令和4(2022)年度 土木学会全国大会研究討論会
タイトル:環境DX最前線 ~デジタル技術は環境対策にどのような影響を与えるか~
日時:9/13 13:00~15:00(オンライン)
参加登録不要、ただしCPD受講証明書を希望される方は登録が必要
動画視聴 https://zenkokutaikai.jsce.or.jp/2022/?page_id=1679
討論会概要 https://zenkokutaikai.jsce.or.jp/2022/?page_id=2232
主題:
2035年使用済プラスチックの100%有効利用(単純焼却、埋立ゼロ)、2050年カーボンニュートラルなど、眼前に大きなマイルストーンが控えている。いずれも並大抵の対策で実現できることではなく、あらゆる部門の構造的転換、さらに都市や社会システムの変革が求められている。一方、DXの波は環境の分野にも押し寄せており、廃棄物収集運搬の効率化、環境インフラの遠隔監視、3D都市モデルを用いた環境都市づくり等、多くの分野で試行されつつある。本討論会では、環境分野におけるDXの導入の効果と課題、今後の展望について事例を共有するとともに、環境システム研究が取り込むべきデジタル技術や政策・対策へのインプットについて討論を行う。
プログラム:
座長
松本 亨・北九州市立大学
話題提供者(予定、敬称略)
松井 孝典・大阪大学(20分)
内山 裕弥・国土交通省都市政策課課長補佐(20分)
牧 誠也・国立環境研究所(20分)
村崎 充弘・応用地質株式会社(20分)
総合討論(40分)
講演概要
●松井 孝典・大阪大学(20分)
演題:SDGsの達成へ向けたデジタル・トランスフォーメーション
要旨:
2030年を達成目標の年限とする持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)の達成においてデジタル世界との融合が果たす役割は大きい。SDGsの促進自体にデジタル技術を活用することと共に、SDGを構成する17のGlobal Goalsのそれぞれの分野でもデジタル・トランスフォーメーション(DX)による変革が期待されている。本発表では現在、発表者らが進めているローカルSDGsの達成を支援するためのデジタルプラットフォームであるPlatform Cloverの紹介を通じ、SDGs達成に向けたDXとの向き合い方を議論する。
●内山 裕弥・国土交通省都市政策課課長補佐(20分)
演題:3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクト「PLATEAU」
要旨:
「Project PLATEAU(プラトー)」は、スマートシティをはじめとしたまちづくりDXのデジタル・インフラである3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を推進する国土交通省のプロジェクト。本プロジェクトの概要や環境分野を含めた3D都市モデルの活用事例、今後の展開について講演する。
●牧 誠也・国立環境研究所(20分)
演題:ごみ収集車両のICTセンサーによるデータを用いた各ごみステーションのごみ収集量推計・収集計画の提案・実装実験
要旨:
Society 5.0の提唱とともにIoT及びAI等の活用によるデータの収集・分析を行うことでCO2排出量の削減を中心とした諸課題を解決していくことが求められている。廃棄物分野においてもIoTとAIの活用によるCO2削減、効率化を行うことが求められている。
本研究では、脱炭素化とともに労働人口現状に伴う効率化が求められている廃棄物の収集に着目し、松山市を対象に収集運搬車にデジタコグラフと呼ばれるIoT装置の一種を設置し、収集運搬車の運航データを観測した。また、観測したデータ、車両後部のカメラ画像データ、対象日の廃棄物収集運搬記録をもとに、各ステーション単位での廃棄物収集量の推計を行う計算システムを開発した。計算結果をもとに収集運搬方法・組み合わせの変更による二酸化炭素排出量の削減方法の提案を行い、一部の計画について実装実験により削減効果を検証した。
●村崎 充弘・応用地質株式会社(20分)
演題:情報通信技術を活用した一般廃棄物の効率的な収集運搬
要旨:
一般廃棄物の収集運搬業務について、担い手不足の対策、「2050年カーボンニュートラル」の実現のため、作業の効率化、脱炭素が求められ、ICTの活用が揚げられている。ICTを活用し、収集運搬作業の実態(走行データ)の計測・収集、作業の効率化およびCO2排出量削減の手法を検討し、削減を見込める新たなルートを選定した。実走行・検証結果を踏まえ、多種多様な地域の特性に対応したモデルを構築し、汎用的な効率化・脱炭素の手法を提案した。