2010.6.4 制定
土木学会論文集D1(景観・デザイン)(以下、本分冊)では、美しい国づくりや魅力ある地域づくりのための学術、技術、芸術に関する、幅広くかつ現実的な議論、知の研鑽および蓄積の場を提供します.狭義の学術研究の枠に留まらず、設計・計画及びマネジメントなどに関する創造的な技術やアイディアから、景観およびデザインに関する深い思索をも対象とし、さまざまな専門分野・立場の方々による知的創造に満ちた多様な原稿を募集します.
これらの目的や特質に照らして、この「土木学会論文集D1(景観・デザイン)編集方針(以下D1編集方針)」では、本分冊が重視する視点を明示し、さらに、4種類の投稿カテゴリーの設置を定めています.なお、このD1編集方針で定めた投稿カテゴリー毎に重視する査読細目を、「土木学会論文集D1(景観・デザイン)査読の手引(以下、D1査読の手引)」に示しています。また、投稿カテゴリーの詳しい位置づけを「土木学会論文集D1(景観・デザイン)投稿カテゴリーと投稿区分の解説(以下、D1投稿カテゴリーと投稿区分の解説)」に定めています.合わせて参照ください.
投稿された原稿の審査は、基本的に「土木学会論文集投稿の手引」の4.4 および別途定めたD1査読の手引に従って行います.さらに具体的には、本分冊の目的と特質に照らして、以下の3点を重視した編集と審査を行い、総合的な観点から独創的で意欲的な原稿を積極的に掲載していきます.
景観という学問自体が人間・環境および社会のあり方と不可分であるため、その研究も時代性や社会性を強く反映したものとなります.またデザインや計画という行為は、よりいっそう時代的、社会的状況と不可分です.したがって、本分冊では、冷静で客観的な思考や分析であると同時に、それらが必然的に有する社会に対する問題提起性やメッセージ性についても著者が深く思索し、その意義や位置づけに言及することを歓迎します.
従来、新規性や有用性と呼ばれている観点をふまえ、対象の創造に対して知的な創意工夫がなされ、その結果および成果が先進性、革新性、洗練性、完成度において高く評価し得るものであることを求めます.そのあり方は、景観・デザインの対象の多様さを反映して多岐にわたると考えられ、その多様性を提示すること自体にも価値があると考えます.その一方で著者には、自身の発表する内容が上記の点でどのように優れているかを客観的に評価する姿勢を求めます.
論文集は同時代においてのみならず、将来的にも資料的価値の高い論文を収録した知の記録と蓄積となることを期待しています.そのため、デザインや計画、また論説や調査・研究の内容を読者が正確に理解するために必要な前提条件や基礎的情報が過不足なく提示され、記録としての正確性、信憑性を有するものを求めます.また景観・デザインの現代における状況を客観的に記録した調査・研究も歓迎します.
本分冊は、従来主たる対象とされてきた狭義の学術研究の枠に留まらず、美しい国づくりや魅力ある地域づくりのための、設計・計画及びマネジメントなどに関する創造的な技術やアイディアから、景観およびデザインに関する深い思索をも対象としこれを拡充するため、以下の4つの投稿カテゴリーを設置します.また、「土木学会論文集投稿要項」の4に示された投稿原稿区分にもとづき、「論文」、「報告」、「ノート」、「討議」、「委員会報告」の5つの投稿原稿区分があります.本分冊における、投稿カテゴリーと投稿区分の関係は、下表のとおりです.また、投稿カテゴリーの主旨については、3を参照ください.
なお、投稿原稿がどの投稿カテゴリーや投稿区分に該当するのかについては投稿カテゴリーと投稿区分の解説で詳しく解説しています.必ず参照ください.
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投稿カテゴリー
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カテゴリーI
デザイン作品
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カテゴリーⅡ
計画・マネジメント
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カテゴリーⅢ
論説・評論
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カテゴリーⅣ
調査・研究
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投稿区分
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論文
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○
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○
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○
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○
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報告
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○
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○
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-
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○
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ノート
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○
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○
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○
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○
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討議
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カテゴリーを指定せずに投稿可能
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委員会報告
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カテゴリーを指定せずに投稿可能
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カテゴリーⅠ:デザイン作品は、デザインという創造的行為に焦点をあて、自らの実践の中で経験・創造した工夫やアイディアを論じた原稿を対象とするカテゴリーです.デザインの対象は狭義の土木構造物に限らず、公共性を有し、周辺景観に資する建造物や空間で、既に竣工したもののみならず、建設、構想中のもの、あるいは何らかの明確な目的のもとで仮想的に行ったスタディも含まれます.
カテゴリーⅡ:計画・マネジメントは、計画・マネジメントという創造的行為に焦点をあて、自らの実践の中で経験・創造した工夫やアイディアを論じた原稿を対象とするカテゴリーです.計画・マネジメントの対象は、カテゴリーⅠ:デザイン作品の対象となる作品に関わる計画・マネジメント及び地域の景観に資する計画・マネジメントで、すでに策定・決定されたもののみならず、検討過程にあるもの、あるいは何らかの明確な目的のもとで仮想的に行ったスタディも含まれます.
カテゴリーⅢ:論説・評論は、景観・デザインの有する極めて総合的・文化的な側面を表した論説や評論を対象とするカテゴリーです.論説や評論の対象は、景観に関する一般事象や、著者以外による計画・デザイン事例とともに、著者自身が関わる事例も含まれます.
カテゴリーⅣ:調査・研究は、景観・デザインに関わるあらゆる現象について、分析的もしくは実証的なアプローチによってなされた研究および調査を対象とするカテゴリーです.デザインサーベイのような学術的視点を有する調査において、単なるデータ記録ではなく、論理的な整理をおこなった原稿も含まれます.
なお、すべてのカテゴリーの評価は、「土木学会論文集投稿の手引」の4.4 査読の方法に従います.ただし、それぞれのカテゴリーは、その主旨や研究の対象などが異なりますので、評価においても、重視する細目や解釈の仕方が異なります.それぞれのカテゴリーの評価の具体については、別途定めました、D1査読の手引を必ず参照ください.
添付 | サイズ |
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土木学会論文集D1(景観・デザイン) 編集方針.pdf | 135.7 KB |