2011年3月の東日本大震災に伴って発生した東京電力㈱福島第一原子力発電所事故以降、停止されていた原子力発電所の再稼働が徐々に増えて来ている一方、廃止措置を決定あるいは廃止措置中に至った原子力発電所が既に24基に達している(2025年6月19日時点:経済産業省・資源エネルギー庁HP“原子力発電所の現状”より)。廃止措置後に発生することになる放射性廃棄物のうち、極低レベル放射性廃棄物(以下、「L3 廃棄物」という。)に関しては、各発電所を保有する電気事業者が処分の実施責任を負うことになっており、処分サイトの環境条件等に応じて現行の規制基準に対応した安全かつ合理的な処分施設を設置する方策の確立が今後の重要な課題となっています。
エネルギー委員会においては、国内外におけるL3廃棄物処分への取組み状況、あるいは現行の規制基準や日本原子力学会標準整備状況等についての調査結果を整理するとともに、今後の我が国における規制基準に対応したL3廃棄物埋設施設の概念と設計の考え方について調査検討を行って来た結果を報告書として取りまとめましたので、本土木学会ホームページのエネルギー委員会の担当研究小委員会のページに掲載し、Web公開させていただきます。
今後の我が国におけるL3廃棄物の安全かつ合理的な処分の推進に向けての一つの技術的な拠り所として、関連する土木技術やその他の関連分野の技術者の皆様に広くご参考にしていただければ幸いです。
以上 2025年9月
土木学会エネルギー委員会 低レベル放射性廃棄物・汚染廃棄物対策に関する研究小委員会 委員長 大西 有三 (京都大学名誉教授) 同上研究小委員会 分科会3(L3廃棄物処分施設検討) 主 査 苅込 敏/副主査 野口 裕史 (日本原電株式会社)