■趣旨
従来のIoT/AIの研究については、いかに現実世界からデータを集め、そこから有意な結果を導き出し、結果を現実世界へ反映するという、CPS/デジタルツインとのインプットとアウトプットが前提で、活用モデルが検討されてきた。そして、その中核となるAIは、高度なインテリジェンスを持つものが、全てを制御する将来像が描かれてきた。
これからの世界では、現実の世界より情報が集積・処理され表現された「超現実」を表現するメタバースから、距離の離れた人・ロボット・AIが共通の情報を得ながら、現実世界の作業を行っていくことが想定される。
また、AIの役割についても、各空間自身がそれぞれ自分の空間のインテリジェンスな情報を持つこと(スマートスペース)で、中核となるAIの負担が大幅に軽減されること、また、中核となるAI(メタAI)は1つではなく、目的別AIの集合体であり、人についてもAIエージェントをインターフェースとして、これらの世界に組み込まれていくことが想定される。
本研究では、このような現実・仮想空間・人・AIが融合した次世代の概念であるWeb4.0を、社会インフラ分野において、スマートシティや土木の現場などに当てはめる。それにより、どのようなメタバースを作り出すか、どのようなスマートスペースを作り出すか、どのような目的別AIを作り出すか、それによってどのように行動が変容していくのかなどをまとめた活用モデルについて調査・研究を行う。
■研究計画
1. Web4.0の動向調査
Web4.0に関する国際的な動向の調査を行い、Web4.0の概念についての理解を深めるとともに、先進事例において、メタバース、スマートスペース、目的別AIが、どのような役割でどのように活用されているかについて調査を行う。
2. 社会インフラ分野におけるWeb4.0の活用モデルの研究
前項の調査結果を参考に、社会インフラ分野において、スマートシティや土木の現場などを念頭に、メタバース、スマートスペース、目的別AIをどこにどのように構築することで、現実・仮想空間・人・AIが融合した最適化された作業や行動が可能になるかについて検討する。また、スモールスタートで段階的に着手すべき事項についても整理する。実現のために必要となる、業界で取り組むべき協調分野や、異業種との連携分野についての抽出も行う。
3. Web4.0に関するセミナーを開催
小委員会活動では、2年間の活動の成果を基に、土木技術者に、社会インフラ分野でのWeb4.0の活用モデルに関する情報提供を行うことを目的として、小委員会企画のセミナーを開催する。
4. 関連行事への協力
構造工学委員会が主催する、「AI・データサイエンスシンポジウム」について、投稿論文の査読や運営に協力する。また、その他の委員会や他の学会の講演や執筆にも、積極的に協力する。
■活動概要
・期 間 :2024年(令和6年)6月~2026年(令和8年)5月
・開催頻度 :1~2か月に1回程度開催
・委 員 :定員20名程度
※イベント運営、技術発表、セッション座長担当、論文査読を担当していただきます。
・小委員長 :枡見 周彦(JIPテクノサイエンス株式会社)
副小委員長:吉田 敬宏(大日本ダイヤコンサルタント株式会社)
副小委員長:本木 章平(戸田建設株式会社)
・応募締切 :令和6年5月31日
・応募先 :枡見 宛(masumi@cm.jip-ts.co.jp)にメールでご連絡をお願いします