1.平成27年度卒業生
京都市立伏見工業高等学校システム工学科 都市情報システムコース3年 日下部 有哉さん
土木を学んで感じたこと
私が土木に興味を持ったのは、兄が土木の勉強をしていたからです。当時、6歳も年の離れていた兄が勉強している土木という学問は未知の世界で、どういった分野のものなのかもわかりませんでした。しかし、兄から聞く土木の話は、自分たちが住んでいるまちの道路や橋などを作っていく分野だ、ということでした。いまの自分の住んでいるまちを土木が支えていて、作っていくというスケールの大きなものにとても憧れを持ちました。そして、自分も土木について学んでみたいと思うようになりました。当時、ラグビーをしていたということもあり、土木を学べる学校であり、なおかつラグビー部が全国的な強豪校の伏見工業高等学校に入学することを決めました。
高校に入学してからはラグビーに熱中していました。学校で授業を受けているとき以外はラグビーに集中していたし、学びたいと思っていた土木とも疎遠になった時期もありました。しかし、そんな私が土木についてもう一度興味を持つことができたのは、2年生の時に行ったインターンシップでした。京都府宇治市役所にインターンシップにいかせて頂き、実際土木の仕事をしている方たちを間近で見ることで、当時抱いていた土木という分野への憧れが蘇ってきました。それからはラグビーに集中しながらも土木の勉強にも力を入れていくようになりました。
ラグビーだけでなく土木の学習をしていく上で、共通点があることに気付きました。それはどちらもチームプレーであるということです。ラグビーには各ポジションで役割や仕事が違い、そのポジションにはそのポジションのスペシャリストが選ばれます。スクラムのスペシャリスト、タックルのスペシャリスト、キックのスペシャリスト、ゲームメイクのスペシャリスト。そして、チーム全員で勝ちを目指していきます。そこには、仲間との信頼関係や協調性がとても大切になります。これは、土木の世界でも同じことです。設計のスペシャリスト、測量のスペシャリスト、施工のスペシャリストなどが連携し協力しながら、ひとつの土木構造物を作り上げていきます。このとき、誰が欠けていても決して成功することはできません。そう考えると、自分が高校生活でほとんどの時間を費やしてきたラグビーが、土木の道に進むことで、この先活かされてくるのではないかと考えられるようになりました。3年生になり、土木科の先生に「公務員で土木の技術者として働くのはどうだ」と声をかけられていたこともあり、卒業後は自分が住んでいる京都市の土木職員として働くことを目指すようになりました。それからは今まで以上に真剣に土木の勉強に取り組み、京都市の採用試験を受験し、無事合格することができました。そして春からは、京都市役所で土木職員として働きます。
京都市のまちは日本の財産だと思います。古きよきものを維持し、新しいものを発展させていくことが京都市の土木職員の重要な仕事だと考えております。現在、京都の玄関口である京都駅の改修工事や歩くまち京都として四条通の歩道拡張など取り組みを行っています。京都市がこの先、どれだけすばらしい都市として発展していくかは、現在の土木職員や私のように新しい土木職員として働く人たちの使命だと思っています。そのような中で、私は高校生活で学んだ土木に関する技術と知識、そしてラグビーで学んだ協調性やコミュニケーションの重要性、そしてスペシャリストとしての自覚と覚悟を持ちこの先の人生に徹していきたいと思います。これから、土木に対して真摯に向き合い、努力し、学び、自分の持っている力を精一杯尽くしてがんばっていきたいと思います。