「鉄道工学連絡小委員会」は、環境、エネルギー、安全そして経済性の面で今後その技術的進展が大いに期待される鉄道技術の発展に向け、技術者の連携を強化し、鉄道の性能の保持と向上に関する研究を推進することを目的とします。
構造工学委員会においては、鉄道工学連絡小委員会(過去:鉄道力学小委員会および鉄道構造小委員会)が活動し、鉄道工学シンポジウムの開催、各研究会活動など、多大な実績を挙げました。特に、鉄道構造関係の国際会議については、国内に窓口がなく個別に対応しておりましたが、2000年に「車輪レールの接触力学」シンポジウムを機械学会と共催しました。このように活動実績を重ねる中で、鉄道は構造、計画と土木の各分野にまたがる分野横断的な性格を有することから、結果的には見送られたものの「鉄道システム工学委員会」設立を2004年9月に申請いたしました。
現在、京都議定書の発効などを受けて環境負荷の小さい鉄道の魅力向上は一層喫緊の課題となり、コスト低減や機能向上の新たな取り組みと、マネジメントや政策との新たな連携が模索されております。また台湾新幹線のように、わが国の鉄道技術が海外から注目され、将来の戦略商品に育つ可能性を有しており、このために専門領域をこえた総合的見地に立ち、国際的視野を持った技術者が求められております。
過去の中越地震においては、新幹線営業列車初の脱線が大きな衝撃を与えましたが、一方で人身事故に至らなかったことは大地震における安全・安心に光明を与えるもので、これらの原因を分析し今後に発展させる必要があります。また、復旧工事の迅速さと耐震補強の成功は、土木技術者全体に対する社会的信用を高めるものであり、この背景にある技術力と協力体制の持続発展についても、学会が貢献できるところが大きいと考えます。
このような背景を踏まえ、社会基盤のひとつである鉄道の機能を一層向上することが、土木学会に課せられた使命であるとの認識から、構造力学にその基礎を置きながら、分野横断的な連携を強化することをめざし、連絡小委員会として設立されました。
鉄道工学連絡小委員会は、鉄道工学シンポジウム、鉄道技術・政策連合シンポジウム(J-Rail)などにおける土木学会内外と共同した研究企画開催、講演論文集発行などを推進しております。また、上記の背景を踏まえ、鉄道工学の最新研究や技術開発に関する情報発信・共有を図り、調査・研究の推進などを通じて議論を深度化し、学会内外の技術者に新たな研究の発想を提供することを企図いたします。