■趣旨
インフラ構造物の維持管理の実施には、インフラ構造物の基本情報や調査、測定データを共有し、様々な比較検証を可能とすることが重要である。現在は、インフラ構造物を管理する主要機関で莫大なデータが取得・蓄積され、潜在的なビックデータとして保管されている。国土交通省では、インフラの情報共有のため“国土交通データプラットフォーム”を通して、構造物の諸元や義務化された近接目視点検の結果に関するデータを公開している。一方、インフラ構造物を保有/管理する企業では、独自の管理システムにより維持管理を実施していると考えられる。
現在公開されているデータは、個別に閲覧することは可能であるが、データ活用するには必要なデータを検索、収集し、比較検証可能な情報にする必要がある。独自に管理システムを保有する企業では、効率的に管理を行うための、連携システム、検索機能やデータ収集機能のソフトウェアを、自己組織内の閉鎖的なプラットフォームにより、活用して運用していると考えられる。
今後、インフラ構造物全般の維持管理を全国的に効率的に行うためには、ビックデータおよびローカルで活用しているソフトウェアの共有が課題である。しかしながら、公開が困難なデータや使用契約や特許を有するソフトウェアなどが存在するため、直接公開することが困難な場合も存在する。そこで、維持管理の情報を広く共有するため、公開データの取捨選択を可能とする、サービス(データ保管、検索、収集、解析、評価などのソフトウェア)自体を公開・連携させる協調の場としてのプラットフォーム(サービス連携プラットフォーム)が必要と考えられる。サービス連携はAPIを通したデータプログラムの公開となるため、公開が可能なデータを限定することや公開条件(期間、利用料)などを付しての公開が可能になると考えられる。同様のコンセプトを有するプラットフォームも公開されているものの、未だ土木業界には浸透していないのが現状と考えられる。サービス連携プラットフォームが広く浸透することで、様々なサービスが競争の中で取捨選択されて淘汰されることにより、機能が高度化進むと考える。
本研究小委員会では、サービス連携の高度化を目的としたプラットフォームに関する調査研究を実施する。本研究では、高度化するための要件/条件や機能などを整理し、課題を明確にする。また、明確になった課題に対して簡易な試行を行い、現実性の確認、解決するための要件を整理する。情報の専門技術者(主に、ディベロッパーユーザー)と土木の専門技術者であるユーザー(主に、一般ユーザー)が、サービス連携プラットフォームに関する研究を実施することで、ボトムアップ的に検証することが可能となり、広く活用される考え方になると考えている。より活用されるサービス連携プラットフォームの有り方に関する調査・研究を行い、様々な角度の意見を収集し、まとめていく。
■研究計画
1. 既存のデータ/サービスプラットフォームの調査
現存する土木分野およびそれ以外の分野に関わるデータ/サービス連携を目的としたプラットフォームについて調査を行い、活用状況、使用性等の調査を行う。
2. プラットフォームのひな型モデルの要件整理
前調査で実施した調査の結果から、より活用される協調の場としてのサービスプラットフォームのひな型モデルについて、基本機能の確認、課題の共有、実用的ユースケースに関する検討を行う
3. ひな型モデルの検証
ひな型モデル(理論と試作)を考慮したサービス連携に関する簡易な事例を作成し、連携の可能性、連携方法の検討、課題整理を実施する。
■活動概要
・期間:2022年(令和4年)10月~2024年(令和6年)5月
・開催頻度:1~2か月に1回程度開催
・委員:定員25名程度(設立当初は10名程度)
異業種(重工、電機、情報等)からの委員を募集しております
※ 情報収集、事例提供、イベント運営等を積極的に行える方
※ 応募者が定員を超えた場合、オブザーバ等での参加をお願いする事があります
・小委員長: 山根 裕之(伊藤忠テクノソリューションズ 株式会社)
副小委員長:河村 圭(山口大学大学院)
副小委員長:平井 秀明(株式会社 リコー)
副小委員長:澤田 純之(株式会社 安藤・間)
・応募締切:令和4年11月4日
・応募先:山根宛(hiroyuki.yamane@ctc-g.co.jp)にメールで御連絡をお願いします。
以上