土木学会は2011年3月に「土木学会国際戦略-『産官学の連携強化』と『選択と集中』による国際活動を-」を策定、理事会で承認された。その中で掲げられている項目の1つに、「産官学各界の参集できる国際センターとして各界の共通課題解決の場を提供」がある。これを具体化するため、2011年6月に発足した土木国際化戦略会議(議長:森地茂・政策研究大学院大学教授)において国際センターの設置について検討を進めてきた。その構想案が2012年1月の理事会で審議、設置が承認され、今後発足に向けた活動を行うこととなった。
国際センター設置の趣旨
我が国土木界の国際展開については、一般に理解も不十分であり、激化する国際競争の中で、十分な成果を上げているとは言えない。このため、山積する課題を一つずつ解きほぐし、対策を講じていく必要があり、関係者の強い連携が望まれる。そのような状況にあって土木学会は、産官学の連携組織であり、かつ会員に多くの海外専門家や従事者を擁しており、今後の建設界の海外展開振興の中核として国際整合性の改善、国際競争力の強化、国際貢献の推進等に関して関係機関と連携して活動することが期待される。
土木学会の国際活動は、個々の委員会や会員による学術交流を主体とする活動のほか、アジア土木学協会連合協議会(ACECC)や海外の協力協定(AOC)締結学協会、海外分会を通じた活動など幅広く行われている。しかしその活動は個々に独立しており、学会としての組織的な活動として情報集約などが不十分である。1998年に土木学会誌において国際戦略に関するシリーズが掲載され、今後の改善策が提起されたが、今日においてもその多くが残されたままとなっている。このため、2011年6月に、土木学会国際化戦略会議(議長 森地茂政策研究大学院大学教授)を設置して、土木学会が果たすべき役割について、改めて議論し具体策を検討しているところである。
このような情勢の中で、多くの施策を実行していくにあたり、その執行体制の構築が必要である。学会の事務局(国際室)は、これまでも国際委員会をサポートするほか、各委員会等の国際活動を支援するなど積極的に活動してきたが、現行体制では限界があり、関係者の理解と支援のもとで国際室を改組強化のうえ、学会内の国際活動を幅広く統括サポートするために“国際センター(仮称)”として、改めて発足させることとしたい。