2011年2月22日,マグニチュード6.3のクライストチャーチ地震が発生し,都市部において多数の死者を含む甚大な被害が発生した.
キャパシティーデザインや免震設計に代表される,高い独自の耐震技術を持つニュージーランドの被害の実態を調査することは,世界における今後の耐震技術の向上に重要である.沖積地盤上の都市域に生じた地震被害であり,東京での直下型地震が懸念されている日本にも重要な震災経験が得られる.現地における復旧,復興に貢献し,互恵の原則に基づく今後の協力方策を協議することも目的とし,3月1日から7日にかけて,土木学会調査団(第1次)が派遣された.日本人の犠牲者も出たこともあり,社会的にも関心が高く,帰国直後の3月11日,東京大学生産技術研究所コンベンションホールにおいて,土木学会・地盤工学会合同の調査団報告会が開催された.
「橋梁の被害」が高橋(京大)によって報告している最中に,緊急地震速報が発令し,発表を一時中断したが揺れが非常に強く,会場は騒然となった.地震工学研究者たちは,その重大さに気づき,直ちに報告会が中止された.これが2011年東北地方太平洋沖地震である.
中断後,川島団長より,報告予定であった資料を収集し,ホームページ上で公開することとなったが,東日本大震災対応もあり,その公開が進まなかった.地震工学委員会地震被害調査小委員会は,過去の地震調査結果を収集し,公開することが大きな責務であることから,改めて当時の発表資料を収集し,報告会開催,すなわち東日本大震災発災より丸4年たった,2015年3月11日に公開することとなった.以下に当時のスケジュールおよび発表資料を公開する(所属等は報告会当時のまま).
日時:2011年3月11日(金)13:30-16:30
場所:東京大学 生産技術研究所 An棟 コンベンションホール
13:30-13:35 開会:土木学会 阪田 憲次会長
13:35-13:45 調査団の派遣経緯及び被害概要:川島 一彦(東京工業大学)・清田 隆(東京大学)
13:45-13:58 地震及び断層メカニズム:アイダン オメール(東海大学)
13:58-14:16 地震動の特性:後藤 浩之(京都大学)・森 伸一郎(愛媛大学)
14:16-14:34 液状化発生範囲及びその影響:清田 隆(前掲)PDFデータ受領
14:34-14:50 橋梁の被害:高橋 良和(京都大学)・西田 秀明((独)土木研究所)★2011年東北地方太平洋沖地震発生により中断
14:50-15:00 ニュージーランドにおける橋梁の耐震設計:川島 一彦(前掲)
15:00-15:15 質疑
15:15-15:25 休憩
15:25-15:38 斜面崩壊・トンネル・擁壁の被害:アイダン・オメール(前掲)
15:38-15:51 れんが造建築物の被害:モハマド・エルガワディー(東京工業大学)
15:51-16:01 2010年9月と今回の地盤変状の比較:安田 進(東京電機大学)
16:01-16:11 災害情報 ICTを用いた安否確認を主として:鈴木 猛康(山梨大学)・秦 康範(山梨大学)
16:11-16:26 質疑