諸元:橋長・幅員 559.4m×8.25m (歩道2.25m) 形式下路曲弦鋼プラットトラス橋
径間数・支間長15スパン(15×36.56)
鬼怒橋は、宇都宮市石井町と鐺山町の聞を流れる鬼怒川に、昭和6年(1931)に架けられた橋長559.4m、幅員6.0mの下路曲弦プラットトラス橋である。現在は宇都宮市管理の市道橋であるが、元々は国道123号が通っていた。
江戸期、宇都宮から石井河岸に至る街道を石井道と称していた。ここから対岸までを渡し舟で渡り、鐺山を通り笠間・水戸に至る道であり、水戸北街道とも称された。
この渡しに、最初の木造橋が架かるのは大正4年のことで、鬼怒川中流部では国道4号の鬼怒川橋に次いで2番目の橋梁である。明治41年(1908) 4月に工事に着手し、大正4年3月、6年の歳月をかけて竣工した。橋長560m、幅員7m、径間約37m、15スパンからなる秋田産の杉と棟が用いた長大な木造トラス橋であり、鬼怒橋と称された。当時は、鬼怒川の水量は多かったことから、橋脚工事など難工事であった。
しかし、木造のため腐食や老朽化が進んだことから、昭和6年9月、現在の近代的なトラス橋に架替られ、工事費24万4千円余をもって竣工する。工事期間は昭和5年6月から同6年9月と比較的短いが、これは従来の切石積ラーメン構造の橋脚および橋台を嵩上げ継足したことによる。その上に橋長560m、スパン37.2mの曲弦鋼プラットトラスが15連を架けたものであり、上部桁は横河橋梁が製作した。その橋門構には鬼怒橋の題額が掲げられ、昭和30年代まであったとされる。
昭和44年度(1969)には、現道の下流側に側道橋(2.25m)が添加される。その後、増大する交通量に対応するため、旧鬼怒橋下流地点に昭和48年度(1973)・平成2年度に上り線及び下り線専用の新鬼怒橋(2橋)が架設された。橋長584.2m、幅員は9.25mと9.75mの連続鋼鈑桁橋である。
新旧3本の鬼怒橋が架かる国道123号線。石井そして鐺山は、河岸として渡舟場としてにぎわっていた。しかし、大正4年の木橋、昭和6年の永久橋の開通によって水運から陸連の中心地として生まれ変わり、今では車の列が続いている。
出典:土木学会関東支部栃木会,『とちぎの土木遺産』p61-62,2003
宇都宮市石井鬼怒川