2021年10月
海洋開発委員会委員長 下迫 健一郎
海洋開発委員会は、海洋の開発保全についての調査・研究を実施し、その成果を社会に普及させることを目的に1969年に設置されました。その後、50年以上に亘って海洋開発に係る土木技術者、研究者の専門家集団として、そのミッションに取り組み、土木学会における海洋開発分野の発展に寄与するとともに、社会的評価を得てきました。
本委員会の主たる対象領域は海洋空間の開発・利用がその一つであることは明らかですが、単に開発・利用だけでなく時代とともに重要視されてきた環境や生態系との共存や、政策との関連など幅広い視野からの調査・研究が求められるようになってきています。これらの要請に応えるためには、土木工学における横断的な分野からの研究は言うまでもなく、工学にとどまらない幅広い学術分野の知見が不可欠であり、学際的な取り組みが強く求められるようになってきています。
本委員会では、海洋開発にかかわる最新の研究及び調査や施工に関する技術の報告の場として土木学会論文集B3(海洋開発)を発刊しています。また、最新の知見の発表と討議を行う場として海洋開発シンポジウムを毎年6月下旬~7月上旬頃に開催し、多くの研究者、技術者が一堂に会して情報提供と活発な議論を行っています。このシンポジウムで発表された研究内容は土木学会論文集B3(海洋開発)の特集号に掲載して、後日公表されています。新型コロナの影響により、2020年は急遽シンポジウムの開催を中止(論文集は通常どおり発行)し、2021年はオンラインで開催いたしましたが、2022年からは再び現地での開催を目指しております。
さて、海洋開発シンポジウムでは、毎年、2つのテーマを取り上げて特別セッションを企画し、開催しています。特別セッションは、その時機に取り上げるべき課題や、シンポジウムの開催地に特有の課題などをテーマに行っています。テーマによっては、普段本シンポジウムに参加される機会の少ない分野の研究者や事業関係者にも参加いただき、本シンポジウムの一つの特徴である幅広い学際的視野から問題を繰り下げ、研究の深化や新たな展開などを目指しています。これまで取り上げてきた課題や近々の予定についてはこのホームページ上でも掲載していますので是非参照いただけましたら幸いです。
海洋基本政策を総合的に推進するため、2007年に「海洋基本法」が制定され、この法律に基づく「海洋基本計画」が政府によって2008年から5年ごとに策定されていますが、2018年の5月には第3期海洋基本計画が新たに閣議決定され、「新たな海洋立国への挑戦」がその方向性として位置づけられるなど、海洋に関連する事業はますます重要になってきております。皆様の取り組みが相乗効果を生み、これらの期待に応えることに繋がってきます。本委員会としても全力でこの課題に取り組んで参る所存です。皆様におかれましても、引き続き、この分野の発展に取り組んでいただくとともに、海洋開発委員会の取り組みにご協力を賜りましたら幸いです。
海洋開発委員会の活動にこれからもご協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。