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「“土木のアカウンタビリティ”を訴求せよ!」

投稿者:土木広報センター 投稿日時:水, 2024-08-14 14:19

全国土木弁論大会2024「有馬優杯」 奨励賞

「“土木のアカウンタビリティ”を訴求せよ!」 吉川 弘道

私は、この15年間、いわゆる土木広報について真剣に考え、具体的に行動して参りました。その集大成として、昨年7月に、1冊の図書を平凡社から出版し、土木学会出版文化賞を受賞しました。

そんな折り、本日の弁論大会について出場のお誘いがありました。年も年だし迷っていたのですが、締切り2時間前に決断しました。論題として、“土木のアカウンタビリティ(日本語では、説明責任)”、つまり我々土木のベテランからの情報発信、プロフェッショナルからの情報提供について考えてみました。その時は、気持ちが高ぶっていて、いま思うと、随分重いテーマでした。

さて、今年の5月ころ、土木で話題になったテレビドラマがあります。テレビ朝日の「Believe -君にかける橋-」という番組で、キムタクドラマということでも話題になりました。
このドラマでは、巨大なニールセンローゼ橋(道路橋)や碓氷第3橋梁(めがね橋)が登場し、それだけでも、土木界にとっては大歓迎です。
番組開始に先立ち、ビジネス系WEBメディアから取材依頼があり、私自身にも、思い出深いテレビドラマでした。橋梁工学そのものは、必ずしも専門分野ではないのですが、真摯に、そして分かりやすく応えました。こたえたつもりです。

私には、ときどき、テレビ局からの問合せがあります。何故か、いきなり携帯にかかってくることがあり、戸惑うことがありました。例えば、熊本地震では、現地の被災家族の声を直接聞きました。JR山の手線のアメ横高架橋の耐震補強(JR東日本のラーメン高架橋)に際して、現地取材に同行しました。Yahoo!ニュースにも記事を書きました『土木が原風景となる時』。

そのなかで気が付いたのは、土木全体で、きちんと情報提供していないのではないか?情報発信していても届いていない/理解されていないのではなか?あるいは、土木の分野が広い、土木の領域が多過ぎて、とても追いつかないのでないか。これが本日の弁論のスタートポイントです。

ただ、一方では、これまでの取材や研究会、あるいは飲み会を通して、いわゆるプロフェッショナルと交流をしてきました。その中で、かれらの自慢話しも、たくさん拝聴しました。

例えば、”私は、大断面シールドトンネルのプロです”、⇒大手ゼネコンの部長です

例えば、”私の部署では、スタッフ8名で、PC橋を30橋、設計しました”⇒建設コンサルタントです

“私は、トラス構造の神様”、大手の建築事務所のチーフエンジニアです。

などなど、たくさんのベテランエンジニアを知っています。かれらの手柄話しは、本当に心躍る思いでした。

ただ、その体験が、その生の声が、外部に伝わっていないのです。さらには、高校生/大学生など次世代に届いていないのではないか。つまり、“土木のアカウンタビリティ”が不足している、欠落していると考えました。そして、もっと積極的にアピールせよ、訴求せよ、ということが本日の弁論の主題です。

ここで、accountability(日本語では、説明責任)といったら、言い過ぎでしょうか。

はい、ちょっと言い過ぎですね。ただ、そういうことを真摯に考え、具体的に行動アクションするベテランエンジニアがいてもおかしくない。そんな奴(すみません、学生は“やつ”って使うのですね。気が付いたら、私が使っていました)そんな奴が出てきたら、まじでガチで応援しましょう、ということが、私の弁論の結論です。さらには、この会場の皆さん、オンラインの皆さんも、いつかは、その時が来ることを自覚してください。

いよいよ時間です。弁論の締めとして、『じゃ、吉川先生、あなたが具体的に事例を示し、その先兵となればいいじゃないですか』というエールを頂くことで、結論させてください。

改めて、「はい、わたくし吉川が、土木広報のプロフェッショナルとして、走り続けます。ライフワークとしては、鉄筋コンクリートと耐震設計のプロとして珠玉の講義を継続します。土木のアカウンタビリティを提唱/実践する先兵として、頑張ります」

ドイツの哲学者ニーチェが、こんなことばを残しました。

『世界には、きみ以外には誰も歩むことのできない唯一の道がある。その道はどこに行き着くのか、と問うてはならない。ひたすら進め。』

私自身への励ましのことばであり、同時に、皆様におくる言葉でもあります。

もう一つ、マザー・テレサの、こころ安らぐ言葉を披露します。マザーテレサは、日本でも講演しました。1979年のノーベル平和賞受賞者ですね。

『神様は、私たちに成功してほしいなんて思っていません。ただ、挑戦することを望んでいるだけよ』
私自身へのエールであり、皆様におくる言葉でもあります。

本日は貴重な機会を与えていただき、ありがとうございます。
土木のアカウンタビリティという、新たなメニュー、あらたなレシピを見つけた思い出です。
ご清聴ありがとうございました。

 

(c)Japan Society of Civil Engineers