1.委員長挨拶
ご 挨 拶
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土木学会教育企画・人材育成委員会
高校教育小委員会
前委員長 市村 恵幸
(前茨城県立勝田工業高等学校長)
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会員の皆様には、日頃より高校教育小委員会の活動にご支援、ご協力をいただきありがとうございます。
土木工学は、人と環境と社会を調和させながら持続可能な社会を実現することを目的とし、特に、高度経済成長期には社会基盤整備の推進のための技術が要求されてきました。しかし、東日本大震災以降の自然災害に対しての国土や社会構造の脆弱性が表面化し、さらには社会インフラの老朽化も深刻になってきました。防災・減災、社会インフラの再整備・維持管理や再生可能なエネルギーの創出など、持続可能な社会実現のために必要な人材(技術者)・環境・社会基盤のあり方を検討することが喫緊の課題となっています。そのような現状の中で、土木分野での人材育成が再び注目され始めています。人材は国の根幹とも言われています。土木技術者としての人材育成が、高校土木教育の使命でもあり責務であると考えています。
高校教育小委員会として、土木学会教育企画・人材育成委員会への提言・ 報告・協議や夏期講習会の企画運営・小委員会での協議等を中心に活動しています。また、全国の高等学校土木系教育に関係する教職員で組織されている全国高等学校土木教育研究会の活動の支援も行っています。今年度の取組としては、8月20・21日に開催されました全国高等学校土木教育研究会全国大会の協賛をし、大会記念誌「DOBOKUの高校来て見てガイド」を全土研との共編という形で発行することができました。加盟校162校から寄稿いただき、各校の取組などについて紹介しています。編集・発行に際しましては、全国の先生方に大変お世話になりました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。
高校教育小委員会の活動やHP等からの情報発信を通して、今後の土木教育や土木の将来について考え、土木系学科で学ぶ全国の高校生が土木技術技能者として活躍できることを期待しています。本小委員会の趣旨をご理解いただき、将来にわたって若年土木技術技能者の育成に産・学・官・民の連携協働を組織的・計画的・継続的に図るためにも関係諸団体の皆様のご指導とご支援をお願い申し上げ、挨拶といたします。
2.全国高等学校土木教育研究会 会員校概要(PDFにてご参照ください)
3.東日本高等学校土木教育研究会 報告
教育研究会名
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東日本高等学校土木教育研究会
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H28会長校名・会長名
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栃木県立那須清峰高等学校 校長 都野 成一
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H28事務局校名・担当者名
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未決定
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電話
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平成27年度事業報告書 会員校数(95校)
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平成28年度事業計画書 会員校数(95校)
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1 総会・研究協議会等の開催
1)総会の開催
7月30日 於:福島県会津若松市
会津若松ワシントンホテル
2)研究発表・研究協議会の開催
7月31日 於:福島県会津若松市
会津若松ワシントンホテル
・研究発表
長野県丸子修学館高等学校 鈴木 文明
北海道帯広工業高等学校 齊藤 裕樹
・研究協議
全体テーマ「高校土木教育の改善と充実」
岐阜県立可児工業高等学校 西村 賢
東京都立田無工業高等学校 東 君康
3)常任理事会並びに研究協議会の開催
5月 1日 於:全国工業高等学校長協会
7月30日 於:福島県「会津若松ワシントンホテル」
11月20日 於:全国工業高等学校長協会
2 見学会・講演会・講習会の開催
1)講演会の開催
7月30日 於:福島県会津若松市
会津若松ワシントンホテル
2)夏期講習会・見学会の開催
8月21日
「最新の建設技術と歴史的建造物の技術的価値」
- 東京工科大学・日本工学院専門学校 建設工事現場見学
(大林組 片柳学園蒲田工事事務所)
(東京都水道局水運用センター
施設管理課和田掘給水管理所)
3 刊行物の発行等
1)会報の発行 会報59号
7月30日発行
2)その他 特になし
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1 総会・研究協議会等の開催
1)総会の開催
7月28日 於:富山県富山市
富山第一ホテル
2)研究発表・研究協議会の開催
7月29日 於:富山県富山市
富山第一ホテル
・研究発表
金沢市立工業高等学校 山崎 稔
東海地区(未定)
・研究協議
全体テーマ(未定)「高校土木教育の改善と充実」
北海道旭川工業高等学校 佐藤 靖尚賢
関東地区(未定)
3)常任理事会並びに研究協議会の開催
5月 6日 於:全国工業高等学校長協会
7月28日 於:富山県「富山第一ホテル」
11月 於:全国工業高等学校長協会
2 見学会・講演会・講習会の開催
1)講演会の開催
7月28日 於:富山県富山市
富山第一ホテル
2)夏期講習会・見学会の開催
(未定)
3 刊行物の発行等
1)会報の発行 会報60号
7月28日発行予定
2)その他 特になし
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研究会名: 東日本高等学校土木教育研究会
~会長挨拶~
東日本大震災以降、土木分野での人材育成が再び注目され始めています。人材は国の根幹とも言われています。土木技術者としての人材育成が、高校土木教育の使命でもあり責務であると思います。そのことが持続可能な社会実現に必要な人材の育成につながっていきます。先生方がその役割の大切さを理解し、意欲的に生徒の指導にあたっていただくことをご期待申し上げます。
~研究発表~
(1)「地域貢献事業の取り組み」 長野県丸子修学館高等学校 鈴木 文明
地域に根ざした学校として、より地域と密着していくことを考えての事業・活動も10年以上が過ぎ、バス停待合室建設工事や高齢者福祉施設の整備事業、また河川整備作業など地元地域や企業・団体から様々な要請を受けて行うという事実は、実習をする生徒にとってもやりがいや責任を感じさせるものである。また社会の一端に触れることで、教師以外の大人とのコミュニケーションを図る機会を得ることができる。
(2)「地域との連携による環境教育活動」 北海道帯広工業高等学校 齊藤 裕樹
事業の主な概要
・学校周辺の環境美化活動 ・機関庫の川の特定外来生物の防除活動 ・十勝川中流部川づくり事業
・近隣の小中学校などと連携して、十勝の自然環境を生かした出前授業の実施 ・外部講師を招いての自然環境に関する講義
生徒自ら考えたアイデアが実現可能なものであれば学習の意欲向上につながることが生徒の感想からわかった。また、官公庁の土木事業の一部分を担うことが出来たという達成感は生徒の進路意識の向上につながると感じた。
(3)「岐阜県の土木教育の現状と建設系企業が求める人材」 岐阜県立可児工業高等学校 西村 賢
本研究から、従来通りの土木教育だけではなく、社会や建設業界の情勢の変化や技術の変化に対応のできる教育を施す必要がある。その中で以下の3点に関して留意する必要があると考える。
①建設業の社会貢献度の高さや、規模の大きな仕事である等、建設業に対する関心を高める。
②建設業界と連携し、生徒に有益なイベントを多く行うことで、生徒の職業観を高める。
③教科指導に関して、実際に現場で役立つ「測量技術・施工知識・製図CAD」を身に付けられるように教材研究を行う。
(4)「高校生ものづくりコンテスト(測量部門)の現状と課題」 東京都立田無工業高等学校 東 君康
現在の地区大会では、実行委員会が実施内容の確認と実施要項作成をおこなっている。大会における全権を担い、ルールの詳細を含めて責務は重い。しかし、全国大会では、各地区大会で決められた細かなルールや状況と必ずしも合致せず、ときには事前説明会で解釈の違いや要項に記載されていないという理由で、自己判断をされて問題になったケースも見られた。今後は、専門家(例えば測量設計業協会)の意見も取り入れ、検討委員会を全工協や全国高等学校土木教育研究会内に設け、今後の競技内容の検討や全国統一ルールも含めた組織構築が求められるのではないだろうか。いずれにせよ、数年後に向けた新しい企画や内容検討を今からおこなう必要性がある。
4.西日本高等学校土木教育研究会 報告
項目
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事業内容
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総会・研究協議会等の開催
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1.総会と研究協議会 平成27年8月20・21日 於『東京工科大学・日本工学院専門学校』
〒144-8655 東京都大田区西蒲田5-23-22
TEL.03-3732-1111 FAX.03-3732-1112
2.幹 事 会
1)平成27年8月20日 於『東京工科大学・日本工学院専門学校』
2)平成28年1月30日 於グリーンヒルホテル神戸(2月第2土曜日)
3.委 員 会(全国高等学校土木教育研究会・高校小委員会)
1)平成27年 8月19日 東京(東京工科大学・日本工学院専門学校)
2)平成27年 12月28日 京都(京都市立伏見工業高等学校)
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見学会・講演会・講習会等の開催 全国(東京)大会
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平成27年度全国高等学校土木教育研究会総会並びに研究協議会 全国(東京)大会
~これからのインフラ整備を担う若年技術技能者育成のためのシンポジウム~
1.講演会
1)平成27年8月20日 於 『東京工科大学・日本工学院専門学校』
演題: 「高等学校教育の現状と工業教育(土木教育)の果たす役割・人材育成について」
文部科学省 初等中等教育局児童生徒課 産業教育振興室教科調査官 持田 雄一氏
2)平成27年8月20日 於 『東京工科大学・日本工学院専門学校』
演題: 「建設業は今! ~あなたを待っています~」
国土交通省 土地・建設産業局建設市場整備課 労働資材対策室長 長福 知宏氏
2.記念講演会
1)平成27年8月21日 於 『東京工科大学・日本工学院専門学校』
演題: 「次代に向けた土木学会の活動」
公益社団法人 土木学会 会長 廣瀬 典昭 氏
2)平成27年8月21日 於 『東京工科大学・日本工学院専門学校』
演題: 「『学ぶ』から『働く』へ若者をつなぐ」~建設産業と若者を考えるいくつかの視点~
一般財団法人 建設業振興基金 理事長 内田 俊一 氏
3.研究・研究協議会
平成27年8月21日 於 『東京工科大学・日本工学院専門学校』
全体テーマ 「これからのインフラ整備を担う若年技術技能者育成について」
基調発表 「若年者教育の取り組み」
職業訓練法人 全国建設産業教育訓練協会 富士教育訓練センター 校長 小松原 学 氏
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見学会・講演会・講習会等の開催 全国(東京)大会
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〈パネルディスカッション〉
コーディネーター 北海道札幌琴似工業高等学校 校 長 白野 勝義
岡山県立笠岡工業高等学校 校 長 赤木 恭吾
パネリスト 前栃木県立小山北桜高等学校 教 頭 粂川 高徳
金沢市立工業高等学校 教 諭 黒崎 弘司
東京都立田無工業高等学校 教 諭 東 君康
兵庫県立松陽高等学校 教 諭 諏訪 清二
高知県立高知工業高等学校 教 諭 中村 文香
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見学会・講演会・講習会等の開催
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4.講 習 会(夏期講習会の内容)
1)平成27年8月21日(水) 13:00~16:45
会場:(学法)片柳学園 東京工科大学蒲田キャンパス
日本工学院専門学校および東京都水道局駒沢給水所
第49回夏期講習会 題:「最新の建設技術と歴史的建造物の技術的評価」
主催:土木学会(教育企画・人材育成委員会高校教育小委員会)
共催:全国高等学校土木教育研究会
(東日本高等学校土木教育研究会・西日本高等学校土木教育研究会)
(1)「東京工科大学・日本工学院専門学校 建設工事現場見学」
(株)大林組 片柳学園工事事務所 所長 北澤 宏之 氏
(2)「東京水道局 駒沢給水所 施設見学見学会学」
東京都水道局 水運用センター 施設管理課 課長 村山 孝之 氏
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刊行物の発行等
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1.会報No.41の発行(CD版)
2.名簿の発行
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5.高校生の声
土木を学んで感じたこと
京都市立伏見工業高等学校システム工学科
都市情報システムコース3年 日下部 有哉
私が土木に興味を持ったのは、兄が土木の勉強をしていたからです。当時、6歳も年の離れていた兄が勉強している土木という学問は未知の世界で、どういった分野のものなのかもわかりませんでした。しかし、兄から聞く土木の話は、自分たちが住んでいるまちの道路や橋などを作っていく分野だ、ということでした。いまの自分の住んでいるまちを土木が支えていて、作っていくというスケールの大きなものにとても憧れを持ちました。そして、自分も土木について学んでみたいと思うようになりました。当時、ラグビーをしていたということもあり、土木を学べる学校であり、なおかつラグビー部が全国的な強豪校の伏見工業高等学校に入学することを決めました。
高校に入学してからはラグビーに熱中していました。学校で授業を受けているとき以外はラグビーに集中していたし、学びたいと思っていた土木とも疎遠になった時期もありました。しかし、そんな私が土木についてもう一度興味を持つことができたのは、2年生の時に行ったインターンシップでした。京都府宇治市役所にインターンシップにいかせて頂き、実際土木の仕事をしている方たちを間近で見ることで、当時抱いていた土木という分野への憧れが蘇ってきました。それからはラグビーに集中しながらも土木の勉強にも力を入れていくようになりました。
ラグビーだけでなく土木の学習をしていく上で、共通点があることに気付きました。それはどちらもチームプレーであるということです。ラグビーには各ポジションで役割や仕事が違い、そのポジションにはそのポジションのスペシャリストが選ばれます。スクラムのスペシャリスト、タックルのスペシャリスト、キックのスペシャリスト、ゲームメイクのスペシャリスト。そして、チーム全員で勝ちを目指していきます。そこには、仲間との信頼関係や協調性がとても大切になります。これは、土木の世界でも同じことです。設計のスペシャリスト、測量のスペシャリスト、施工のスペシャリストなどが連携し協力しながら、ひとつの土木構造物を作り上げていきます。このとき、誰が欠けていても決して成功することはできません。そう考えると、自分が高校生活でほとんどの時間を費やしてきたラグビーが、土木の道に進むことで、この先活かされてくるのではないかと考えられるようになりました。3年生になり、土木科の先生に「公務員で土木の技術者として働くのはどうだ」と声をかけられていたこともあり、卒業後は自分が住んでいる京都市の土木職員として働くことを目指すようになりました。それからは今まで以上に真剣に土木の勉強に取り組み、京都市の採用試験を受験し、無事合格することができました。そして春からは、京都市役所で土木職員として働きます。
京都市のまちは日本の財産だと思います。古きよきものを維持し、新しいものを発展させていくことが京都市の土木職員の重要な仕事だと考えております。現在、京都の玄関口である京都駅の改修工事や歩くまち京都として四条通の歩道拡張など取り組みを行っています。京都市がこの先、どれだけすばらしい都市として発展していくかは、現在の土木職員や私のように新しい土木職員として働く人たちの使命だと思っています。そのような中で、私は高校生活で学んだ土木に関する技術と知識、そしてラグビーで学んだ協調性やコミュニケーションの重要性、そしてスペシャリストとしての自覚と覚悟を持ちこの先の人生に徹していきたいと思います。これから、土木に対して真摯に向き合い、努力し、学び、自分の持っている力を精一杯尽くしてがんばっていきたいと思います。
6.土木学会全国大会報告
平成27年度土木学会全国大会・第70回年次学術講演会 報告
岡山県立岡山工業高等学校
土木科 御 船 博 士
1.はじめに
平成27年度土木学会全国大会が9月16日(水)から18日(金)までの3日間,岡山大学津島キャンパスにおいて開催されました。大会期間中には基調講演会,特別講演会,全体討論会,学術講演会や交流会などが企画されていました。
私は,西日本高等学校土木教育研究会事務局の清水哲成先生よりお話をいただき,第70回年次学術講演会における9月16日(金)の共通セッション・土木教育一般において「地域貢献活動を通した技術者倫理の育成」を題目で発表させていただきました。
写真1 大会会場風景
2.発表内容
発表内容の概略を以下に記します。
平成17年2月に教育基本法が60年ぶりに改正されたことにより、平成21年3月に高等学校学習指導要領が改訂され、工業科目の改訂の要点は単に工業技術者としての技能を習得するだけでなく、環境に配慮しつつ自ら創意工夫をすることができるとともに、『倫理観』を確実に身に付けた技術者の育成であるということを明確にしたことです。
これを受け、本校でも授業で耐震偽装や官製談合などにも触れながら、生徒に自分の行為が恥ずかしくないか、自分の造ったものに胸を張れるかということをテーマに、労力を惜しまない「ものづくり」 の実践を行ってきました。発表では、その取組のひとつとして、今年で6年目をむかえる近隣小学校への地域貢献活動を紹介しました。この活動では「土木工事のながれ」「環境への配慮」「地域の方々への感謝の心」の3つを総合的に学ぶことで「技術者倫理の育成」を目指しています。そして以下の3つを要点として様々な製品を製作してきました。
1)土木事業の工程全てを行う(専門知識を向上させ社会への貢献と職務における責任感の育成)。
一つの建設会社をイメージさせ、調査・開発・設計・施工を体験することで、土木事業の苦労ややりがいを実感させることで、妥協しないものづくりのすばらしさを理解させる。
2)生徒主体の活動とする(誠実義務と利益相反の回避および自己研鑽のできる人材の育成)。
活動の流れや、ルール、技術面に関しては指導するものの、近隣学校との打ち合わせから計画、施工方法を生徒自ら考え、人と接し相手を思い考えることで自分の活動に使命感を育ませる。
3)取り組みは発表を持って完成とする(情報公開し社会との対話や成果の公表を積極的に行う)。
近隣の小中学校に製品を引き渡して終了ではなく、自分の製品に誇りが持てるように必ず校内だけでなく貢献活動の相手校や第三者の研究発表会に参加し、取組を披露する場を設ける。
最後に成果として、生徒は活動当初より協調性や積極性が向上し、期待に応えて努力することに使命感を覚えるようになりました。そして自分の行動が及ぼす周囲の影響を考え、小学生から喜んでもらえるような製品を造りたいと自分たちの作品にプライドを持っていることが感じ取れます。このようなことから、この活動が技術者倫理の育成に一定の効果が得られていると考えられますが、留意点として活動場所の設定が困難で、生徒も少人数に限られるなど問題点も多く、今後も多方面の方々の御意見や御協力いただきながら取り組んでいかなければならいと説明しました。
写真2 発表風景
3.大会内容および感想
講演時間は,一人13分(発表9分,質疑4分)で設定されていました。私としては与えられた時間に、土木系工業高校生の取組を理解していただきたいという思いで発表しました。質疑応答では、地域貢献活動における活動内容の選定方法や小学生の反応などの質問をいただきました。活動内容は年度当初に小学校の先生方と本校生徒で検討会を行い、半年かけて企画から詳細設計を経て決定していることと、小学生の反応は良く、見学会行うなどで親睦を深め、毎年製品に愛称を付けていただいていることを説明しました。そして昨年度、その時の小学生が本校土木科に入学したことを伝え地域連携にも繋がっていたことを再認識したと説明しました。他にも質問やご意見をいただき、大変有意義な発表となりました。
また土木教育一般部門の発表者の中、私が唯一の高校教員で、多くは企業の方が占めていました。
その内容はそれぞれ若手技術者のスキルアップ、建設業界への就業率向上の取組、熟練技術者の離職に伴う技術伝承の手法、女性技術者の支援と問題点など、現在の建設業界が直面している様々問題を凝縮したような講演でした。
共通していることは、人材不足の建設業の現状をしっかり認識し、建設業が魅力的でやりがいのある仕事であることをどのように若年者にアピールするかという点です。そしてこの問題は私たち土木系工業高校にも当てはまるところが多いことに気付かされました。
また高等専門学校の先生方は、初学者対象の水理学の授業研究や一軸振動台の学習教材開発など、生徒の知的好奇心を育むための取組を発表されました。
発表された全ての方が、土木の重要性と使命感を持って土木の未来を考えておられることが伝わってきました。私自身の授業に参考になる知識や生徒たちに伝えたい内容を得た大きな発見と学びの場となりました。
4.おわりに
今回、多くの先生方のご協力と助言により無事終えることができましたこと、またこのような機会を設けていただいたことに大変感謝しております。この取組は、生徒に『土木』は社会資本整備を担っているというプライドを持たせることで、技術者倫理の育成に繋げる授業を目指してきました。現在も試行錯誤している状態ですが、この活動から生徒には一つでも多くのこと感じ、世界に活躍の場を広げてほしいと考えています。今後も実践的な土木教育の推進に取り組んでいきたいと思います。