土木学会誌の「国際センターだより」のページでは、土木学会の国際活動の一端を紹介しています。国際センターが毎月発行している「国際センター通信」と合わせて是非ご一読ください。
■2019年度 全国大会国際関連行事 開催速報
国際センターは2019年9月3日、4日に香川大学幸町キャンパスおよび香川県社会福祉総合センターにて国際ラウンドテーブルミーティング、第21回インターナショナルサマーシンポジウム、国際若手技術者ワークショップなどの国際関連業を開催した。また海外ゲストのテクニカルツアーを実施した。国際関連行事には土木学会が協定を結んでいる海外協定学協会からの海外ゲスト、土木学会海外分会、日本で学ぶ留学生、日本で働く外国人技術者が参加した。
土木学会会長の意見をもとに企画・実施する恒例の国際ラウンドテーブルミーティングでは、「質の高いインフラ」をテーマに、6ヵ国・地域の講演者からそれぞれの取組や課題を紹介いただき、活発な議論が行われた。
日本で学ぶ外国人留学生・技術者対象の国際若手技術者ワークショップでは、参加者が地震で被災した自治体の市長の立場で、被害状況の分析、復興・復旧へ向けた対応方針を記者会見形式で報告した。今回は外国人だけではなく、日本人学生の参加もあった。
国際関連行事の実施にあたって、多大なご協力をいただいた関係者各位の皆様には深く感謝を申し上げる。
国際関連行事の報告は土木学会誌2020年1月号の全国大会報告記事をご覧ください。
椛川ダム工事現場にて(テクニカルツアー参加者たち)
■第3回 技術者ラウンジ“DOBOKU”を開催
国際センター・教育グループは2019年9月24日(火)に第3回となる「技術者ラウンジ“DOBOKU”」を開催した。今回はミャンマー国の鉄道関連事業について「土のうを用いた鉄道沿線の軟弱地盤及び振動対策」および「ヤンゴン-マンダレー間鉄道改良プロジェクト」をテーマに、パシフィックコンサルタンツ(株)から2名の講師をお迎えした。参加者は各講師からの海外プロジェクト紹介とその貴重な経験について、熱心に耳を傾けており、和やかな雰囲気の中、ざっくばらんな意見交換が行われた。
本行事は第4回の開催に向けて準備を進めている。若手・ベテラン技術者を問わず、ぜひ本ラウンジにご参加いただきたい。次回開催については国際センターホームページをご覧いただきたい。
■土木学会会員への一般公募による国際ジョイントセミナー・国際シンポジウム等への助成(応募案内)
土木学会学術交流基金管理委員会では、2020年度の公益信託土木学会学術交流基金「土木学会会員への一般公募による国際ジョイントセミナー・国際シンポジウム等への助成」を2019年11月1日(金)より募集を開始した。申請の締め切りは2020年1月15日(水)である。
応募に関する詳細は土木学会学術交流基金管理委員会ホームページ (URL: http://committees.jsce.or.jp/iefund/)をご参照いただきたい。
■世界で活躍する日本の土木技術者シリーズ 第14回シンポジウムを開催
2019年8月28日(水)に(公社)土木学会と(独)国際協力機構(JICA)の共催で、世界で活躍する日本の土木技術者シリーズ 第14回シンポジウムが土木会館 講堂にて開催された。
今回は、JICAの国際緊急援助業務に着目し、フィリピン国で発生した台風ヨランダ災害の緊急復旧復興支援をテーマにシンポジウムを開催した。当日は63名が参加し、9月1日の「防災の日」を前に多くの参加があった。
第1部では「JICAの防災分野に関する取組」について稲岡 美紀氏(JICA 地球環境部 防災グループ)より防災の世界的潮流や日本・JICAの取組、協力事例など、多岐にわたる内容を講演いただいた。
第2部では台風ヨランダの復旧・復興支援プロジェクトについて、勝部 司氏(JICA 国際緊急援助隊事務局)から、国際緊急援助の枠組みや台風ヨランダの復旧事例、今後の方向性などの紹介があった。同じく現場での復旧・復興に関わった平林 淳利氏(JICA 社会基盤・平和構築部)からは、被災後実施された技術支援の内容や復旧・復興の様子が紹介された。また藤堂 正樹氏((一財)河川情報センター)より本復旧・復興プロジェクトにおける高潮ハザードマップの作成と普及、その成果について発表があった。
最後に、井出 宗一郎氏(JICA 資金協力部)より、国際協力に関わる土木技術者のキャリアパスについて紹介があった。
講演の詳しい内容については、本シンポジウムHPに掲載している各講演の発表資料をご覧いただきたい。なお、次回のシンポジウムは、2020年2月5日(水)に「ベトナム国南北鉄道補修プロジェクト」をテーマに開催を予定している。
甚大な被害からの復旧・復興の様子が印象的であった
■2019年度 モンゴル土木学会(MACE)年次大会に参加
2019年6月13-14日に、モンゴル・ウランバートルにてモンゴル土木学会(MACE)の年次大会が開催された。土木学会からは、土木学会国際センター 国際交流・モンゴルグループリーダー 山口 栄輝教授(九州工業大学)と長谷川 知美氏(西日本高速道路(株))が参加した。
13日に“Concrete work. Supply, Execution, and Quality Control”をテーマとした国際セミナーが開催されたほか、14日には国際ラウンドテーブルミーティングが開催された。
国際ラウンドテーブルミーティングでは“Inspection in Construction Sector”をテーマに、4件の発表があった。日本からは長谷川 知美氏が“NEXCO-WEST Overseas Business - Challenge and Contribution -”と題し、NEXCO西日本の海外事業展開の紹介、米国での非破壊検査技術などの具体的な取り組み事例について発表を行った。
長谷川氏による発表
■2nd Japan-Myanmar Joint Symposium on Civil Engineering 開催報告
2019年6月29~30日ミャンマー国ヤンゴン市にて、土木学会、ヤンゴン工科大学、ミャンマー工学会連合、ミャンマー連邦共和国建設省、JICA共催「2nd Japan-Myanmar Joint Symposium on Civil Engineering」が開催された。国際センターでは、産官学連携をベースとするミャンマーとの交流を目標に、2013年以来、ミャンマーのニーズと興味を踏まえて、構造分野を主軸にインフラ整備、都市計画、防災、技術者教育へと分野を広げながらジョイント活動を展開している。今回、道路整備、都市交通計画、防災を中心にセッションを設け、さらにマンダレー工科大学の参加がかない、ミャンマーの「学」の両翼がそろったシンポジウムとなった。加えて、この機に、ミャンマー工学会がミャンマー工学会連合へと発展し、ミャンマー土木学会が始動して初めてのシンポジウムとなった。ミャンマー側の産官学連携の意義に対する理解が深まるに比例して、当シンポジウムを介した技術交流とミャンマーの土木教育向上への期待が高まっている。この期待に応えるよう、国際センターとして、技術、人、経験とノウハウをもって尽力していく。本シンポジウム終了直後に関係者が集まり、過去2回のシンポジウムを通して見えてきた課題とその解決策を議論し、次回のテーマ、準備態勢について意見交換を行った。両国の関係者間で次回に向けてディスカッションが続く。
セッションの終わりに
■第2回 技術者ラウンジ“DOBOKU”を開催
国際センター・教育グループは2019年6月17日(月)に「第2回 技術者ラウンジ“DOBOKU”」を開催した。本企画は海外で活躍する若手技術者を講師に迎え、ご自身の海外プロジェクト経験や、海外業務のやりがい、海外赴任を通じて成長したこと、苦労したことをお話しいただき、講師と参加者の垣根を越えたフリートークの機会を設けている。第2回は「カンボジア 鉄道リハビリテーション事業」をテーマとして、松下英稔氏(日本工営(株))を講師としてお迎えした。
当日は松下氏よりご自身の略歴、鉄道リハビリテーション事業概要の説明ののち、現地での技術的なトラブルや仕事に対する日本との価値観の違いなど、海外業務の実態について紹介があった。参加者からはプロジェクトについてだけではなく、衣食住などの現地の環境や日本の家族とのコミュニケーション手段、帰国の頻度など講師の生きた経験について熱心に質問をする姿があった。講師の言葉ひとつひとつが参加者にとってよい刺激となったようである。
本企画の詳しい報告については国際センター通信8月号をご覧いただきたい。
ご自身の略歴を紹介する松下氏
■2018年度国際活動協力賞 受賞者お祝いの会
2019年6月14日(金)に令和元年度土木学会定時総会が開催された。開催中、土木学会賞授与式が行われ、土木学会国際貢献賞、国際活動奨励賞、国際活動協力賞が計24 名に授与された。そのうち海外の受賞者は、国際貢献賞1名、国際活動協力賞4名であった。
授与式開催前のお昼には国際貢献賞選考委員会および国際センターが国際活動協力賞を受賞されたThi Ha氏、Hakan Yuksel氏、Nakhorn Poovarodom氏、Rex G. Legario氏、国際活動奨励賞を受賞された村井 大介氏をお迎えし、お祝いの会を開催した。会の冒頭に、藤野陽三委員長(国際貢献賞選考委員会)からお祝いの言葉が述べられ、その後各受賞者からご自身の経歴や携わったプロジェクト、日本との技術交流・人材育成などについて発表をいただいた。昼食をとりながら和やかな雰囲気の中で、参加者同士の交流が深められた。
藤野委員長と受賞者たち
■2019年度全国大会国際関連行事のお知らせ
2019年度全国大会が9月3日(火)~5日(木)に香川大学他にて開催される。国際センターが主催する国際関連行事は、3日(火)~4日(水)に香川県社会福祉総合センターを中心に開催をする。
3日(火)には恒例の国際ラウンドテーブルミーティングを行う。本年度は「質の高いインフラの重要性 課題とアプローチ」をテーマに、海外6~7ヵ国・地域の研究者・実務者が集まり、各国・地域の取り組み事例を紹介し、質の高いインフラの重要性についてさまざまな観点から議論を行う。
3日の午後からは第21回インターナショナルサマーシンポジウムの一環として、日本で学んでいる留学生、海外若手技術者を対象とした国際若手技術者ワークショップを開催する。本ワークショップは昨年に引き続き「When a Mega Disaster Strikes, How would you respond if you were a mayor?」をテーマとし、災害発生から4日目の被災地を舞台に、対応方針についてディスカッションを行う。また同日の夜、香川大学(於:カフェ空海)にてネットワーキングレセプションを開く。海外ゲスト、土木学会海外分会、留学生ほか、全国大会に参加する国際関係者が一堂に会し、交流を深める。
翌日のテクニカルツアーでは、日本最古の石積式ダムである豊稔池ダムや椛川ダム工事現場などを見学する。地元の有志の方々のご協力を得て、香川県ならではの視察先をご案内する。
更に、この秋には留学生対象の現場見学会・企業説明会、若手技術者向けのトークラウンジ、大学出前講座、海外プロジェクトシンポジウムなど、多彩な企画を準備している。国際センターHPで国際関連行事、この秋以降の行事をご覧いただきたい。
(国際センターHP: http://committees.jsce.or.jp/kokusai/)
■信濃川・大河津分水における温故知新 長岡ツアー
国際センター台湾グループおよび情報グループでは、若手技術者・研究者の技術交流の促進とプラットフォーム形成を目指し、従来の日台ジョイントシンポジウムをベースに活動の拡充をはかっている。第8回アジア土木技術国際会議(CECAR8、4月16~19日 於東京・ホテルメトロポリタン池袋)の機会を捉え、4月19日、台湾から技術者・研究者を招へいし、日本の治水事業の発展に大きく貢献した信濃川大河津分水路、そして、改修工事の進む信濃川下流改修工事現場を視察した。台湾で今なお語り継がれる烏山頭ダム建設に尽力した青山士が、補修工事の指導に当たったのが大河津分水路である。国・地域の枠を超えて「人」のために尽力した土木技術者を思い出し、そして約90年前に行われた当時の技術と現代の技術の融合と比較を考えるツアーとなった。参加した若手技術者・研究者は、先人の挑戦に立ち向かう心意気と創意工夫、これから実際のプロジェクトに携わっていく自分たちの土木技術者としての役割と責任を感じていた。なお、このツアーの実施にあたり、北陸地方整備局信濃川河川事務所、大河津分水資料館友の会、新潟県長岡地域整備部、長岡技術科学大学の皆様の多大なご助力に深く感謝を申し上げる。
■第1回JSCE-ASCEインフラレジリエンスに関する国際シンポジウム
2019年5月22~23日、土木会館講堂にて、2018年度土木学会会長特別プロジェクトの一環として、米国土木学会(ASCE)と共同の国際シンポジウムを開催した。
近年、特にアジア地域で多発する自然災害は大きな被害をもたらしており、その影響は人々の日常生活、そして社会全体の機能を脅かしている。それに対して、自然災害のリスクや被害の軽減、さらに速やかな復旧・復興を目指し、レジリエンスの高いインフラ計画、構築、対策について多方面で検討が始まっている。
当プロジェクトでは、ASCEとインフラレジリエンスに関する共同研究グループを立ち上げ、インフラレジリエンス概念枠組み(Infrastructure Resilience Framework)の構築と、それに基づく政策評価方法等の開発を目指すことになった。この1年間ASCEと議論を続け、今回、当シンポジウムにてその成果報告を行った。ASCE、そして国内の各分野の技術者・研究者が参集し、1)地震・構造、2)気候・水文・地盤リスク、3)社会システムレジリエンスと経済影響、4)ガバナンスと災害対応のセッションにて、具体的な実践例の紹介とインフラレジリエンスの概念枠組みを議論した。今後も、インフラのレジリエンス向上に向けた一般的原則と実践的な応用を目指し、議論を継続する。
講演者によるパネルディスカッション
シンポジウムの総括をする小林会長
■CECAR8、大勢の方にご参加、ご協力いただきました!
アジア土木学協会連合協議会(ACECC)の主要活動である「第8回アジア土木技術国際会議(CECAR8)」が4月16日から19日、ホテルメトロポリタン池袋にて開催された。JSCEは当会議のホストとして、ACECCと連携して約3年前より準備を始め、当日を迎えた。
今回、アジア諸国のみならず、アフリカ、ヨーロッパなど40を超える国・地域の産官学の土木関係者約700名が参集し、最新技術、災害・防災、インフラ維持管理、老朽化、交通計画、ダイバーシティ、技術者育成、社会貢献他について議論を交わした。並行して、会場内に展示ブースを設け、ゼネコン、コンサルタント、東京都、政府関係機関、NGOなど約50の組織が最新技術やプロジェクト等を紹介した。留学生が足を止めて熱心に質問する姿も見られた。
セッションでは産官学の枠を超えて議論が行われた
盛況であったブース展示会場
プレナリーセッションでは、寺島実郎氏((一財)日本総合研究所会長)、ロビン・ケンパー氏(米国土木学会会長)、ブノア・リュロ氏(関西エアポート専務執行役員)をお迎えし、将来のビジョン、土木技術者のミッション、インフランレジリエンスへの取組みといった、我々が常に考えている挑戦について、独自の視点と経験をもとにした興味深い講演をいただいた。その他にも、若手を中心とするネットワーキングレセプションやディスカッション、テクニカルツアー、ACECC受賞式も行われ、内容の濃い会議となった。
閉会式にて、小林潔司会長より今後のACECCの活動指針となる東京宣言2019(Tokyo Declaration 2019)が発表され、そして次回のCECARのホストを務めるインド土木学会長にACECC旗が引き渡され、会議の幕が降ろされた。
ACECC旗を掲げるDr. S.L. Swamy(インド土木学会会長)
当会議の開催おいて、会員の皆様をはじめ多くの方々からご支援とご協力をいただいたことに、心より感謝申し上げる。
■留学生グループ活動紹介
土木学会 国際センター・留学生グループでは、国内で学ぶ留学生の支援、ネットワーク構築を目的に活動を行っている。主な活動は、留学生向け企業説明会や現場見学会の開催、土木学会全国大会でのサマーシンポジウム(若手技術者ワークショップ)の開催、留学生の留学体験エッセイ(Student Voice)の発信である。
留学生向け企業説明会は2013年から毎年実施している。建設業の海外展開が進む中、留学生の採用を積極的に考えている企業も増えており、日本企業への就職を希望する留学生へ企業活動の紹介や就職に関する情報提供を行っている。
現場見学会は、2017年度まで隔年に関西地域で実施していたが、2018年度からは都内で初の現場見学会を開催した。日本国内の建設現場を見学することで、留学生へ日本の土木技術を紹介する機会としている。
サマーシンポジウムは、国内で学ぶ留学生の研究発表の場として毎年開催されており、今年度で21回目を迎える。英語での発表機会を設けることで、他大学で学ぶ留学生同士の研究交流の機会となっている。またサマーシンポジウムの一環である若手技術者ワークショップでは、国内外の若手技術者・留学生を対象とし、ワークを通じた国際交流の機会となっている。今年度は日本人も対象としている。
詳しい活動詳細については国際センターHPをご覧いただきたい。
2018年度若手技術者ワークショップ参加者
■プロジェクトグループ活動紹介
プロジェクトグループでは、①基準の国際化への取組み、②インフラ国際貢献・国際協力アーカイブスの構築、③「世界で活躍する日本の土木技術者シリーズ」シンポジウムを軸に活動している。
プロジェクトグループの詳細な活動については、国際センターHPをご覧いただきたい。
「技術基準の国際化セミナー」 第2回
■地震工学委員会がジョイントセミナーを開催
「1st NZ-Japan Joint Symposium on Structural and Geotechnical Earthquake Engineering:ISO-23469」が2018 年11月27日に土木学会、カンタベリー大学、米国土木学会の共催で開催された。
日本からは本田利器教授(東京大学)、一井康二教授(関西大学)、後藤浩之准教授(京大防災研)、羽場一基氏(大成建設(株))、吉見雅行氏(産総研)が講演者として参加した。本ジョイントセミナは日本が率先して2005年に策定したISO規格( ISO23469)の周知および発展を目的に開催された。会場であるカンタベリー大学工学部本館(ニュージーランド、クライストチャーチ)にはシンポジウム開催日27日におよそ100名が参集したほか、翌28日にはクライストチャーチ地震の被災地見学会が行われた。
詳しい報告については国際センター通信をご覧いただきたい。
セミナー参加者たち
■第13回世界で活躍する土木技術者シンポジウムの開催
国際センター・プロジェクトグループ主催「世界で活躍する土木技術者シリーズ」第13回シンポジウムが2018年12月18日(火)に土木会館講堂にて開催された。参加者数は延べ76名であった。
今回は「シンガポールの地下鉄事業と地下鉄トムソンイーストコーストラインT228工区の建設」をテーマとし、西松建設(株)がシンガポールでの地下鉄事業について紹介を行った。講演では工事概要、技術的な課題と対応、現場での工夫などが動画を用いてわかりやすく説明された。若手技術者の海外業務報告については、海外と日本の現場との安全意識の違いなど、経験者ならではの報告があった。
なお、プロジェクトグル―プは本年度も「世界で活躍する土木技術者シリーズ」シンポジウムの開催準備をしている。次回もぜひご参加いただきたい。
■都内で初の留学生向け現場見学会を開催
国際センター・留学生グループ主催の「留学生向け現場見学会」が2019年2月25日(月)に開催された。関東近郊の大学より21名の留学生が参加した。
留学生グループでは隔年に関西圏での現場見学会を開催しているが、今回は初の都内での開催となった。見学先は東日本旅客鉄道(株)にご協力いただき、埼京線ホームを山手線ホームへの並列化工事を中心とした「渋谷駅改良工事」現場を見学した。
参加留学生は大都市東京の制限された施工環境・条件を興味深く見学していた。詳しい報告については国際センター通信をご覧いただきたい。
都内で初開催となった現場見学会
■CECAR8開催直前情報
第8回アジア土木技術国際会議(Civil Engineering Conference in Asian Region:CECAR8)がいよいよ今月16日(火)~19日(金)に東京・ホテルメトロポリタン池袋にて開催される。本記事では開催直前となったCECAR8各行事の見どころについてご紹介したい。
CECAR8では会期中に、Plenary Session(基調講演)、Technical Session(論文発表)、Booth Exhibit(ブース展示)、Technical Tour(テクニカルツアー)の各種行事を予定している。
Plenary Sessionでは初日の16日(火)11:30~12:30に寺島実朗氏((株)日本総合研究所)による「22世紀の世界への視界〜21世紀のアジアが担うべきこと」と題した講演を予定しているほか、17日(水)16:00~17:00にAmerican Society of Civil Engineers(ASCE)のRobin A. Kemper会長による講演「Engineering the Future」、18日(木)9:30~10:30に関西エアポート(株)のBenoit Rulleau氏による講演「Building Resilient Airports in Asia」を予定している。講演はすべて日英の同時通訳で行う。この機会に分野を代表する専門家の貴重な講演をぜひとも聴講いただきたい。
Technical Sessionは16日(火)~18日(木)の3日間で開催する。防災・減災、インフラ維持管理、BIM・CIM、マネジメント、環境、教育など、40以上の多様なテーマセッションの準備が進んでおり、各国・地域の第一線で活躍する土木技術者・研究者が発表予定である。各セッションの詳しい日程および約240編の発表論文についてはCECAR8HP(http://www.cecar8.jp/)をご覧いただきたい。
またTechnical Session開催期間中に、ブース展示も開催する。ブース展示では約60の土木系企業、組織の出展準備が進んでおり、土木・建設業界の最新技術・動向の紹介を目的としている。展示内容は道路、トンネル、棟梁、鉄道等のプロジェクト、防災・減災、設計・施工技術、ICTなど、多岐にわたっている。会期中、ブース展示会場である「光」、「朝日」、「カシオペア」への入場は無料である。ぜひお立ち寄り頂きたい。
Technical Tourは、16日(火)~18日(木)に東京周辺のインフラ整備・運用の紹介を目的として、「東京都/新宿副都心コース」、「西新宿線立体交差視察」、「池袋周辺散策コース」、「若手土木技術者と巡る川越コース」の4種類の半日ツアーコースを準備している。19日(金)には1日ツアーコースとして、「道路交通コース」、「上下水道&隅田川下りコース」、「鉄道コース」、「東日本大震災復興視察コース」、「建設リサイクルコース」を催行予定である。各ツアーの詳しい行程についてはCECAR8HPをご覧いただきたい。
最後に会議への参加申込は、会期中も受け付けている。3月31日までのオンライン参加申込を逃した方は、ぜひ当日、会場へ足を運び、お申込みいただきたい。みなさまのご参加をお待ちしている。
CECAR8ポスター
■「技術基準の国際化セミナー」 第2回を開催
国際センター・プロジェクトグループは2018年12月12日(水)に(独)国際協力機構と共催で「技術基準の国際化セミナー」第2回を土木会館講堂で開催をした。総参加者数は延べ39名であった。
今回のセミナーは「道路分野における維持管理技術の海外展開」と題し、高城 信彦氏(大日本コンサルタント(株))より「途上国における道路・橋梁分野の維持管理への取り組み」、藤田 仁氏(酒井重工業(株))より「途上国へのスタビライザー工法の技術移転」について、それぞれ発表頂いた。
プロジェクトグループではセミナー開催を通じて日本の土木技術の海外展開における各分野の「技術基準」適合の取り組み事例を引き続き紹介していく予定である。
第2回目となるセミナー
■若手技術者サロン 第1回を12月18日に開催
国際センター・教育グループでは2018年12月18日(火)に「若手技術者サロン ~第1回 トルコ オスマン・ガーズィー橋建設工事((株)IHIインフラシステム)~」を開催した。本企画は海外赴任経験のある若手技術者を講師として、若手の視点から海外プロジェクトの経験や苦労について深く掘り下げ、参加者とのディスカッションの場として企画された。今回は(株)IHIインフラシステム様より、小野 元嗣氏、田中 剛氏を講師としてお迎えした。
当日は軽食をとりつつ和やかな雰囲気の中、講師によるオスマン・ガーズィー橋建設工事の紹介のち、海外生活の実情、仕事に対する海外と日本の違いなど、ざっくばらんな意見交換が行われた。予定していた終了時間が延びるほどサロンは大いに盛り上がった。
参加者の中には海外勤務を志向している若手技術者も参加しており、実際に海外でのプロジェクトの実情や体験を聞くことができたことは、参加者にとって有益な場であったことがうかがえる。
本企画の詳しい報告については国際センター通信をご覧いただきたい。
■CECAR8 テクニカルセッションのご紹介
いよいよ来月4月16~19日に第8回アジア土木技術国際会議(CECAR8)が東京・池袋にて開催される。CECAR8では会期中の3日間、テクニカルセッションを開催する。約50のセッションが設けられ、約240編の論文が発表予定である。各国のキーパーソンによる発表や産官学の枠を超えた横断的なテーマセッションも予定している。各セッションの詳細についてCECAR8ウェブサイト(http://www.cecar8.jp/)のPreliminary Programをご参照いただきたい。
CECAR8ロゴ
■第6回 留学生向け企業説明会
留学生グループは、毎年留学生向け企業説明会を東京・土木学会講堂で開催している。第6回となる今回は2018年11月17日(土)に開催し、延べ32名の留学生が参加した。
企業説明会は2部構成の形をとり、第1部では独立行政法人国際協力機構の金縄知樹氏から、「JICA's Activities」と題し、ご講演いただいた。続いて清水建設(株)に就職した元留学生のNeupane Chandra Ram氏からは就職後、自身が携わったプロジェクトをご紹介いただいた。
第2部ではそれぞれ参加企業7社から各社の業務内容、雇用外国人数、プロジェクトに関するプレゼンテーションが行われた。その後、各企業のブースにて留学生が積極的に意見交換をする姿が見られた。参加企業の中には本企画を通じて就職をした元留学生の姿も見られ、参加者にとって、自らのキャリアパスを考える上で有意義な機会となっていることがうかがえる。
ブース懇談にて
■CECAR8 テクニカルツアーのご紹介
2019年4月16-19日、東京・池袋にて第8回アジア土木技術国際会議(CECAR8)が開催される。会議期間中、参加者を対象とするテクニカルツアーを実施する予定である。わが国の最新土木技術、防災、維持管理、道路、上下水、鉄道などをテーマとする半日ツアーコースを4種類、1日ツアーコースを5種類、準備している。参加希望者は会議参加登録が必要である。各ツアーの詳細はCECAR8ウェブサイト(http://www.cecar8.jp/)をご参照いただきたい。
警視庁交通管制センター(鉄道コース)
芝浦水再生センター(上下水コース)
■第2回 JSCE-CCESジョイントシンポジウム
2018年10月24日~28日、中国・上海で橋梁工学とトンネル工学をテーマとする第2回 JSCE-CCESジョイントシンポジウムが中国・上海で開催された。本シンポジウムの目的は両国、各分野の技術者・研究者が集まり、知見を共有し、最先端技術や課題の解決について議論をすることである。第1回は2016年10月に日本・東京で開催された。
今回も藤野陽三教授(横浜国立大学)、上田多門教授(北海道大学)に座長を務めていただき、多数の技術者・研究者が参加した。また25日には岩城一郎教授(日本大学)、小西真司氏(早稲田大学、東京地下鉄(株))がそれぞれ基調講演を行った。本シンポジウムの詳細な報告については国際センター通信をご覧いただきたい。
■大韓土木学会(KSCE)年次大会に参加
2018年10月17-19日に、韓国・慶州市にて大韓土木学会(KSCE)の年次大会が開催された。土木学会からは、土木学会副会長・国際部門主査理事 須野原豊氏((公社)日本港湾協会)、土木学会国際センター 国際交流・韓国グループリーダー 江上和也氏((株)エコー)と曽根真理教授(東洋大学)、KSCEの招待により森本章倫教授(早稲田大学)が参加した。
国際ラウンドテーブル(IRM)では、“Smart City Technology for People and Environment”をテーマに、韓国、台湾、日本、中国、香港、パキスタンの専門家が集まり、それぞれの国・地域におけるSmart City導入の取組みを紹介した。日本からは、森本教授と曽根教授が、異なる視点から日本の事例を紹介した。各国の発表を通して、社会環境やステークホルダーのニーズの違い、更に、導入によってもたらされる生活スタイルの変化とそれに対する期待と懸念もうかがい知ることができた。
次に、Civil Engineering Leader’s Network (CELeN)主催による若手セッションが開催された。第1部では、韓国の企業に就職している若手外国人技術者が自分自身の就職体験やこれまでに従事したプロジェクトを紹介した。第2部では、韓国語によるプレゼンテーションコンテストが実施された。若手が自ら企画運営し、積極的に参加している姿が印象的であった。
初日のウェルカムレセプションにてHong-Taek Kim KSCE会長(中央)とともに
■CECAR8 ブース展示のご紹介
2019年4月16-18日、東京・池袋にて第8回アジア土木技術国際会議(CECAR8)が開催される。会議期間中、同会場でブース展示も行う。出展者は、ゼネコン、コンサルタント、鉄道・道路・電力会社、NPO、自治体等約60の組織が出展する。
出展内容は、道路、トンネル、橋梁、鉄道等のプロジェクト、ICT等の新技術、維持管理、防災・災害対応他と多岐にわたり、土木・建設業界の最新の動向を知る機会となるだろう。
一般の方々にも気軽に立ち寄っていただけるようブース見学は入場料が無料である。一般の方々にも気軽に立ち寄っていただき、“土木”がいかに日常の生活に根差しているか感じていただけるだろう。
■【開催速報】基準の国際化セミナー・第9回JOPCAセミナー
国際センター・プロジェクトグループは国際港湾交流協力会(JOPCA)と共催で標記セミナーを2018年11月7日(水)に土木会館講堂で開催した。
本セミナーは「技術基準の国際化へ向けた取り組みと課題 ~港湾での取り組みを中心に~」をテーマとして、港湾分野における技術基準の国際化の取り組みの現況や課題を紹介した。セミナーを通じて産官学の連携強化の意義を強く感じた。
なお、総参加者数は延べ89名であった。最後にセミナー実施にあたり、関係各所に深く感謝申し上げる。
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