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ホーム › 2005年 › 大田発電所

大田発電所の解説シート

概要

名称
大田発電所
所在地
鹿児島県/伊集院町
竣工年
明治41年
選奨年
2005年 平成17年度
選奨理由
石モルタル発電所として現存する11箇所の一つ。妻側に島津家のくつわ紋が見られ、八角塔が接続する特異な構成をしている。

沿革や緒元・形式

鹿児島中央駅からJR 鹿児島線に乗り、3つ目の伊集院駅で下車する。この駅は平成の大合併で新たに誕生した日置市の中核となる伊集院町の重要な拠点となっている。伊集院町といえば鹿児島の人びとにとってすぐに妙円寺参りが思い出される町である。妙円寺参りは、島津義弘公(「関ヶ原の戦い」に参戦)の遺徳を慕い、旧暦の9月14日夜に甲冑を着けて鹿児島の城下から約20kmの道のりを歩き、妙円寺(現、徳重神社)へと参拝する行事である。江戸時代から続いている行事で、鹿児島の三大行事の1つと言われており、伊集院町は島津家とゆかりの深い町の1つとして異彩を放っている。

この地には、島津家と深いかかわりのある土木遺産、大田発電所が存在する。大田発電所は1908(明治41)年に竣工し、送電が開始された。これをつくったのは島津家であり、当時は島津発電所と呼ばれていた。伊集院駅から距離にして約3.5kmの地点にあるから、徒歩でゆっくり歩いても約1時間で到着する。県道24号線(鹿児島・東市来線)を南西に800mほど下り、その後西北に歩いて行くと2.5kmほどの地点、神之川の少し南に左折できる細い道がある。そこから300mほどさらに歩を進めると、右側に大田発電所の取水堰が見えてくる。そのまま道なりに大田発電所の直前まで川と水路沿いに約700m歩く。そのうち、道が大きく左にカーブし、下り始める。するとすぐに、フェンスで囲まれた発電所の変電施設が目に入ってくる。車で来るとこれに目を奪われてしまい、すぐ隣にある大田発電所に気がつかずに通り過ぎるかもしれない。それくらいひっそりと佇む建物である。初めて訪れた人は、この地点に発電所があることに驚くし、その形のユニークさに目を見張ってしまうようだ。無骨なものと先入観のあった土木構造物であったが、「思いとは異なっている。形が面白い。由緒正しい。歴史的価値も高い発電所である(現在は、立看板が設置されており大田発電所の概要を知ることができる)」と思いがめぐり、これらによりさらに興味と親しみを覚えるようである。

島津家が大田発電所をつくったのは15km北にある串木野の神岡鉱山(金山)に送電するためであった。つくられた当時の発電所は石づくりであったが、後に柱部分を除いてモルタルが吹き付けられている。そのため、現在は石とモルタルの発電所になっているが、後年、九州電力の協力のもと内部の漆喰をはがしたところ、中から石組みの壁が現れてきた。建屋は切妻部分の両側にくつわ紋(丸に十の字)が取り付けられ、島津家とのかかわりを示している。この発電所は矩形の建屋の一隅に六角形の塔が付随した特異な形をしており、全国的に見てもこのような形状の発電所は他に見当たらない。ここには執務室があったらしい。

先のカーブ付近に轟隧道と彫られた石づくりの取水口があり、そこから落差約20mの導水管が大田発電所まで続いている。轟隧道は明治時代の姿をほぼそのままに残しているのであろう。石に傷みが見受けられるが、ここにもくつわ紋が誇らしげに彫られており、島津家とのゆかりの深さが伺えるものとなっている。

諸元
使用開始日 1908(明治41)年10 月15 日
最大出力 550kW
最大使用水量 3.62㎥/sec
最大有効落差 19.96m
水車形式 横軸フランシス(1 台)
建物構造 石造り
建物寸法 幅11.6m ×奥行14.5m ×高さ9.2m

(出典:閑寂のくつわ紋と大田発電所,二宮 公紀,土木学会誌91-8,2006,pp.60-61)

所在

鹿児島県日置市伊集院町(神之川水系神之川)
 

保存状況など

 

見どころ

 

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