4月18日 東日本大震災特別委員会 記者発表
東北地方太平洋沖地震発生から約一カ月が経過した。この間に当学会として、第一次総合調査団をはじめ各種調査団を派遣し、専門的な調査分析をすすめ、去る8日、11日には速報会を実施してその概要をインターネットに公開した。
今後は、この調査で得られた多くのデータを分析し、以下のような復興へ向けた、具体的活動と地震の活動期に入ったとされる日本列島の安全性向上のため情報発信を行っていく。
1.調査分析結果のとりまとめ
4月中を目途に、緊急的な報告書を公開する。
2.特定テーマ委員会の設置
課題ごとの特定テーマ委員会を設置し、専門家による議論をもとに情報の提供を行う。
(1)今回の地震・津波の経験を踏まえた提言や知見を全国に向けて発信し、また教育・啓発活動などの充実を図る。
- 安全特定テーマ委員会
既存の社会基盤施設による防災及び運用や避難行為といった災害に対する総体的な安全対策の考え方を整理し、その向上策を検討することとする。さらに土木学会の各種基準類についても、今回の地震・津波の分析に基づき必要に応じてそれらを反映させる。また、教育・啓発活動などの充実を図る。
- 学際的連携
土木学会の活動に当たっては、28の既存の専門的委員会の知見と組織を最大限活用するとともに、地震学などの科学分野、官庁、民間分野など広範な専門家との連携により、人々の生命財産を守るための活動の先頭に立ち、整合性、総合性のある成果を目指す。
(2)極めて広範囲かつ状況の異なる地域の復興計画に資する支援対策を作成するため当面以下の特定テーマ委員会を設置する。
- 津波特定テーマ委員会
発生した巨大津波を歴史的に得られている多くのデータを基に、新たな評価を行い、今後の施設計画、地域計画に資するデータを提供する。解析に時間を要するため、復興へのタイミングに沿ったデータ・知見を順次公表していく。
- 地域基盤再構築特定テーマ委員会(日本都市計画学会共同実施)
被災地域の復興方策について、生活再建、生業再建、安全再建の視点から総合的に調査分析し、地域基盤再構築の方向性やそのために必要な具体的方策について迅速に提案する。
- 復興施工技術特定テーマ委員会
施工技術を活かし迅速かつ効率的な復興を可能にする技術を紹介するとともに、活用に当たって専門家による相談に応じ必要に応じて専門家派遣を行う。→土木専門家情報センター構想との連動
- 液状化特定テーマ委員会(地盤工学会共同実施予定)
東京湾岸域を中心に関東全域に及んだ液状化現象を調査分析するとともに、モデル地域による詳細検討を行って、液状化災害発生に備える対策を提案する。
- 土木専門家情報センターの設置
さまざまな分野の専門家不足を補うために、専門家情報入手をサポートするセンターを立ち上げる。学会東北支部を核としつつ、震災状況を考え、支部と本部連携のもとに開設する。必要な人材は、全国の学会員からの募集など含め、幅広く可能な人材登録をすすめる。