はじめに
現在の土木学会論文集は、専門分野に分かれた19の分冊よりなる和文論文集と英文論文集からなります。また、和文論文集を構成する19の分冊は、通常号だけからなるもの、特集号だけからなるもの、そして、通常号と特集号の両者を有するものに分けられています。この構成は、2011年からスタートしたものであり、この10年間の出版を通じて、専門分野ごとの議論の深化、ならびに、各調査研究委員会における調査研究成果の発信に大きく貢献してきました。
土木学会論文集編集委員会では、この数年間、土木学会を代表する出版物である土木学会論文集のさらなる魅力の向上、また、国際化への対応に関して議論して参りました。そして2023年から、国内の最新の研究成果・技術を、国内と海外に向けて迅速かつ確実に発信するために、和文論文集と英文論文集の位置付けを明確にし、また、和文論文集においては、これまでの分冊出版を見直し、通常号と特集号を一つの論文集にまとめた新しい構成にすることにしました。
論文集再編の概要
図1は、和文論文集の現在の構成と新しい構成を示したものです。新しい構成では、和文論文集の英語名は「Japanese Journal of JSCE」として、英文論文集の名称は「Journal of JSCE」として、両者が明確に区別されてJ-Stage上で公開されます。
論文掲載の具体については、英文論文集に関しては、これまで和文論文集の特集号に掲載されていた英文論文を、英文論文集に移行させること以外これまでと違いはありませんが、和文論文集に関しましては大きく変わります。今後、和文論文集に投稿される論文は、著者が投稿時に選択する投稿カテゴリーごとに審査され、該当する掲載カテゴリーに振り分けられてJ-Stage上で掲載されます。
新しい土木学会論文集では、これまでの通常号と特集号の論文は、巻(Vol)の中に設けられる号(No)より分けられます。表1に2023年の構成を示します。これまでの通常号の論文は、毎月公開するNo.1からNo.12に、先に示しました掲載カテゴリーに分けて掲載され、一方、特集号は、No.13以降の号に掲載されます。
図1 和文論文集の構成の比較
表1 2023 年の和文論文集の巻(Vol.)と号(No.)
編集および審査体制
土木学会論文集は、これまでと同じように土木学会論文集編集委員会により出版されます。ただし、19の分冊がなくなることに伴い、論文審査に関しては、和文論文集に対しても英文論文集に対しても同一のEditorial bordが責任を持つことになります。表2には、Editorial bordと関連する委員会との関係が示されています。
表2 Editorial bord と関連する委員会との関係
2次出版の取り扱い
現在、和文論文集に掲載された英訳論文の英文論文集への投稿(和文論文の2次出版)を一部の分冊で認めています。これは、海外への情報発信を強化するためです。さらに、2023年からは、国際ジャーナルに掲載された論文の和訳論文の和文論文集への投稿を認めます。これにより、土木学会論文集の読者が、海外に発表されている日本の質の高い研究成果に触れることができます。
なお、投稿には条件を設けてあります。詳細は投稿要項にてご確認ください。
スケジュール
2022年1月より論文投稿受付を行い、2023年1月から新しい土木学会論文集をJ-Stage上で公開いたします。なお、これに合わせまして、世界で7500誌以上、日本でも200誌以上が利用しているEditorial Managerを論文投稿・査読システムとして採用することといたしました。
新しい土木学会論文集への投稿をお待ちしております。
添付 | サイズ |
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2023年より土木学会論文集の構成が変わります_学会誌2021年11月号 | 2.29 MB |