土木学会 第102代会長
磯部 雅彦
皆様、新年を迎え心新たに期待と抱負を膨らませていることと思います。謹んで新春のお慶びを申し上げます。
昨年は土木学会創立100周年の年であり、会員や市民に身近な8支部の行事を全国で間断なく執り行い、各地でのさまざまな催しを成功させ、それらの象徴となる11月21日の記念式典・祝賀会を皇太子殿下のご臨席を賜り、国内外の要人をお迎えして盛大に挙行することができました。100周年という大きな節目にふさわしい一年とするために、労をいとわずご尽力いただいた会員諸氏ならびにご関係の皆様に深く御礼申し上げます。
この期間に、会員の皆様には、歴史を刻んだ土木の業績を再認識し、持続可能な社会の礎を築くという、今後の土木の方向性を考えるきっかけとなったのではないかと思います。また、一般市民の皆様には、近代土木の黎明期から今日までに、生活のすみずみまで拡がった土木を知っていただき、土木への理解を深める機会となったならば無上の喜びです。
さて、創立100周年記念事業と並行して、前会長を引き継ぎ会長が委員会などに参加しながら進めてきたさまざまな課題があります。東日本大震災の調査研究、災害調査、国土強靱化、社会資本の維持管理、ダイバーシティ、土木広報等です。
災害関係では、東日本大震災特別委員会を中核として、震災の記録を残し、災害を調査・分析し、復旧・復興に貢献することは、土木学会が担うべき役割であります。
昨年もまた、8月の四国の豪雨や広島の土砂災害、9月の御嶽山の火山噴火など、多くの災害を被りました。土木学会では緊急災害調査団を設置し、緊急報告会・中間報告会や全国大会での報告会などを行いました。
持続可能社会の実現のためには、災害対策や維持管理に関する調査研究が不可欠です。そのため、国土強靱化に向けた議論を進め、取りまとめを行うとともに、維持管理に関してもテキストブックの出版に向けた議論を展開中です。
また、昨年はそれまで進めていた活動を格上げしてダイバーシティ推進委員会を発足させ、男女共同参画によって女性の力が存分に発揮され社会貢献が進むための議論を行っています。土木学会内においても、理事への登用をはじめとしてさまざまな取組みを行って、自ら範を示せればと考えております。
このような、土木学会および土木界のさまざまな目標と努力を広く市民に理解いただくには、広報活動も重要であり、これまでとは違った枠組みで新たな取組みをする予定です。
新たな百年の初年となる今年もどうかよろしくお願いいたします。