全国土木弁論大会2026 オーディエンス賞
「披星戴月」 小佐川 凜
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突然ですが、みなさんは最近、しっかりと休めていますか? 暑い日が続きますので、うまく寝付けていない人もいるのではないでしょうか。 かくいう自分も寝不足でして、実は今日も、夜勤明けでこの弁論会場に駆けつけました。少し眠そうな目をしているかもしれませんが、心はどの弁士よりも熱く燃えています。なぜなら私は、大学1年の夏から3年間、インフラを足元から支える「警備員」として現場に立ち続けてきたからです。 しかし、その美しい言葉の裏側で、私たちが立つ現場には、見過ごせない歪みが存在しています。今日は、住民のみなさまと土木の現場を繋ぐ存在である、警備員が抱える現実について、みなさんと一緒に考えていきたいです。 現在、交通誘導警備の現場は極めて深刻な危機に瀕しています。担い手不足と高齢化が進み、実際に現場を見渡せば、60代、70代のシニア層が多く働いています。 そして、過酷な労働環境。厚生労働省の統計でも、職場における熱中症死傷者数は、建設業と警備業が常にワースト上位を占めています。炎天下のアスファルトの上で数時間立ち続ける交通誘導は、まさに命がけです。 私たちは現場でしばしば、「下請けの下請け」、あるいは「ただの配置人員」として扱われます。 ここで、私の忘れられない経験をお話しさせてください。 この言葉に、現場の歪みが凝縮されています。 国のガイドラインには、熱中症の「搬送者数」は記録されても、彼らが「なぜ、もっと早く休めなかったのか」という心理的な理由は記録されません。しかし現実には、数字には表れない、空気が存在する。 では、なぜ、このような分断が生まれてしまうのでしょうか。 それは、私たちが「何のためにそこにいるのか」という本質が共有されていないからです。 警備員は、単に車を誘導する機械ではありません。工事への手厳しいクレームを最初に受け止めるのも、道を尋ねる子供たちに笑顔でルートを案内するのも私たちです。 私が理想とするのは、現場に関わるすべての人が、お互いの専門性を認め合い、目を配り合える社会です。 だからこそ、土木の現場で働かれている皆様にお願いがあります。 そして、土木業界以外のみなさまにもお願いがあります。工事現場の横を通り過ぎるとき、ほんの少しだけで構いません。誘導灯を振る警備員に視線を向け、小さく会釈をしてみてはくれないでしょうか。 私が3年間、警備員として働いていて一番嬉しい瞬間。それは、人から貰う「ありがとう」の言葉です。 それは作業員さんからのぶっきらぼうな感謝かもしれないし、登下校中の子供たちからの元気な声かもしれない。あるいは、この会場にいるあなたからの言葉かもしれません。 普段は表立って話す機会のない、いち警備員に、このような提言の場をいただき、本当にありがとうございました。 では最後に、みなさま。明日も、明後日も、その先も。 どうぞ、ご安全に! |