【支部名】四国支部
【事例キーワード】
①技術のチカラ、 ②デザインのチカラ、 ③自然のチカラ、 ④コミュニティのチカラ、 ⑤記憶のチカラ
四国支局長を務めています愛媛大学の白柳洋俊です。今回は、愛媛県新居浜市にある石積みの観覧席「山根グラウンド観覧席」についてご紹介します。
山根グラウンド観覧席は、1928(昭和3)年に住友の鉱山職員たちが勤労奉仕というかたちで手作業により築き上げた施設です。最大27段、延長約120m、約3万人を収容できる壮大な構造物は、100年近く経った今も現役で使われ続けています。その背景には、企業城下町としての新居浜市を支えてきた住友の、別子銅山を通じて受け継がれてきた技術力や、地域とともに歩む姿勢が息づいています。
取材に訪れた日も、観覧席では愛犬と散歩する市民の姿や、グラウンドでは元気にキャッチボールする子どもたちの姿が見られました。こうした日常の風景こそが、この観覧席が長く愛され、大切にされてきた理由の一つなのだと感じました。
本記事は、ライターの大井智子さんが執筆しています。丁寧に現地を歩き、石積みに宿る記憶や、そこに息づく人々の暮らしをあたたかな眼差しで綴って下さいました。読み進めるうちに、山根グラウンドがなぜ、どうしてつくられたのか——そんな背景が、まるで謎解きのように少しずつ明らかになっていきます。ぜひ、ご覧ください。
写真1 地域最大の祭り新居浜太鼓祭りの舞台にもなります(写真提供:新居浜市)
写真2 昭和初期の山根グラウンドの様子(写真提供:別子銅山記念館)