水文,
基礎水理,環境水理の三部会が発足した当初,「二つの水理系部会の一つ」という感じの位置づけではじまった本部会の活動も,すでに約10年が経過しました.この間,世の中の環境意識も多様に変遷し,学会内部でも
河川部会の設立など大きな動きがありました.今日,「環境」という接頭・接尾語を冠して私たちをとりまいている問題はきわめて多様化しています.環境水理部会に限らず,
水工学委員会の全ての活動が環境と密接に関わっていることは当然ですが,その中での環境水理部会として特徴ある独自の活動も考える段階にあると言えるでしょう.
幸い,
部会委員や部会をとりまく方々によるこれまでの熱心な活動を通して,環境水理部会では様々な
研究集会や
ワーキング・グループ研究を 展開してまいりました.こうした部会活動を通じながら,環境水理の根幹は自然現象を現地で学ぶための現地観測にあり,さらに水理実験や数値解析は現象を忠 実に再現するためのツールとして不可欠である,ということが皆様の共通の認識として浮上してきたように感じます.部会の活動内容が漫然と発散することのな いように研究対象を絞り込む必要がある一方で,「環境」という問題の性質上,多角的に視点を据える必要もあります.個々の環境水理研究を進める傍らで,社 会との有機的なつながりを視野に入れながら「環境水理学とは?」を再考していく気運も研究集会などを通じて高まっています.
部会内部にとどまることなく,広く皆様の部会活動へのご理解と積極的なご参加を得ながら,環境水理部会の活動を今後も充実させて頂きたい思います.