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ホーム › 2004年 › 山の田浄水場群

山の田浄水場群の解説シート

概要

名称
山の田浄水場群
所在地
長崎県/佐世保市
竣工年
明治41年
大正15年
選奨年
2004年 平成16年度
選奨理由
佐世保市の水需要を支えてきた施設。敷地内にある様々な構造物は明治期、大正期の建物の様式を残しており、意匠的な工夫が見られる。

沿革や緒元・形式

1889(明治22)年,自然景勝地としても広く知られる佐世保に,第三海軍区鎮守府が置かれた。それ以来,佐世保は西海鎮守の軍港都市としてめざましい発展を遂げた。佐世保市内や周辺地域には旧海軍関連の施設がいまなお点在し,旧佐世保海軍工廠船梁,旧海軍凱旋記念館,旧針尾電線電信塔など,当時の土木建築と軍事の関係を理解する上でも有効な近代化遺産となっている。

横須賀,舞鶴,呉と同様,佐世保においても鎮守府設置の決定によって軍港水道がいち早く創設された。1889(明治22)年に竣功した佐世保初の近代水道は軍港内山腹の炭鉱廃坑湧水を水源とした簡易なものであったが,その後の鎮守府拡張に伴い,1900(明治33)・1901(明治34)年には岡本貯水池と矢岳浄水場(戦後廃止)がそれぞれ新設された。さらに日露戦争後の軍備拡張による使用水量増大を背景として,精選された良質の自然土によって構築された土堰堤・山の田ダム,当時最新鋭の濾過用砂洗機をもつ濾砂格納庫とともに,「山の田第一浄水場」が1908(明治41)年に竣功する。

岡本貯水池は在来の灌漑用地下湧水を利用するものであり,近代水道貯水池としては珍しい真円形の平面をもっている。これと山の田貯水池を比較するだけでも,利用水源の違いによる貯水池形態の相違,あるいはわずか7年あまりの間に達成された当時の技術的進歩を直接見ることができ,たいへん興味深いが,山の田浄水場敷地内にはさらに明快な時代の積層が読み取れる。1926(大正15)年に佐世保市によって新たに完成した「山の田第二浄水場」は,山の田貯水池の軍事余水を分水するため,第一浄水場に隣接して設置されているのである。敷地内にある「麗泉」の文字の刻まれた配水池および濾過井上屋もこのとき整備されたものであり,大正建築さながらの古典主義の意匠が施されている。一方,この新しい市民水道の設計平面図では,隣接する軍港水道の第一浄水場が完全に消去されている。

このほか山の田浄水場内には,木造下見板の水質管理係事務所棟,1940(昭和15)年の拡張事業時に整備されたと思われる煉瓦造の濾過井上屋,また浄水場周辺地域では浄水場から200mほど西の導水線上にある煉瓦造の量水井上屋,1901(明治34)年に市内堺木・野中の2か所に設けられた減圧井(いずれも現在は使用されていない),1940(昭和15)年の水道拡張事業にあわせて竣功し山の田浄水場にも一部送水している菰田貯水池,さらには海軍の錨マークが施された排気弁蓋など,ユニークな施設群がそれぞれの関係を保持しながら今なお存在し続けている。
これらには個々の機能的・意匠的な価値のみならず,佐世保市ひいては日本の近代上水道システムの発展史が階層的に反映された近代システム遺産群としての価値も十分見出されよう。将来の保存活用においても,このように施設の複合体として近代化遺産を捉える方法が検討されてもよい。近代上水道システムにおいてはこの視座が特に有効となろう。

ここ数年,山の田浄水場は佐世保をアピールする上でもう一つ重要な役割を演じている。さまざまなドラマのロケ地として,浄水場内の施設が映し出された。近代化遺産の形成する空間がこのように芸術や演劇,ドラマなどの舞台として利用されるケースは近年の趨勢であるが,本稿では近代化遺産のもう一つの可能性を示唆する出来事として言及するにとどめたい。
なお,1956(昭和31)年発行の佐世保市史には,九十九島の袋ヶ浦,市内中央公園とともに,桜の美しい“行楽地”として山の田水源池が紹介されている。

(出典:土木紀行 山の田浄水場 軍港水道から市民水道へ,岡田 昌彰,土木学会誌90-3,2005,pp.66-67)

所在

長崎県佐世保市

保存状況など

 

見どころ

 

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