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技術評価 第17号-UFC道路橋床版

超高強度繊維補強コンクリ-ト(UFC)道路橋床版

 

*クリックするとPDFファイルが開けます。

依頼者

  阪神高速道路株式会社
  鹿島建設株式会社

 

有効期限

  2020.7.10から2025.7.9 の5年間

 

評価履歴

  初回:2015年7月10日
  更新1回目:2020年7月10日

 

概要

 

「超高強度繊維補強コンクリート(UFC)道路橋床版」は、UFC を用いたプレキャスト製の道路橋床版です。

UFCはセメント、骨材(粒径2.5mm以下)、水、混和剤、鋼繊維(径0.2mm、長さ15~22mm)から作られる「繊維補強セメント複合材(FRCC: Fiber Reinforced Cement Composites)の一種のコンクリート系の新素材です。

海外ではUHPFRC(Ultra-High Performance Fiber Reinforced Concrete)と呼ばれています。
圧縮強度が150N/mm2以上と従来のコンクリートの4~5倍程度大きいため、超高強度なUFCの特徴を活かした極めて薄く軽量な床版です。

 

 

<開発の背景>

開発が進んだ都市部で高速道路橋を計画する際には、橋脚の位置や基礎の規模が制約されたり、非常に短い期間での建設が要求されたりすることから、軽量な鋼床版の使用頻度が他道路と比べ相対的に高くなっていますが、近年、既設橋においてはさまざまな要因による金属疲労き裂が顕在化しています。

新設橋梁においては構造改良によってリスクの低減がはかられていますが、舗装の損傷など付随した懸念も残されています。
また、鉄筋コンクリートを用いたRC床版についても、古い基準で設計された薄い床版などにおいて、大型車から繰り返し受ける負荷により、ひび割れ等の損傷が顕在化しています。

RC床版では、昭和48年以前の基準で設計され現在使用されているものの一部で、土砂化等の損傷が顕在化しています。
このような状況から、軽量かつ高耐久なコンクリート系床版の開発が強く望まれるようになりました。

 

 

 
 技術評価概要_第17号 

 

 

技術の特長

 

UFC床版には、ワッフル型と平板型の2種類があります。

ワッフル型UFC床版は、2方向にリブがあるワッフル形状の超軽量なUFC床版で、床版の質量は鋼床版とほぼ同等でRC床版の約1/4です。
ワッフル形状の最も薄い部分の厚さは40mmです(リブを含む厚さは約120mm)。

一方、平板型UFC床版は、平板形状の軽量なUFC床版で、床版の質量はRC床版の約1/2です。
平板の厚さは支える桁の間隔によりますが、一般的な橋梁の桁間隔の場合は、厚さ約120mm~150mmです。

 

  

 

■ 長寿命化  

UFC床版について、合計20万回の車輪を走行させる輪荷重走行試験を行い、床版に損傷がなく健全であることを確認しました。これは阪神高速道路で実測された車両通行の100年分以上に相当するものです。

また、UFCは組織が非常に緻密であるため、通常の高強度コンクリートの約100倍、塩化物が浸透しにくく、鋼材の位置まで塩化物が浸透するのに約3倍の年数がかかるほど長寿命です(経過年数300年に相当※1)。

したがって、構造物を建設および維持管理するのに必要となる費用であるライフサイクルコスト(LCC)の面でも鋼床版やRC床版に比べて極めて優れています。

※1:UFCの塩化物イオン拡散係数を0.002cm2/年として、UFC部材表面から20mmの位置(鋼材位置)の塩化物イオン濃度が腐食限界(1.2kg/m3)に達するまでの年数を算定。 
 
 

   UFC床版によるリニューアル工事の3つの特長 【阪神高速道路15号堺線の玉出入路 (2018年)】

 
1. UFCの材料特性を活かした薄肉化と軽量化 ※2

既設RC床版の厚さ180mmに対し、現行基準に従った標準的な取替え用PC床版の厚さは250mmと厚くなりますが、
UFC床版は超高強度かつ高い耐久性を有するため、150mmまでの薄肉化が可能となり、床版取替えに伴う道路面の高さの変更が不要です。

また、既設RC床版の重量を100とした場合、標準的な取替え用PC床版の140に対してUFC床版の重量比は80と軽量になるため、
床版を支える鋼桁の補強を少なくすることができます。

※2:阪神高速15号堺線 玉出入路の場合

 
2. オールプレキャスト化による耐久性の向上

橋軸方向にプレストレスを導入する床版の構築では、PC鋼材を緊張するためにジャッキの設置スペースが必要となります。
このスペースには、緊張作業終了後にジャッキを撤去して場所打ちコンクリートを施工するため、端部に継ぎ目が生じます。

今回の平板型UFC床版の設置にあたっては、PC鋼材の緊張作業をスパン中央部の床版下部から二方向に行う、新たな工法を採用しました。
これは、UFCの優れた材料特性を活かし定着構造をコンパクト化することで可能となった工法であり、継ぎ目のないオールプレキャスト化により、さらなる耐久性の向上が図れます。

 
3. 専用架設機による作業の効率化

今回のリニューアル工事は、高速道路本線と側道とに挟まれた斜路での施工であり、狭隘なヤード内での作業を効率化するため、
橋軸方向に移動するコンパクトな専用架設機を開発し、適用しました。

その結果、床版の荷受け、運搬、据付けにクレーンを用いる一般的な作業方法と比べて、クレーンの旋回による本線通行車両の規制等が不要となり、高い効率に加えて安全な床版架設を実現しました。
 
▷ 詳細は こちら からご覧いただけます。
 
 

実績

 

■ 実績データ

<⽤ 途> 床版取替え 3件、橋梁新設 1件

▷ 詳細は こちら からご確認ください。

 

■ 施工事例

  阪神高速3号神戸線 ~ 都市高速道路に適用したプレキャスト床版 ~

【概要】
阪神高速3号神戸線の床版取替工事に、高耐久かつ軽量な特徴を有するサクセムを用いたUFC床版が採用され、12号守口線から更なる工程短縮を実現しました。

【特長】
本工事ではアーム式専用架設機を2台同時に使用した急速架設や、パネルサイズの拡大による枚数の低減、UFC専用のPC定着体を適用することで工程短縮を実現しました。

【工事概要】

工事名  阪神高速3号神戸線床版取替工事
工事場  兵庫県神戸市
(阪神高速3号神戸線:京橋~摩耶間)
構造形式  4径間連続合成鈑桁橋(5主桁)
橋長  床版取替は1支間(30.0m)
支間長  32.0m+3@30.0m
幅員  17.600m
床版支間  3.850m
床版厚  150mm

 

【構造概要】


主桁断面図


主桁断面図

【工事写真】


床版取替工事完了

サクセム床版架設状況

現場に搬入されたサクセム床版

サクセム床版設置完了

 

■ 発表文献
 
  1. 小坂 崇・金治英貞・一宮利通・藤代 勝・三木朋広:ワッフル型UFC床版の構造設計および使用性検討,土木学会論文集A1, Vol.74, No.3,473-490, 2018/12.
     
  2. 小坂 崇・金治英貞・一宮利通・藤代 勝・三木朋広:ワッフル型UFC床版の輪荷重載荷による静的特性および耐疲労性,土木学会論文集A1, Vol.74, No.3,491-503, 2018/12. 
     
  3. 岩里泰幸,越野まやか,齋藤公生,一宮利通,藤代勝,熊部淳:上下線一体合成鈑桁橋への平板型UFC床版の適用-阪神高速12号守口線床版取替え工事-,橋梁と基礎,Vol.55, No.9, pp25-30, 2021.9.

 

■ 受賞履歴
 

平成30年度土木学会田中賞作品部門「平板型UFC床版を用いた床版取替え技術」

令和3年度土木学会技術賞            「先進技術の活用による道路橋床版更新の高度化」

日建連表彰 第5回土木賞              「阪神高速3号神戸線床版更新工事」

 

 

関連情報

 

【ウェブサイト】

  阪神高速道路株式会社 

  鹿島建設株式会社

  UFC道路橋床版研究会

 

【問合せ先】 

     阪神高速道路株式会社 問合せフォーム

   鹿島建設株式会社 問合せフォーム

(c)Japan Society of Civil Engineers