マタディ橋は、有史以来始めてコンゴ河にかけられた本格的な橋梁です。大西洋から約150kmコンゴ河を遡上した港町マタディに日本の借款・技術協力で建設され、日本とコンゴの友好のシンボルとしてコンゴ社会に根付き、その存在感は非常に大きいものがあります。
マタディ橋は、完成の数年後に発生した紛争・動乱による混乱から技術協力に携わる日本人が撤退し、現在まで既に21年経過しているにもかかわらず、コンゴ人だけで吊橋という特殊な鋼構造物の維持管理を実施し供用していることが、我が国の技術協力の常識からすると希有の例として注目されています。こうした評価を受ける背景には、プロジェクトの実施・建設に携わった、当時の産・官・学の様々な人々が一体となった推進体制および日本とコンゴの間で切れることなく繋がっていた絆の存在があります。
昨年、マタディ橋に建設プロジェクトに異なる時期や立場で携わった日本人技術者が現地を訪れ、橋梁が今もその機能を十分に発揮していることや地域開発ならびに広域流通網の確保に大きく貢献していることをつぶさに認識し、プロジェクトが再評価されるべきであるという思いを新たにしました。
とかく過去の案件は忘れ去られることが多いですが、多くの歴史的な案件を検証し学ぶことより得られる知見は、今後進めようとしている海外の大規模インフラプロジェクトの関係者のみならず広く国際活動に興味を持つ方々へ参考となるために、下記のとおり報告会を開催します。
なお、報告会終了後に出席者による懇談の場を設けておりますので併せてご参加をお願いいたします。
2012年4月
「マタディ橋を考える会」発起人
山本 卓朗・土木学会会長
小西 淳文・国際協力機構経済基盤開発部長
森地 茂・政策研究大学院大学教授
伊藤 学・東京大学名誉教授
林 康雄・東日本旅客鉄道常務取締役
注:OEBKとは、コンゴ政府運輸通信省所管の「バナナ・キンシャサ施設公団Organization pour l’Èquipment de Banana-Kinshasa」の略である。
◆申込みフォーム
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マタディ橋報告会案内.pdf | 945.72 KB |