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皆さんは、何故?土木の道を志そうと考えたのでしょうか?
私は、教員として、土木における入学者の安定的な確保が課題となっています。
現在、日本は人口減少に加えて少子高齢化が進行しています。山形県では、昨年度、県内人口が100万人を割れて大きなニュースとなりました。
建設業においては、就業者の高齢化の進行、若年層の入職者不足が問題になっています。このことは、
(1)インフラ整備における工事の遅延・長期化。
(2)自然災害における災害復旧工事の遅れ。
(3)インフラ老朽化対策の遅れなど、
日本を支えるうえで、危機的状況といえます。
さらに山形県では、冬の間、豪雪に見舞われる事から大型建設機械による除雪作業無しでは、日常生活を送ることすらできません。
『土木』は『空気』のような存在です。
日常生活において、一般の方々から意識される事は多くありません。
しかし、この土木という名の空気が無くなるとしたらどうでしょう?
今後の日本を支えるうえで重大な問題ではないでしょうか。
私は、建設会社の現場監督を経て、現職に就きました。
本校土木エンジニアリング科は、10年前に学科開設しました。
しかし、学科定員を満たしたのは、最初の3年間。その後、定員を満たす事は無く、今年度、ついに1桁代まで落ち込みました。
一部の方からは『学科名で土木』を名乗る事が定員を満たせない原因ではないか?といった意見が聞かれます。
私は、土木そのものが否定されているようで、とても悔しかったです。
年に複数回、中高生が学校見学に訪れます。
その際、私は、決まって最初にこの質問をします。
みなさんは『土木』と聞いてどのような仕事をイメージしますか?
答えは
(1)「土を掘る仕事」
(2)「大きな木を切る仕事」
(3)「建物を造るための下働き」といった答えでした…。
一度や二度ではなく、ほぼ毎回です。
学科開設当初は、『やりがい』・『達成感』に重きを置いて説明していましたが、イメージを刷新するため、最近では、最新技術である『ICT施工』にスポットを当てて説明や体験をしています。これまでのところ、生徒達の一時的な興味は引き付けていますが、入学者数確保には至っておりません。
毎年、7月末にオープンキャンパスが開催されます。事前申込みの応募人数を確認すると、他学科より圧倒的に少ない状況です。
これが毎年の事となると、切なさのあまり
『土木科に存在価値はあるのだろうか』
『学校を離れて他の業界に行ってしまいたい』
そんなことさえも考えてしまいます。
そこで改めて自分自身に問いかけました。
『私は現場監督をしていた時、土木の何に喜びを感じたのだろう?』
私の答えは
『人との出会い』そして『現場で共に過ごした時間』でした。
新潟県中越地震において災害復旧工事に従事していた時の事です。
緊急性の高い災害復旧工事のため、乗り込んだ当初は、設計図面が無く、工事に着手しても、1歩進めば3歩戻る。昼夜施工をしても出来高が上がらない。協力会社の皆さんも、目に見えて気落ちしていく様子が見て取れました。作業員さんは家族と離れ、遠く北海道からきてくれた方々でした。少しでも元気になって欲しい。そんな思いで、私は『もつ鍋』を仕込み、宿舎で一つの「もつ鍋」を囲んで、みんなで酒飲みをした時の記憶は今でも忘れられません。
工事が完成を迎えた時、達成感もありましたが、それにも増して、仲間との別れの寂しさが上回りました。
2019年、コロナウィルスの感染拡大の影響が後押ししてか、
情報端末の普及、そして様々な便利機能が充実しすぎたように感じています。
人と直接会話をしなくても日常生活が送れるようになりました。
仕事についても同様です。
こんな時代だからこそ、私はあえて問いかけたいです。
「画面越しではなく、直接、人と顔を合わせていますか?」
「画面を通した文字のやり取りだけではなく、直接、言葉を交わしていますか?」
「そして、その言葉には温度がありますか?」
土木は、元請・協力会社が混在する職場だからこそ、「人」・「出会い」・「共に過ごした時間」こそが魅力ではないでしょうか。
この魅力を、若い世代に一緒に伝えていきましょう。
私は、土木の入口部分にあたる1人の人間として、入学してくれた学生達を家族のように大切にしていきます。
そして…
土木を選んでよかった。この人と出会えてよかった。
と思って頂けるように、少人数だからこそ、一人一人にしっかり寄り添い、学生・卒業生の成長を見守り続けてまいります。
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