神戸外国人居留地は1868年の兵庫開港に際し,イギリス人土木技師ハートの設計により整備された約25.6haの領域で,1899年の返還まで租界が形成されていた。無論下水道完備である。
この西欧式下水道としては横浜と並びわが国で最古の地下水渠には,神戸付近で焼成された煉瓦が使用され,南北道路に沿って円形管(内径900mm)が約810m,卵形管(400×540mm)が約1070m,計6本1880mの幹線が敷設された。また,東西道路に沿っては枝線として陶管が埋設され,1872年頃には完成した。感嘆すべきなのは,130年後の今日でも約90mが雨水幹線として現役な点で,その一部が公開されている。この展示施設は1993年に完成したが,1995年1月の阪神・淡路大震災で破損し,1998年に復旧工事が完成した。
(出典:近代化遺産保護の次階梯としての公開学 旧神戸外国人居留地地下水渠を巡って(土木紀行),鳥海 基樹,土木学会誌88-5,2003-5,pp.56-57)
兵庫県神戸市