2018年11月15日
断層活動性評価の高度化小委員会(フェーズ2)の設置について
土木学会 原子力土木委員会 断層活動性評価の高度化小委員会
2.目的
断層活動性評価に関わる原子力耐震安全上の課題を整理し,新規制基準に基づく適合性審査に適用しうる新たな断層活動性評価手法の確立を目指す。従来,断層の活動性評価においては,断層直上のどの地層・地形面まで変位・変形が及んでいるかに基づいて,判定することが一般的である(いわゆる上載地層法)。しかしながら,現実には活断層の判断基準となる後期更新世の地層・地形面が分布しておらず,上載地層法が適用できない場合も多い。そのために,適切に活動性を評価できずに適合性審査が進まないこともしばしばある。本小委員会では,このように上載地層法が適用できない場合を想定して,断層破砕部の性状から活動性を評価しうる最新手法について検討し,その実用性向上を図る。
3.活動予定期間
2018年11月~2021年3月(年3回程度開催)
4.活動内容
断層活動性評価に関わる研究成果や最新知見を広く紹介,審議し,小委員会の報告書にその成果をとりまとめる。検討対象は①断層破砕部性状による活動性評価法を主体とし,②活断層調査に基づく震源断層評価法等についての最新知見も随時取り扱う。
主体となる①について,前フェーズ(2015年11月~2018年3月)では,母岩や変位センスの異なる複数の断層について破砕部性状の特徴を整理し,断層活動性と相関のある指標の有効性を議論した。その中では,活断層と非活断層を個別の地点で選定していたため,地質環境の違いによる影響を完全には除外できない点が課題として残された。今フェーズでは,この課題をクリアするため,主に同一岩体中において見出される活断層と非活断層に着目し,両者の違いから活動性の指標となるパラメータを特定する。このとき,断層すべりを模擬した岩石摩擦実験で生成される破砕物質の特徴等も適宜参照することで見出されたパラメータの検証を行い,より説明性の高い断層活動性手法の確立を目指す。
委員会の開催にあたっては委員等からの関連する話題提供や現場見学などを行い,最新情報の把握と共有を図る。
5.委員構成
元山口大学 大学院 理工学研究科 金折裕司教授を委員長に,学識経験者を委員として,電力会社及び電力中央研究所を幹事として構成する。専門委員には,活断層全般,断層破砕帯,地震・地球物理の各分野に精通する専門家に複数名ずつ参画して頂く。
以上