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「人の心の中に『土木』がある」

投稿者:土木広報センター 投稿日時:木, 2026-08-20 12:00

全国土木弁論大会2026 奨励賞

「人の心の中に『土木』がある」 法華津 和徳

今日、私は一つだけ決めたことがあります。

この弁論大会のおかげさまで、私は、土木と向き合う時間をいただきました。
道路、橋、トンネル、鉄道、上下水道、ダム、堤防、港。
まだまだたくさんありますが、どれも私たちの暮らしには欠かせません。
土木のおかげで、私たちの暮らしが成り立っています。

私は、上京して12年間、講師・カウンセラーとして、人と向き合う仕事をさせていただいています。
その前は、地元・北九州で20年間、壁紙を貼るクロス職人として住宅工事に携わっていました。
若い頃の私は、一対一で話すことも、人前で話すことも苦手でした。
うまく話せない私はとても営業職なんてできない。
だから、手に職をつけよう!職人になる!
そう決めた私は、何の職人になるか父に相談しました。
「和徳。お前、クロス屋になれ!」
父のその言葉のおかげで、クロス職人の親方に弟子入りし、職人の道に進みました。
おそろしいほど要領わるくて不器用な私でしたが、
父譲りの愚直で真面目な性格のおかげで、とにかく親方にかじりついて、弟子に徹しました。やがて、職人としてやっていけるようになり、親方と二人1組のコンビとして、結果的に1000棟以上の新築のクロスを貼らせていただきました。
自宅と現場の移動の毎日でした。車で道路を走らない日はありません。
私達は、北九州の隣、山口県下関の工事もかなりやりましたので、関門トンネル、関門海峡も数えきれない程使いました。
つまり、土木のお世話にならない日はありません。
インフラが整っていない中で、住宅は立ちません。
土木のおかげさまで、お客様の夢と愛の結晶であるマイホームをつくる一員として、私はクロス職人をやりきることができました。
本当にありがとうございます。
そして、仕事は変わりましたが、今現在も、土木のおかげさまで、東京で、人生をおくることができています。

人生を振り返る中で、私はどれだけの人達に支えられて、守られてきたのかを、それが全然わかっていなかったことに気づきました。
自分が、頑張って頑張って頑張っているときは、
どうしても自分にベクトルが向き、「オレは頑張ってる!」「生きてる!」って思ってしまいますが、
それ以上に、「オレは生かされて、ずっと見守られてきたんだ」という事実にきづけました。
父は、ある大手建設会社の現場監督でした。
住宅だけでなく、店舗や色んな建物を作ってきました。
作業服に身を包み、愚痴や不平不満は一切漏らさず、ひたすらプロとして現場を回し続けた父の背中を見て、私は育ってきました。
人と人の間に入り、誠心誠意尽くして、仕事を全うする
そんな父の姿が、ずっと私の心の中に生き続けいます。
職人を辞めた今の私は、心の専門家・佐藤康行先生が開発した「美点発見」というメソッドを広げる仕事をやっています。
美点発見とは、相手の素晴らしさ、自分の素晴らしさをひたすら紙に書き出すというシンプルな方法です。
おかげさまで、今日は、土木を通じて、父の美点を深く深く見つけることができました。

父が他界してもうすぐ丸四年になりますが、ずっとわたしの中で生き続けています。
それと同じように、土木も、土木に関わった全ての人たちの心が、魂が、いのちが、土木の中にずっと生き続けているんじゃないでしょうか。私はそうとしか思えません。
「あの川、海を渡りたい」
「愛する人がいるあの場所に行きたい」
「故郷にかえりたい」
そんな「愛」の欲求が、形となってうまれたのが「土木」だと思います。
だから、心はずっと生きているんだなと。

今日は、ただただこの一点のみをお伝えしたかったのです。
私を、私たちを生かしてくれているすべてのすべての皆様、本当に、本当にありがとうございます!

分類: 
全国土木弁論大会

(c)Japan Society of Civil Engineers