジアのインフラの将来を議論することにある。CECARでは、分野横断的に、かつ、産官学の枠を超えた職域横断的に最新の技術や知見、経験を議論することにしている。また、CECARはACECC加盟国(現在は13か国)の学会長が一同に介する機会であり、CECARを通して学会長全体で合意したメッセージを世界に発信する。これらを通して、ACECCそのものの魅力と参加意義を高め、ACECC加盟国を増やしていきたいとの思いを語られた。
(詳しくは、日本語版HPおよび英語版HPに掲載されている国際センター通信第52号をお読みください。)。
■世界で活躍する日本の土木技術者シリーズ「アルジェリア・東西高速道路建設プロジェクト」シンポジウムを開催
2016年11月30日、鹿島建設KIビル地下大会議室にて、このシリーズの8回目となるシンポジウムが約300人を集めて開催された。田代民治会長の挨拶、藤原聖也・駐アルジェリア特命全権大使のビデオメッセージの後、JV構成会社の鹿島建設と大成建設の技術者・契約担当者からプロジェクトの内容と経緯について説明があった。関心の高い、完工に至らなかった大型プロジェクトに携わった発表者からは苦労や思い出が存分に語られ、密度の濃いシンポジウムとなった。
藤原大使のビデオメッセージを聞く参加者
■留学生向け企業説明会を開催
2016年12月17日に、土木会館講堂にて第4回目となる留学生向け企業説明会が開催された。7社が参加し、留学生32名に企業活動の紹介や就職に関する情報提供を行った。各社の説明に先立ち、国土交通省の藤井和久海外プロジェクト推進官による講演、(株)大林組に勤務する元留学生の金淨昊氏の体験談のほか、事務局からJASSO((独)日本学生支援機構)の「就活」について紹介があった。
個別ブースでの企業説明風景
■CECAR8組織委員会が発足
ACECC(会長:日下部治氏(国際圧入学会))が主催し、2019年4月に土木学会がホストとなり、東京で開催される「第8回アジア土木技術国際会議」の実施に向け、組織委員会(委員長:茅野正恭氏(鹿島建設(株))の設置が2016年9月の本会理事会で決定し、傘下の企画部会(組織委員会幹事会)、総務・財務部会、学術部会、行事部会の活動がスタートした。
■ECCE(ヨーロッパ土木技術者評議会)のNewsletterに投稿
土木学会が1999年1月に協力協定を締結したヨーロッパの土木学協会の連合体であるECCEが発行するNewsletterに「Our activities and challenges for the future」と題する本会の活動に関する記事を投稿し掲載された(http://www.ecceengineers.eu/newsletter/Files/ECCE-E-journal12.pdf)。
■大韓土木学会年次大会に参加
2016年10月19日~21日に韓国・済州島にて大韓土木学会(KSCE)の年次大会が開催された。土木学会からの派遣団として、田代民治土木学会会長、塚田幸広土木学会専務理事らが参加した。
年次大会開幕の様子
■橋梁とトンネルの土木工学に関する中国土木工程学会-土木学会ジョイントシンポジウムを開催
2016年10月21日から24日までの3日間、第1回橋梁とトンネルに関するジョイントシンポジウムが中国土木工程学会(CCES)との共催により開催された。
日本そして中国からトンネル、橋梁の専門家約50名が土木会館に集結した。テーマは、橋梁・トンネル工学における「持続可能な開発」である。特に注目を集めたのが橋梁・トンネル工学分野における知的情報技術の活用に関する話題であった。シンポジウムは盛況裏に開催され、国際的にインフラの持続可能開発についての関心が高まっていることが窺い知れた。
シンポジウム参加者
■フィリピン土木学会全国大会に参加
2016年11月18日~19日に、フィリピンのダバオ市にてフィリピン土木学会(PICE)の第42回全国大会が開催された。大会2日目には、PICEとJSCEの共催によりACECC TC21(防災)のシンポジウムが行われた。土木学会からは、竹内邦良氏(水災害・リスクマネジメント国際センター)、山川朝生国際センター長代行をはじめとする派遣団が参加した。
TC21(防災)シンポジウムの様子
■中国土木水利工程学会年次大会に参加
2016年11月18日~19日に、台湾の台中市にて中国土木水利工程学会(CICHE)の年次大会が開催された。土木学会からは、石塚一郎氏(鹿島建設)が講演者として参加し、国際フォーラムにて台湾高雄地下鉄の事例発表を行った。
国際フォーラムの参加者
■モンゴル土木学会で講演
2016年10月14日に、モンゴル土木学会(MACE)の要請により、モンゴル・ウランバートル市を国際交流グループ(モンゴルグループ)の山口栄輝氏(九州工業大学)と中村豊氏(清水建設(株)技術研究所)の両名が訪問し、モンゴル建設・都市開発省建設開発センターにおいて、中村氏が「日本の建築構造耐震設計-現在とこれから-」と題する講演を行った。
建設会社、政府関連省庁、大学、土木技術コンサルなどから100名を超える参加者を得て、地震ハザード、国土強靭化と事業継続計画、耐震設計における設計用層せん断力、耐震診断と耐震改修技術、免震・制振構法、振動台実験施設について、ビデオや振動模型などを用いながら、説明を行った。
振動模型を使って共振の説明
■海外プロジェクトアーカイブスを公開
土木学会創立100周年の折に、土木分野の優れたODA事業について記録を整理し、土木学会として保存することを目的に、海外のインフラプロジェクト5件について、アーカイブスWGが関係者の方々にヒアリング等を行い、「TRANSFER OF CIVIL ENGINEERING TECHNOLOGY IN SERVICE」と題する冊子に取りまとめた。その後、冊子の有効利用を図るべくアーカイブのWEB化の準備を進め、関係者の了解を得て公開した。ぜひ土木学会の英語版HPの「Publication」のプルダウンメニューから「Project Archives」をクリックしてご覧いただきたい。
プロジェクトアーカイブス(英語版HP)
■第3回インフラ産業グローバルビジョン講演会を開催
建設マネジメント委員会との共催により、10月3日に東京大学武田先端知ビル武田ホールにて200名を超える聴衆を集めて開催された。2015年2月に第1回を開催し、3回目となる今回は、我が国では事例が少ないコンセッション事業をテーマに、土木技術者の役割や事業形成、リスク対応などの観点から講演があり、当該事業参加のために日本の建設産業が何をすべきかについて議論した。
シンポジウムの様子
国際センターだよりバックナンバー