令和3年度より環境工学委員会委員長を務めております、北海道大学の岡部聡です。この2年半は新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、これまでの委員会活動を縮小・変更することを余儀なくされてきました。このような状況の中、これまでの委員会活動を振り返り、総括と進むべき方向性を再考し、我々にできることをできる範囲で実施することが重要かと思います。木村克輝幹事長、環境工学委員会運営幹事および委員の皆様ともに、環境工学委員会を運営して参ります。環境工学委員会活動に携わる研究者・技術者の皆様のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
環境工学委員会の活動のメインイベントの1つは、環境工学研究フォーラムの開催です。このフォーラムは歴史が古く、1964年から始まり今年の開催で59回目を迎えます。以前は衛生工学研究討論会と称されていますが、原著論文を投稿し、それに対する討議を行うスタイルは基本的には現在と変わりありません。しかし。初期には発表論文に対して、2名からの討議文(論文内容に対する公開質問・コメント)が付加され、著者らはこれに対する対応が求められていました。現在も、J-Stageで衛生工学研究討論会講演論文集の1964年第1巻から閲覧することができますので、是非ご覧いただきたいと思います。日本の衛生工学・環境工学を創成・牽引してこられた数多くの偉大な先生方の魂のこもった論文(多くの論文はまだ手書きです)と厳しい質問・コメント列挙された討議文が拝読でき、当時の検討会の様子が容易に想像できます。また、その当時の衛生工学分野のホットな研究テーマが意外にも現在の研究テーマと近いものもあり驚かされます。1964年の第1巻は計8編、1965年第2巻は10編、・・・1974年第10巻19編・・・1982年第18巻35編と徐々に論文数が増加し、昨年の第58回は58編(コロナ禍の影響もあり前年度から大幅減少)となっております。
この伝統ある環境工学研究フォーラムの精神を受け継ぎ、日本の環境工学分野のさらなる発展につながるよう活性化させていくことが重要だと考えます。この環境工学フォーラムでの発表・議論を基に、その成果をさらに発展・進化させ国際的に情報発信を行うことができればと考えます。IFを伴う国際誌への投稿が優先される今日、環境工学研究フォーラムを活性化するためには、フォーラムの開催方法や規則・制度の変更等が必要かもしれません。しかしながら、やはり皆様の積極的な論文投稿・発表、討議参加が基本であり、この時代だからこそ“みんなで盛り上げていこうという情熱”が最も重要だと思います。来る第59回大会は3年ぶりに岩手県盛岡市で現地開催される予定です。多くの皆様のご参加をお待ちしております。
環境工学委員会委員長
北海道大学大学院工学研究院環境工学部門
岡部 聡