【事例キーワード】
①技術のチカラ ②デザインのチカラ ③自然のチカラ ④コミュニティのチカラ ⑤記憶のチカラ
九州支局長を務めております一般社団法人地域力創造デザインセンター代表理事の高尾忠志です。今回は鹿児島県姶良市の事例を紹介する記事です。新しい橋の建設とともに解体撤去されるはずだった「旧山田橋」に関わる素晴らしい取り組みです。
1929年に築造され、長年にわたって地域住民の暮らしの舞台、思い出の場所となった橋の価値を再発見する人の輪が、小学校の子どもたちを中心にして次々と繋がっていき、行政もそれに応えて、橋にまつわる記憶を大切にした場所が実現しました。そしてその取り組みプロセスの記憶も、そこに関わった地域住民や若い世代にも深く刻み込まれています。
市民の暮らしを支える土木構造物の価値が注目されることは残念ながらそう多くはありませんが、実はそこに暮らす人々の心の中に確かに存在しているのかな、と私も土木に関わる一人としてとても嬉しく拝読しました。そんな取り組みを進めてこられた羽野先生をはじめとする関係者の皆様に心から敬意を表したいと思います。
ライターの大井さんの愛のこもった素晴らしい記事となっておりますので、ぜひご覧いただけましたら。
解体前の旧山田橋は橋脚や高欄にアーチ形状が連続するなどデザイン性が高く、地域住民に愛されていた(写真提供:羽野 暁)
2019年の竣工当時の左岸側の広場。橋の記憶が継承されていく風景(写真提供:羽野 暁)