依頼者
株式会社シーエスエンジニアズ
有効期限
2024.7.17から2029.7.16 の5年間
評価履歴
初回:2009年7月17日 |
近年の地震によるマンホールの吐出被害は、1993年釧路沖地震、2003年十勝沖地震、2004年新潟県中越地震、2011年東北地方太平洋沖地震で多く発生しています。
とりわけ、十勝沖地震や新潟県中越地震では、周辺地盤が液状化する恐れのない地盤における管きょやマンホールで多くの被害が確認されています。特に新潟県中越地震では、埋戻し土の液状化によると考えられるマンホールの路面上への突出被害が1,400個所以上報告されています。
また、東北地方太平洋沖地震では、埋戻し土の液状化での吐出被害が2,600個所、周辺地盤の液状化での吐出被害が767個所報告されています。
これらマンホールの吐出により、住民生活に大きな影響を与えたばかりでなく、震災後の復旧活動や救急活動等に大きな支障となりました。
ハットリング工法は、このような地震時のマンホールの浮き上がり抑制を目的として開発されました。
当工法は、既設マンホールなどの液状化による被害を軽減する工法であり、コンクリートブロック(以下「浮上抑制ブロック」と呼ぶ)を介してマンホールの浮き上がりを抑制するものです。
そのメカニズムは、液状化時に、マンホール本体自重、浮上抑制ブロックの自重及びブロック上の埋め戻し土の荷重がマンホールに働く浮力に抵抗するということを基本にしています。
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ハットリング工法は、標準深さ1.0mの位置にドーナツ状の「浮上抑制ブロック」を設置し、ブロックの自重とブロック上面の埋め戻し土(砕石)の重量を利用して、マンホールの浮き上がりを抑制する工法です。
当工法は、マンホールの浮上対策技術の中で重量化工法に属し、地震時に埋め戻し土が液状化することにより、マンホールが浮き上がろうとする力を、浮上抑制ブロックの重量およびその上部の砕石重量にて抑制する重量工法です。
浮上抑制ブロックは、マンホールと一体化していません。
常時において浮上抑制ブロックの重量およびその上部の砕石重量をマンホールに伝達させない構造となっており、マンホールの沈下を誘発させることがありません。
さらに、地震発生時においては、浮上抑制ブロックにより、慣性力を増大させることがなく、マンホールが浮き上がろうとした時にのみ、抑制荷重を伝達します。
また、当工法はマンホールに穴を開ける、あるいは、アンカーを打設することがないため、マンホールの耐久性を低下させることがありません。
1.既設・新設どちらでも設置可能です。
浮き上がりによる影響の大きい市街地の既設マンホールはもちろんのこと、新設マンホールにも設置可能です。
(組立式マンホールで0号から3号までと、現場打ちマンホール(JIS型)に適用)
2.マンホールに影響を与えません。
マンホールに穴をあけたり、内空断面を阻害することはありません。
浮き上がりそうになった時にだけ抑制する構造になっているので、常時には負荷はかかりません。
3.地震動による慣性力の増大はありません。
マンホール本体と浮上抑制ブロックとの間に隙間を与えているので、地震時には別々の挙動を示し、慣性力の増大には繋がりません。
4.簡単施工、しかも低コスト。
施工は組立式マンホール1号で標準ブロックのみ設置の場合、2m×2m 深さ1m の掘削で、地下埋設物の試験掘り程度の規模で行えますので、特殊な施工技術は不要です。
既設・新設問わず組立式マンホールで0号から3号までと、現場打ちマンホール(JIS 型)に適用します。
詳細は こちらのページ の「適用範囲」をご確認ください。
■ 2007年 ~ 2022年度 の実績データ
〈件数〉平成30年度:339基、令和元年度:345基、令和2年度:270基、令和3年度:273基、令和4年度:278基
平成19年度~令和4年度累計:6,056基
○【特許第4182130号】
発明名称「マンホール浮上防止構造及びマンホールの浮上防止方法」
○ 国土交通省 新技術情報提供システム(NETIS)
登録番号:SK-090010-A <平成22年3月1日登録 (掲載期間終了)>
○ 国土交通省 新技術情報提供システム(NETIS)
登録番号:KT-180134-A 「ハットリング工法SQ」 <平成31年3月7日登録>