令和7年度より環境工学委員会委員長を務めさせていただきます、京都大学の伊藤禎彦です。土木学会環境工学委員会は、上下水道システム、水処理・廃棄物処理と資源回収・循環の要素技術、水圏・気圏・地圏環境系の管理・制御などの研究領域を担っています。現在、気候変動による様々な影響が顕在化している中、循環型社会の形成、脱炭素化社会の構築と実現が強く求められています。また、わが国においては人口減少局面が定着していることから、従来の環境問題の捉え方や環境インフラの整備においても新たなコンセプトが必要とされているところです。さらには、デジタル化、AI活用などへの社会的関心や要請も強いところです。すなわち、本委員会の活動は、単なる「処理技術」を扱うのではなく、これらの社会環境の変化に機敏にかつ柔軟に対応していかなければなりません。
本環境工学委員会は、これまでわが国の環境工学に関連する学問ならびに技術を支えるとともに、多くの有為な人材を育成・輩出することに貢献してまいりました。この伝統ある環境工学委員会の精神を受け継ぎつつ、皆様とともに本委員会の活動を盛り上げ、その社会的使命を果たして参りたいと存じます。本委員会の活動に携わっていただける研究者・技術者の皆様方のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
環境工学委員会の活動のメインイベントは、「環境工学研究フォーラム」の開催です。このフォーラムは長い歴史をもち、1964年に始まり今年の開催で62回目を迎えます。当初は「衛生工学研究討論会」と称され、審査付き原著論文に対しては、あらかじめ討議者を指名して学術的に深い議論を行っていたほか、論文集にはその討議内容を1頁にまとめて論文と併せて掲載していました。その伝統は現在も引き継がれており、他の学協会の研究発表会とは異なって十分な討議時間を確保しているのが特徴といえます。
一方、現在では、【審査付論文A】と分類している発表論文は土木学会論文集G(環境)の特集号としてJ-Stageに収録されるようになっています。また、【自由投稿発表】と【環境技術・プロジェクト】の発表カテゴリを追加し、大学院生および企業の方々が参加および論文発表しやすいように工夫しています。来る第62回環境工学研究フォーラムは多くの企業からの賛助をいただきながら、2025年12月3日~12月5日に宮崎市で開催される予定です。2日目に開催する一般公開シンポジウムは、市民の方々にも広く公開されるイベントですが、こちらの方も魅力あるテーマを取り上げる予定でおります。皆様の多数のご参加をお待ちしております。
環境工学委員会委員長
京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻
伊藤禎彦