「ボスポラス海峡横断鉄道トンネル-海底をわたる風-」
企画:大成建設(株) 制作:日映企画
監督:降幡 和則 2010年
当作品はボスポラス海峡に海底トンネルを造り、二つの大陸を結ぶプロジェクトを克明に追った記録映像である。ヨーロッパとアジア二つの大陸は、トンネルの北側に建設された二つの長大橋で結ばれていたが、トルコ経済の中心で1,000万を超える人口を抱える大都市イスタンブールでは、町を東西に分断するボスポラス海峡がネックとなり、慢性的な交通渋滞に悩んでいた。そこで、トルコ政府は海峡の底にトンネルを造り、地下鉄を走らせて懸案の交通問題を解決しようとする。全長13,530mのトンネルは2004年8月に着工し、6年半後の2011年8月に貫通した。1,387mの海峡部は最大深度60メートルに達する海底に11の函体を沈め、連結して海底トンネルを形成するが、潮の流れが複雑で、函体の沈設は難しい作業となった。一方陸地部は、古い歴史を誇るイスタンブール中心部に当たるため住宅や遺跡が密集し、コンパクトなNATM工法を含む、様々なシールド工法を駆使して複線の地下鉄トンネルと駅の建設が進められた。当作品では、この困難な事業をトルコの二つの企業とジョイントベンチャーを組んで、言葉や文化の違いによるコミュニケーションの壁を乗り越え完成に導くまでの過程を記録している難工事に取り組む現場の技術者達の姿や、今回採用された最新の土木技術の数々が、実写とCG映像を組み合わせ、分かりやすく紹介されており、海外での巨大プロジェクトを丁寧に記録した映像作品として、評価された。
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